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アニキ追悼

なんて、今どきありふれたタイトルかもしれませんが。
しかも年齢的には全く世代ではないのですが。水木一郎アニキ。

昨年12月はじめに渋谷NHKホールで開催されたレジェンド作曲家「渡辺宙明」先生の追悼コンサート。
そこで中川翔子さんをはじめ、ささきいさお大王や堀江美都子さん、串田アキラさんを初めて生で、この目で見ることができ、さらに生歌唱をコンサート形式で聞くという、なんとも素晴らしい体験を得た。
しかし、そこにアニキの姿はなかった。アニキの思いは手紙を代読すると言う形で、会場に参戦していたファンたちに届いた。当然だ、渡辺宙明先生の代表作とも言える「マジンガーZ」をはじめ、その楽曲にはアニキの存在の大きさがそびえ立つと言うもの。必然的に(と断言するのは少し稚拙とも言えようが、ご容赦いただきたい)会場にいたファンは大多数が「アニキのファン」と言って差し支えない状況とも言える。各々がおそらくアニキが病気を公表した事を知っており、今回アニキが会場に来てくれるのか、そこが気がかりだったに違いないのだ。その中でのアニキの手紙。心配する気持ちは大きかったが、きっと大丈夫だ、また真っ赤なマフラーをたなびかせて「ゼエーーット!」と叫んでくれるに決まっているのだ。
そんな思いを誰もが抱いただろう。

その数日後、訃報が届いた。
アニメ・特撮ソングの影響を大きく受けた直撃世代である父は、大きなショックを受けていた。

自分といえば、やはり残念な気持ちはあれど、なんとなく「人の死」と言うものを認識することに若干のタイムラグというか、ズレのようなものを感じており、また大病を患っていたのだろうという理解もあった為、大きなショック、という程の受け止めはなかった。ただ、残念だ、という気持ちでいっぱいだった。

自分は人間の心という部分が鈍っているのかな、なんて事も思った。


さて、それからおよそ2ヶ月くらい経った現在。
時間が経つにつれ、アニキの存在の大きさと、失った人の偉大さを実感している。

自分が好きなアニメ、特撮ソングの大部分はアニキが歌っているという事実。これには驚愕した。何という事だ、当たり前すぎて全く意識していなかったのだ。
仮面ライダーストロンガーの歌も、アクマイザー3も、ダンガイオーも、テッカマンも、ムテキングも、何もかも……。

当時の時代背景などもあろうが、きっと、この先の時代にこんな人はおそらく出てこないのだろう。
救いは、アニメ特撮ファンのみならず、全国ニュースとしてアニキの訃報が報道された事だ。一般の(いやアニメ特撮ファンも一般の人なんだけど)方々にとっても、その存在を知られた人だったのだろう。いや、あえてメディア露出を積極的にされていたとの話も聞く。色んな人たちの架け橋になろうとしていたのかもしれない。

昨年は、身近な人を含めて本当に色んな方々が亡くなられた。
そんな時、自分はあえて「会いたい」と強く思わない事にしている。(恋人や子供が亡くなったらそうは思えないかもしれないが)
あまり強く思ってしまうと、亡くなった方のあの世での次の旅路の足枷になってしまいそうな気がして。

人の一生は儚いものだ。その中で、果たして自分には何ができる?
そう問われていたような一年だった。

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