義肢のヒルコ 第2話

彼は、あらゆる武具をつくる鍛冶師だった。

彼のつくるモノは、なんでもありって感じだ。

現実の武具には存在しない能力を持った「神器じんぎ」。

「雷霆」「金の弓矢」「雲の盾」……と、呼ばれるモノをつくったらしい。よくわかんねえけど。

とにかく俺の常識では理解できないモノだった。

けど、彼は……そんなに悪い人じゃない。

俺には、わかる。

彼は俺と同じ寂しさを感じるのだ。

俺は今、目が見えないが、なんとなく彼がいい人だってことはわかる。

彼の足は悪い。

たどたどしい足取りだ。

まるで元々が、そうであるという感じに。

「君は、わかっているのか……いい子だ」

そう、かもしれない。俺たちは確かに同類なのかもしれない。

今の俺は手も足も発達していない芋虫のような存在で、彼は足が弱い。

彼は俺に自分を重ねているのだ。

なにかしら感じるものがあるのだろう。

「けどね、僕は君じゃない。もちろん君は僕じゃない。それは理解、できるね?」

「…………あっ……あっ、あっ…………」

言葉が、うまく出てこない。

「……だろうね。君は、まだ赤子だ。なにもできない、赤ん坊だ。だから、君のことをなんとかしてあげたいと思っている。これからの君は、自由だ。それを保障しよう」

優しい人だ――。

――それは俺の父さんがした行動ではなかった。父さんは言う。

「父さん、なぜ! なぜ、こんなことをするのです!」

いつの間にか俺は「雷霆」という武器を持った神に電光による攻撃を浴びせられていた。

「貴様こそ、なぜだ? なぜ異国のモノを育てているのだ?」

雷を司る神は俺を見て。

「……なるほど。そういうことか。貴様はアレと自分を重ねたということか」

雷神はニタリと笑い。

「貴様も不出来だったからなあ。だが、よく見ておけ。これが異国の神をこの国に入れた罰だ」

「雷霆」と呼ばれる神器じんぎに電流を走らせる。

雷霆之電光らいていのでんこう

突如、俺の身体を電光が襲った。一瞬の出来事だった。

「これで、もうアレの存在は消えてなくなった。貴様は反省するがよい。もう、こんなことをしない、とな」

「…………父さん、なにを勘違いしているのですか?」

「――なに?」

「よく見てください」

俺は吸収していた。

「雷霆」から発せられていた電流のすべてを。

「なん、だと……? あれは……神器じんぎ!?」

「そう、あれは神装具しんそうぐ千変万化せんぺんばんか』。僕が今までつくってきた神器じんぎよりも最高傑作である! ゆえにヒルコと最も相性がいい!!」

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