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NHK音楽祭2021 ~未来へ~ NHK交響楽団公演 ーブルース・リウさんのどこがすごいのかを中心に

◆公演概要

NHK音楽祭2021 ~未来へ~ NHK交響楽団公演
2021年11月8日(月)午後7時開演
Bunkamuraオーチャードホール

プログラム
ショパン/ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11
(アンコール:ショパン/マズルカロ短調作品33の4)
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調作品47

指揮 尾高忠明
ピアノ ブルース・リウ(第18回ショパン国際ピアノコンクール第1位)
オーケストラ NHK交響楽団

公演のポスター(ブルースさんのサイン入り)

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◆はじめに

(以下、コンサートの休憩にまとめたメモを基に備忘録的に書き残します。
まったくの素人が書いています。的外れはご容赦ください<(_ _)>。
またベタ打ちなので読みにくいと思います。こちらもなにとぞご容赦ください<(_ _)>)。

ショパンコンクールのすぐ後に最高位のピアニストのコンチェルトが聴けると知り、ほぼ発売と同時にチケットを取りました。推しさんが来てくれるといいなと思ったのは言うまでもありませんが、ブルース・リウさんが来ると知り、1位のピアニストはどこがすごいのだろうと、興味津々でオーチャードホールに向かいました。実はオーチャードホールははじめましてでした。

会場は座席の5列目までステージが張り出し、6列目が実質1列目。ピアノはスタインウェイ。もしかしたらブルースさんがコンクールで弾かれたファツィオリが登場するかと思ったけれど、やはりホール所有のピアノのようでした。わたしの座席は24列6番で、ピアニストの背中を見る感じかなと思ったのですが、ステージの程よい高さと座席の角度で、ピアノを弾く手元がとてもよく見える良席でした。ブルースさんの指の長さもわかる。

◆ショパン/ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11

参考:ショパンコンクール本選でのブルースさんのコンチェルトの動画

コンクールの時と同じタキシードとシャツでさっそうと登場。ポケットチーフがあったかどうかは記憶が飛んでいます。

オケがはじまると、Bメロの美しさにしびれました。
そしてピアノが入るとすぐ安定感とアイデアの豊富さと対応力の素晴らしさに唸らされました。音色が安定し、フレージングが安定し、テクニックが安定し。そして音色が豊かでさまざまな音が聞える。コンクールの動画では聴こえていなかった音色がたくさんたくさん聴こえて、やはり生がいいと思いました。角野隼斗さんが自身のYouTubeのコミュニティで自身がお持ちのさまざまな音色を解説されていますが、ブルースさんのピアノからも特殊な弾き方以外のほとんどの音色と弾き方が聴こえました。その他にも鍵盤を前後にゆっくりとこするような弾き方を何度もされていて、音のふくよかさとあたたかさが増しているように聴こえました。たくさんのアイデアでたくさんの音色の工夫をされている。工夫は音色に留まらず、指使い(楽譜上は左手のところを右手で弾く)、右手のオクターブの上下の音のボリュームバランスを変えていく、内声を際立たせる箇所を作るなど、随所にブルースさんのアイデアが盛り込まれていました。もともと素晴らしく弾かれていたのが、コンクール後のたくさんの演奏機会を通じて、さらにバージョンアップされていると感じました。

参考:角野隼斗さんのYouTubeコミュニティ「かてぃんラボ」での「ピアニストの音色辞書 - Sound Dictionary of Piano」解説動画
(かてぃんラボのメンバー限定で視聴できます)


なによりも驚嘆したのは、オケとの合わせがすごいこと。オケの音にとことん合わせている。例えばピアノのメロディとオケの楽器(たとえばフルートなど)がハモるところは、それぞれの楽器の音色や息づかいに合わせた演奏をされていて、またクレッシェンドで盛り上がるときは、オケのクレッシェンド(それは通常ピアノのクレッシェンドとは違うはずだけど)と同じ盛り上がりをされていて、ピチカートの箇所ではピチカートとまったく同じニュアンスで弾かれていて、ブルースさんはオケの全ての楽器とこの曲のスコアを深く理解されているように感じました。すごい。

1楽章ではルバートを多用されていましたが、Aメロ(うまくルバートしないと「北の宿から」に聴こえる)がまったく演歌していなくて美しくてしびれました。Bメロはさらに美しくて身震いがしました。

2楽章はさらにさらに夢のように美しくしびれたのですが、とくにブルースさんの「歌う左手」に引きこまれました。これはフレーズを弾き終わった後に左手を少し持ち上げてやわらかく包むようにカーブさせた左手掌を客席に向けるしぐさなのですが、腕もやわらかく全部が歌っているようで、体の表情まで美しくて素敵でした。どんどん曲に没入しました。2楽章の最後の音のEが、磨きこまれた小石を澄んだ池に投げ込んだ時の波紋のように広がって行って深く印象に残っています。

3楽章はとても端正でメリハリがあって、オケとの一体感が際立っていました。もっときらっきらで華やかかと思ったのですが、丁寧に弾かれている印象でした。でももしかしたら体調が普通ではなかったのかもしれない。オケのみのパートになるたびに汗をぬぐって体をゆらしていた(曲に合わせているのではないように見えた)。コンクールのコンチェルトの動画ではピアノを弾いていない部分が映っていないので、普段からこうなのかどうかわからないのですが。大丈夫でありますように。まったく的外れだったらごめんなさい。

◆アンコール:ショパン/マズルカ作品33の4

参考:ブルースさんのショパンコンクール3次予選での演奏(頭出ししています)


アンコールはマズルカ作品33の4。ブルースさんが予選で弾かれた曲の中で、自分はこれがいちばん好きだったので、生で聴けてうれしい。
ほんとにマズルカ。郷愁を感じるマズルカ。すごい。個人的にはコンチェルトよりも感動したと思う。すごい。

◆結果

ブルースさんのファンになりました!また逢いに行きたい。さらにバージョンアップしたコンチェルトも聴いてみたいし、ソロも聴けたらいいなと思う。今後も元気にご活躍を楽しみにしています!

◆ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調作品47

たいへん申し訳ないことに、わたしはショスタコーヴィチはまったく知りません。予習もせずに聴きました。ちょっと知っているフレーズはあったけれど。なので素人以下の感想です<(_ _)>。

ソビエトの当局から共産主義を礼賛するように言われて作った作品だという。たしかに苦難の道を経たうえでの共産主義の栄光と勝利を歌っているなと感じたけれど。とにかく純粋に音が音楽が美しい。尾高さんの指揮とN響の演奏が最高過ぎた。でもその美しさは「血に染まった美しさ」のように感じた。共産主義国家を目指す戦いで、革命成功後の大粛清で流されたあまたの血。でも、不謹慎を承知で言えば、ローマ帝国時代にコロッセオでライオンと戦った勇者を見る観客のように、血を見ることは陶酔につながる。その戦いを美しいと感じてしまう自分に多少の疑問は持ちつつも、でもその世界に引き込まれることにカタルシスを感じてしまう。人間ってかくあるべき姿とは乖離した存在なのだなと思う。一楽章の後半はスターウォーズに使われそうだった。3楽章がいちばん血の匂いを感じた。

血の話ばかり書いたけれど、ほんとに美しくて引き込まれる作品だった。いままで聞いたことがなくてもったいない人生だったと思った。これから聴こうと思う。推しさんのおかげでまた世界が広がった。

◆おわりに

以上、冗長なうえに意味が伝わるかわからない感想文でした。繰り返しますが素人の感想です。なにとぞご容赦ください<(_ _)>。読んでくださってありがとうございました。

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