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「自分のことを自分ですることが困難になった場合」~任意後見制度について~

母の妹である東京で一人暮らしだった叔母(結婚もせず子どももいない)が緊急入院、そして介護付き有料老人ホームに入居するために様々なサポートをする中で、色々な角度から様々な経験をしています。

「終活」の資格を取る際には、一通り学んではきていましたが、学ぶことと実践することは大きな違いがあります。
想像以上に大変であることを知りました。

今回は「自分のことを自分ですることが困難になった場合に代わってする存在の大切さと、それでもなお本人しかできない現状」についてまとめてみます。

そして、それを本人以外でも出来る「任意後見制度」についても触れてみたいと思います。

今回は、少し重い記事になるかもしれません。また長い記事となってしまいました💦
私の覚書、経験のまとめとして書きますが、親のことや家族のことで悩んでいたり、自分自身のこれからの生き方・人生の終わり方について考えてみたい方、知りたい方には参考になる部分もあるのではと思います。

ご自分の判断で、
お付き合いくださいませ。

<自分のことを自分ですることが困難になった場合!>

【本人以外(家族や個人・団体)でも出来ること】

本人以外(家族や個人・団体)で出来ることも沢山あります。
◎買い物代行
◎家事サービス
◎移動サービス
◎身元引受
など

こうに書くと堅苦しいですが、要は、
本人に代わって依頼された買い物をしたり、家事をしたり、通院などの介助、入院や施設入所の身元引受などをすることです。
これは、親族であったり、本人が契約した個人・団体だったりが行うことができ、さらに日常支援では、介護保険を使ってサービスの提供を受けることが出来ます。

自分のことが一人だけでは困難な状態になった時に、「代わってする存在」は大切です。誰かと何かと繋がっていることは必要なのです。
そこにその人への思いがあろうが、なかろうが、と言っては大袈裟ですが、本人に代わってしてもらうことで生活支援となります。
今はまだまだ一般的には、家族が担うことが多いですが、家族に代わって生活支援をする個人・団体もあります。
家族以外は、それらの個人・団体と契約をしたり、介護認定を受け介護サービスを受けることになります。

【本人にしかできないこと】

でも、本人にしかできないこともあります。
それは、

◎金融取引
◎不動産取引
◎契約解除
などです。

これらは「本人の承諾を得ていたとしても」また親族であっても様々な手続きが必要です。

結局基本は「契約は本人が行い本人のみが契約解除をすることが出来る」のが原則だからです。

これは、契約した本人の意思が尊重されるため、とても大切な制度でもあります。

しかし、それにより「自分のことを自分ですることが困難になったときに」簡単に人に頼めないという状況も起こるわけです。

今回叔母の件で、私が経験をしたこと一つ一つがまさにそのことです。

たとえば
◎携帯電話を買う
◎ホームへの入居金を叔母の通帳から振り込む
◎テレビ、インターネット、電力などの契約を解除する
◎固定電話を引っ越しする

これらは本人が携帯ショップや銀行に行くことが必要となりますし、契約の解除には、本人と手続きをする者との関係を明らかにする必要があります。

今回は、まだ叔母を連れて行くことで手続きができましたが、本人がその場に行けないような時には、本人にしかできないことを代わってするためには、多くの労力を要するか(例えば、私と叔母の戸籍謄本を取る←それぞれの本籍地に行かなければならないなど)「任意後見制度」を利用することが必要になります。

<任意後見制度(任意後見契約)について>

後見の制度について

一般的に後見とは、保護を要する人の後ろ盾となって補佐することをいいますが、法律上の後見は、後見人に財産管理や日常取引の代理等を行ってもらうことによって、保護を必要とする人を守る制度をいいます。

法律上の後見には、法定後見と任意後見があります。
法定後見は、裁判所の手続によって後見人が選ばれ、後見が開始する制度です。例えば、未成年者は、通常は、親権者である親が未成年者に代わって財産管理や取引を行って未成年者を保護してやるのですが、親がいない場合には、裁判所が後見人を選任して未成年者を保護します(未成年後見)。

