仕事はすべて課題解決である。

同僚が会社を辞めた。

彼はP&Gでブランドマネージャーを務めた経験があり、デジタル領域にも明るい。人とのコミュニケーションも上手で、仕事は丁寧で粘り強く早い。精神的にもタフで、とても優秀な人だった。

私は彼と1年半デジタル部署で仕事して、その後私が異動してしまったので、直近彼に何があり、うちの会社を離れることになったのかは知らない。もちろん優秀な彼のことだから他社からの引き合いもあっただろうし。あるいは家族の事情があったのかもしれない。

同じ部署で働いていたとき、彼から直接間接問わず色んな事を教えてもらったが。印象的だったフレーズがある。

「 三浦さん、仕事は全て『課題解決』なんですよ。誰の何の課題を解決するのか?その課題は大きい小さい色々あるけど。究極的には我々はお客様の課題を解決するためにマーケティングしているわけだけど。部署によってその人が解くべき課題は、社内の仕組みだったり、組織風土だったりするかもしれない。いま進めていることが何を目的としていて、何が課題(ボトルネックになっている) かを考えて仕事するといいですよ」

確かに、マーケティングがお客様の課題を解決するための仕事だとしたら、営業は得意先の課題を解決する仕事であり、私のいる営業サポートは、営業周りの課題を解決する仕事だ。

仕事ができる人は、常に「この仕事は誰の何の課題を解決するのか」という目的を意識して、仕事をしていて。

そしてその課題解決のために、より少ない投資(ヒト・モノ・カネ)でより大きな効果インパクトのある施策を考え、周りを巻き込み、実行し、検証し、PDCAを回して仕事しているのだと思う。

逆に、(言い方は悪いが)仕事が出来ない社員は、自分の仕事やアイデアが、誰の何の課題を解決しているのか、を意識せずに仕事するから、過去の経験に基づく勘で動いたり、過去のオペレーションを踏襲するだけだったり、効果が見込めないことに無駄に時間をかけたりする。

また彼を見てると、課題解決をしながら、周りの信頼を勝ち取り、それでまた色んな人に頼られ、業務経験値をあげていく。そうやって仕事の幅を広げ、課題解決のオプションをどんどん自分の中に蓄積していくような感じがした。

本来、マーケティングの課題解決はマーケターの専門領域、営業の課題解決は営業の専門領域で、それを世の人は専門性とか呼ぶのかもしれないが。

経験値を増やしていくと、専門性なんて単なるレギュレーションやオペレーションでしかなくて、本質的な課題解決能力は、業務の領域を超えるのかもしれない。

そうするとより経営者に近い能力に近づいていって、ITの専門家とも法務の専門家とも対等に話せたりするんだろうなー。その分野の細かいことや最新の情報は分からないけど、課題解決の方向性という意味では。

そんな風に思った。

そんな彼を見ながら、彼はそのタフネスと仕事の仕方や考え方を、P&Gで学び、鍛えられたのかもしれないが、私が勤める会社では、私個人は30後半になるまで習わなかったことを考えると、そしてその差がいわゆる「優秀な人」と「優秀ではない人」を分けてしまう一つの要因だとしたら。

人生の早い段階で、どこでその考え方を学び、どこで実践し、能力を身につけるべきなんだろう?

もちろん人によっては、本とかで学ぶことも出来るのだろうけど。こうした課題解決って、本来どの仕事でも必要な能力であることを考えると、高校や大学までに教育でやるべきじゃない?と思った。

例えば、ASIS (現状)とTOBE(あるべき姿)とそれを実現するために解決しなきゃいけない課題、という構図や、その問題を、いま起きている社会問題とか、あるいは身近に起きているイジメとか、家庭のこととか、そういうテーマで話し合い、考え、自分たちでもできることを考える、なんて、普通に社会の授業で出来そう。(もちろん、課題の正しい設定とか、仮説思考とか、教える側にもスキルがいるけどね)

もし、この課題解決思考が、学生のうちに身についているのなら。就職活動は本来やっぱり「自分が好きなこと、没頭できること」に絞っても良くて。自分がどの業界の何の課題を解決したいと思ってるのか、がとても大事で。

それがいま日本でなり手のいない、農業であったり、伝統産業であったりすると、また新たな日本の未来が描けたりするんだよなー、と思った。

ちなみに、この課題解決の型さえ学べれば、実践の場は、仕事以外にもあって。

たとえば家庭や育児でも、課題解決しなければいけないことは沢山ある。

仕事と家庭のバランス、育児の夫婦でのバランス。それをどう夫婦で話し合い、納得のいくその時のバランスを見出し、それを仕組み化していくか、イレギュラー時はどう対応するか、そのオプションを準備して、ワタワタしないようにするか、は夫婦間で良い関係を築くうえで大事な課題。

あとは社会活動か。

例えばいま私が取り組んでいる、PTA活動でも、「誰もやりたがらないPTA活動を、どのようにリデザインし、ミニマムなメンバーでコアな活動にシフトしつつ、いまの時代に大切な『保護者同士や地域のコミュニティ』をデザイン出来るか」は大きな課題である。

これをちゃんと課題解決の方向性を示し、周りを巻き込んで、新たなPTA活動のモデルケースを作りたい。それは私の今年のチャレンジ。

その優秀な同僚は、新入社員時代にP&Gでその型を学んでたことを考えると10年以上差がついてしまってるのだと正直思うけど。苦笑

だからよく西野亮廣さんは、20代でついた差は、残酷なほど埋まらない、と言うのだと理解はするけど。

それでも、課題解決思考は当たり前にすべての大人が持っているべき知識だと思うし、それが子供や若者の未来、ひいては日本の未来を切り開くことに繋がるのなら。

教育にこうしたビジネスに必要な考え方を導入して、ちゃんと全員がこの型を学べるように、教育改革していきたいんだよな。

そう思った。
まずは出来ることから、頑張らねば!

以上













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