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3つの好きな映画|実写とストップモーションアニメ どっちにする?[バートン、デル・トロ、アンダーソン]篇

本物の影と空気感を撮影できるストップモーションの新鮮さ

今上映中のジュラシック・ワールドでは、本物と見紛うほどのCGで観るものを圧倒し、バズ・ライトイヤーでは、3DCGアニメーションでファンを魅了する。

ジュラシック・パーク(1993)、トイ・ストーリー(1995)から約30年。CGの進化は凄まじく、リアルで精度の高い3Dアニメーションも、没入感や自然な表現への追求は行き着くところまで行ってしまったような。

そして、それらはすべてPCの中で完結する。スタジオもロケも不要。

犬ヶ島 1コマごどに人形を動かし撮影する

対して、ストップモーションは人形のコマ撮りなので、PCで完結するCGとは対極な映像。撮影にはスタジオが必要で、セットもいるし、照明も必要となる。

撮影される役者が、人間から人形になっただけ

手作り感素朴さ、温かみのある映画が特徴と言われることが多いストップモーションアニメだけど、一番の特徴はこれかと。だから実写の映画監督が、CGではなくストップモーションアニメを手がけるのか、という気づき。

と、いうことで、実写ストップモーションアニメの二刀流を成し遂げる映画監督を通して、これからの映画の表現方法について考えてみるのもいいのは?と言う話。

行き着くところまでいった先の反動

18世紀の産業革命からウィリアム・モリスの「アーツ・アンド・クラフツ運動」が起こるまで約100年。この運動は、産業革命による大量生産による工業製品が出回る中、もう一度中世まで戻って手仕事の温かみのあるデザインを考えよう、という揺り戻し。

また、印象派の成り立ちに、写真の発明が深く関わっている、というのは有名な話。客観的に綺麗に描くことを突き詰めていくと、写真に近づくだけで意味がない。それより書き手を主観印象を表現したほうが、写真とはまったく別の表現が可能となる。

そして、現代の映像表現。

CG表現が行き着くところまでいってしまうと、リアルな実写に近づいていく。その表現方法にも、もちろん価値はある。でも、本物の陰影と空気感が表現されるストップモーションアニメの深い味わいも捨てがたい。ざらっとした空気感が、CGが主流の今だからこそ、新鮮な表現として楽しめる。

アーツアンドクラフツ運動印象派と同様に、CG表現の反動として、ストップモーションアニメは位置付けられる、かも?

コープスブライドの撮影風景


実写とストップモーションアニメの二刀流

実写の映画しかつくらない監督や、アニメしかつくらない監督が多い中、自分の表現したいことに合わせて、実写とアニメを臨機応変に使い分ける監督をご紹介。

「世界そのもの」を生み出す
創造力に長けた監督たち

ティム・バートン|シザーハンズ × コープスブライド
ギレルモ・デル・トロ|パンズ・ラビリンス × ピノッキオ
ウェス・アンダーソン|フレンチ・ディスパッチ × 犬が島

デル・トロピノッキオはNetflixで今年の12月に公開予定。なのでこれだけは、まだ見たことがない。でも、Netflixで巨匠監督がストップモーションアニメを手がける、というところがエポックメイキングな気もするような。

ちなみにストップモーションアニメの歴史については、こちらに詳しくまとまっていたので、割愛。


ティム・バートン|
シザーハンズ × コープスブライド

みなさんご存知ティム・バートン
数多くの映画を手がける中、実写ならシザーハンズが一番好き。ストップモーションを取り入れるのも比較的早く、コープスブライドで見事にダークファンタジーを体現。


ギレルモ・デル・トロ|
パンズ・ラビリンス × ピノッキオ

パンズ・ラビリンスを見た時に、すごい監督が現れたと思ったけど、その後は案外普通の映画が続く。ようやくシェイプ・オブ・ウォーターで幻想的な映像が甦り、満を持してピノッキオでストップモーションアニメを手がけることに。


ウェス・アンダーソン|
フレンチ・ディスパッチ × 犬ヶ島

個人的はとても好きな監督。でも、癖が強く好き嫌いは分かれるかと。フレンチ・ディスパッチでは、20世紀のフランスの架空都市を雑誌のような実写?で表現し、犬ヶ島では、近未来の日本をストップモーションアニメで表現する。


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