また、成人でも、精神障害等によって判断能力が不十分な人については、裁判所が後見人を選任して保護します(成年後見)。
これらに対し、保護を必要とする人が、自分の意思(契約)によって後見人を選任するのが任意後見の制度です。
つまり、法定後見は、判断能力が既に失われたか又は不十分な状態であるため、自分で後見人等を選ぶことが困難な場合に、裁判所が後見人を選ぶ制度であるのに対し、任意後見は、まだ判断能力がある程度(後見の意味が分かる程度)ある人が、自分で後見人を選ぶ制度なのです。

任意後見契約とは

任意後見契約とは、委任契約の一種で、委任者(以下「本人」ともいいます。)が、受任者に対し、将来認知症などで自分の判断能力が低下した場合に、自分の後見人になってもらうことを委任する契約です。

人間は、年を取ると、次第に物事を判断する能力が衰え、これがひどくなると、認知症(老人性痴呆、いわゆる「ボケ」)と言われるような状態となることがあります。誰しも、自分だけはボケないと思いがちですが、我が国の認知症高齢者は、2012年時点で462万人に達しており、2025年には700万人を突破すると予想されていますから、油断は禁物です。認知症に罹患して、いわゆるボケてきますと、自分の財産の管理ができなくなり、いくらお金を持っていても、自分ではお金が使えない事態になります。
また、病院等で医師の治療等を受けようとしても、医師や病院と医療・入院契約を締結することができず、治療等を受けられなくなるおそれもあります。

そこで、自分の判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ、自分がそういう状態になったときに、自分に代わって、財産管理や必要な契約締結等をしてもらうことを、自分の信頼できる人に頼んでおけば、すべてその人(「任意後見人」といいます。)にしてもらえるわけで、あなたは安心して老後を迎えることができることになるわけです。

このように、自分が元気なうちに、自分が信頼できる人を見つけて、その人との間で、もし自分が老いて判断能力が衰えてきた場合等には、自分に代わって、財産管理や必要な契約締結等をしてくださいとお願いしてこれを引き受けてもらう契約が、任意後見契約なのです。

そのため、任意後見契約は、将来の老いの不安に備えた「老い支度」ないしは「老後の安心設計」であると言われています。

叔母は、「死後事務委任契約」と「生前契約」をあるNPOと結んでいて「遺言公正証書」は作成していましたが、「任意後見人」としては契約をしていませんでした。

叔母が亡くなってからは、その「遺言公正証書」により、叔母の財産を「遺言書」に則り執り行うことはできますが、生きている間は「後見契約」をしていなかったので、家族がしなければならないことを代わってすることしかできなかったわけです。(つまり本人を銀行に連れていき振り込みをしたり、本人をショップに連れていき携帯電話を買ったり、などです)
そして、その手続きには全て交通費、日当がかかるわけです。
今は私が仕事をしていないため、叔母のために動けるし、家族の協力もあるのでNPOに依頼せずサポートをしてきました。
もちろん、私も「任意後見人」になっていないので、出来ることには限りがあったわけです。

「任意後見契約」を締結するためには、任意後見契約に関する法律により、公正証書でしなければならないことになっています。

本人の意思をしっかりと確認しなければいけないし、また、契約の内容が法律に従ったきちんとしたものになるようにしないといけないので、長年法律的な仕事に従事し、深い知識と経験を持つ公証人が作成する公正証書によらなければならないと定められているのです。

つまり、本人と後見制度を結ぶ両者が「公証役場」に行くか、「公証役場」から出張してもらうかなどをして手続きをするなど、簡単に「後見人」になることはできないのです。

実は、以前私が「任意後見人」になり、群馬の「サ高住」に入居することも話し合いましたが、ちょうどコロナ禍となり、話し合いも前に進みませんでした。
また叔母本人もまだ自分事として考えられなかったのかもしれませんし、東京で自分で購入したマンションで悠々自適に暮らしたい気持ちもあったでしょうし、だからこそ一人で暮らしている時にはNPOの存在も必要だったのだと思います。

叔母は「死後事務について」と「日常生活支援」はしっかりNPOと契約をすることで整えていました。しかし、「後見契約」まではしていませんでした。
誰もが自分が自分のことをができなくなったり、困難になることを想定して準備するのはなかなかできないものです。
「まだできる」「まだ大丈夫」と思うからだし、そう思いたいから・・。
だから、結局「自分のことを自分ですることが困難になった」時に大変になるわけですがそれも仕方がないことかもしれません。
でもそれにより大変なのも事実です。


