見出し画像

クリック詐欺まがい

 一昔、ふた昔前と比較すると世の中ずいぶんと電子化が進んできたものだ。社会全体風潮として、もはや物理的なお金、小銭が不要な世界が構築されつつある。皆、誰もが所有していた財布が不要な世界。所有維持料金の低価格化による尊大な携帯電話普及率。小学生から御高齢にまで、その端末によって蝕まれている人間社会。その社会は電子社会として成り立ち、もはや、人としての必須アイテムとなりつつある。そして、その、シンプルなワンクリックを悪用した勧誘手法が、これからも主流を果たして行く事は必至であろう。これら無数のサイトによるクリック資金収集手法は極めて効果的で、実績を上げ易い。

 多くの場合、ビジュアルに主眼を置いている私達人の生活スタイルでは、目で確認する事が可能な媒体に支配されている。もはや、ほぼ全世界と繋がっている携帯電話画面やPCの画面がその主流。言語を超え、国境を越え、図柄やビジュアルだけで物事が進んで行く。そして、人の陥り易い、思い込みや錯覚を主にして作成されたページ。
「一か月のお試し」が誤ってクリックされ易いように色濃く縁どられ「今はしない」が密に目立たぬ様、薄っすらとしか表示されていないページ。目をこらして探さなければ見つける事の出来ない「次回購入スキップ」ボタンのあるページ。その小さなボタンを見つけてクリックする事が出来なければ、商品は延々と送り着けられてしまう。もはや「購入する」がそのページを見る者の前提意思となってしまっている事実。ページ、サイト管理側にしては、いかにそのページをうまく誤解、誤読させる事が出来るかどうかが収益の大きなポイントになってしまっている。

 サイトに苦情を言おうとしても、某有名な巨大サイトにはオペレーターと直接会話する為の通話番号が一切表示されていない。メールの返信もあやふや。その為に「困った時は?」問答集を充実させていると言う事だが、その問答集そのものに困った場合の解決方法が無い。実に賢いやり方だが、これら世界観が普通になってしまっている現代。この様なサイトでも、特に運営に支障を来たしてはいないようだ。
巨大サイトには巨大なサイトならではの上手い仕組みがある。こういった電子決済や電子作業によって収益を上げる人間の心理をも読み取るページ作成技術が豊富。彼らは非常に賢く電子技術を応用しプログラムを構築させ、デジタルマトリックスでしかない羅列を具現化し、具体化し、現実化し、あらゆる見えない少額、高額を、クリックによって収受し膨大な収益を上げている。しかもそれらは、作成側からすれば合法である。

 人の安易なクリックが、企業や個人の収益となり、より高度なページの作成により、企業や個人は、多くの収益を得る事が可能な時代。もちろん最初から詐欺を目論む酷いサイトはこの話題の中には無い。大昔から、電子決済の中だけではなく、多くの詐欺はあらゆる形態を伴い、現実の中で、送り付け詐欺や、飲み屋での不当料金請求詐欺等、楽して大金を掴もうとするズルい人間達によって、毎瞬間、無限に現実世界で実行され続けている。

 私が伝えたいのは、境界線は超えないけど、ギリギリの時点でうまく電子ページ、サイトへ勧誘し、あたかもそう思わせ、当人に勘違いさせ、当人に決済させ、当人に諦めさせ、収益へ結び付けようとするサイト運営が増加しているのではないか、と言う懸念。それとも、私の頭が古く固く、すでにこのデジタル時代に乗り遅れてしまっていると言う事なのであろうか。
あるサイトは「イエス」と「ノー」のクリック位置が一晩で入れ替わっている事実。もちろん画面の確認を慎重にしなかった者に、その結果と責任は来るのだが、あまりにもめまぐるしく変更が加えられ、人間心理を利用した慣れによる誤解を招く現象と結果がページ作成の意図とされている事実。ページを見る側、反応を余儀なくされる側、つまり私達が手馴れる事をせず、安易にクリックする事は避ける様に。

 そんなサイトは見ない方が一番の得策ではある。勿論本人はそのつもりなのだが、今の時代、興味深いサイトは多く、しかも複雑過ぎて、固定観念の崩壊が余儀なくされ、アナログ世代が染みついている古き時代は、既に闇の中へ埋没されつつある。「まがいモノに御注意下さい」と警告文が書いてある事自体が「まがいものである」。これからは益々細かく複雑化される事に対する判断と対応を余儀なくされる私達国民。誰かが毎瞬間「しまった」と連呼している声が聞こえてきそうな昨今のウエブサイト事情。勿論、合法であり、詐欺でも無いのだが、人の心理を悪用し、誤解を最大限に促すページ造りは徹底されており、それら魅力的なサイトを私達は毎日魅せられている。

 狸の様なサイトは日々進化を遂げ、私達にクリックをおねだりしている。こうやって無駄とも思える消費が、人差し指1本で、後悔と共に繰り替えされ、サイト運営は成功し、これから先、益々、これら手法による収益に笑いが止まる事は無い。オペレーターのいない魅せる心理作戦は上手く進行し、落とし穴の様に完全隠ぺいされていて、安易な者、お人よしな者、すなおな者達は、画面を見る度に惹き寄せられ、干からびるまでお金を吸い取られ続ける。この電子社会の犠牲者と言っても良い人々は、後を絶たないどころか、未来に向かって益々増加して行く事だろう。しかも、これら「まがい」にしか過ぎず合法なだけに、質が悪い。この世界、これから電子化が猛爆するに連れ、益々直で正直な人達が安心して住める世界でなくなる事は間違い無い。善良で良い人達の屍の上に賢いサイト企業らが王座を構える。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?