叔母は「誰にもお世話にならずに、一人で生きて一人で死ぬ」と決意して「死後事務委任契約」をあるNPOと結んだわけですが、先ほども言った通り、叔母が「東京で一人暮らし」をしている限りは、そのNPOとの契約は意味があったのだと思います。
でも叔母がそのNPOと契約した経緯があるのです。
ある出来事で傷ついてしまったその切ない気持ちや、だからこそ頑なになってしまい契約に至った気持ちをなんとか溶かしたい、と私も母も祈り続けていたので、少しずつ叔母の心を癒すために、繋がりを意識してきました。

もちろん、NPOを信頼して最後までその契約を続けて、死後についてもお世話になるという選択も出来ます。
だから、叔母がどう選択するのかは叔母の気持ち次第だと思っていましたし今も思っています。

私は、父や義父母のこと、そして叔母のことで「終活」を学び、保育業界を退職して、叔母とも関わってきました。

昨年も今年も秋に母と叔母を連れて旅行に行きましたし、NPOの存在も叔母がそこを選んだことも否定することなく、一緒に相談に行ってきました。

もし、叔母の気持ちを無視して、
「そんなところ契約辞めたほうがいいよ」と言っていたら、きっと頑なな心は溶けなかったかもしれません。

叔母と繋がる、関わる、叔母の思いを聞く、一緒に行動する、その繰り返しでやっと今の状態になっているのです。

そして先日叔母から「NPOとの契約も解除してもいいかな」と言い始めたのです。

それは、退院・入居の際に、NPOではなく私が全て取り仕切った事実も理解できているし、何よりも今入居している「介護付き有料老人ホーム」が安心して信頼でき、心地よく生活できているからだと思います。

ここにいる限り、NPOの生活支援は必要ないと・・。

叔母の思いはまとまってきましたが、とはいえ、「死後事務契約」をどうするのか、についてはまだ叔母の気持ちを確認していませんし、話し合っていません。なので、今後しっかり話し合いが出来たらと思っています。

その結果、契約解除を叔母が決意したら、今度はその契約を解約するためには、何をすればいいのかを考え、取り組む必要があります。

また、もし契約を解約したら、叔母との間に私が「任意後見契約」を締結する必要もありますし、ある意味、叔母が「任意後見契約」をNPOと結んでなかったことは幸いだったのかもしれません。

叔母の認知の状態は、進んでいる様な気がします。
なのであまり余裕はないかもしれないのです。

認知症と判断されると、「任意後見契約」は結べず、「法定後見制度」への移行になります。

そのあたりも含めて、7日の月曜日、以前法律事務所で働いていた行政書士の友達に面談を申し込んでいます。
契約書や公正証書などを持参し、相談してきます。

長文となってしまいました。わかりずらいところもあったと思いますが、
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。

今後も進捗状況をお伝えしながら、情報をお知らせしていこうと思っています。

なお、私が書いた情報や理解が間違っている場合などありましたら、ぜひご指摘いただけると嬉しいです。(優しく教えてくださいませ💦)

また、「生前契約」や「死後事務委任契約」を家族以外の誰か、または団体と結ぶことがダメと言っているわけでもありません。

一人一人の人生の終わり方は、それぞれの選択であり、家族の事情や思いにも関連していると思っています。
そのあたりもご理解いただけますようよろしくお願いします<m(__)m>

「書いた人】

江村恵子@夢☆相談室・ゆるふわ雑談会です。

「恵子さん」と呼んでください。

⭐つなぎびと⭐ 元保育士/
1種幼稚園教諭/終活アドバイザー/
終活ライフケアプランナー/身上監護アドバイザー/終活ガイド上級 ☆/
心理カウンセラー上級取得☆

好きなもの・好きなこと💓/
家族、旅行、自然、家庭菜園、空、新緑、花、
読書、俳句、おしゃべり、カーブス

尊敬する人/マザーテレサ

リアルでは
「終活アドバイザー群馬サークル」
代表。


オンラインでは、元保育者として、
母として、終活ワーカーとして
「素敵に生きる人生について」について
発信をしながら、
「ゆるふわ雑談会」を開催中。


また、仲間と立ち上げた「夢☆相談室」の室長もしています。

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よろしくお願いいたします<m(__)m>


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