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天体へのロマン

先日、前澤さんが宇宙に行った時のドキュメンタリー映画「僕が宇宙に行った理由」を観てきました。
とんでもない。
全人類、”映画館で”見るべき作品でした。

いつも行く映画館にCOMINGSOONの文字とともに貼り出されていたポスターを観て、みたいなと思っていた作品
気づけば2週間だけの上映で(地方だから2週間やってくれるだけでもありがたい!!)しかも、県内で単館上映。
観なきゃ!と思ったときにはもう翌日で終映の文字。
スケジュール帳を確認すれば、時間ドン被りのバイト予定。
絶望でした。
あーあ、サブスク…来ない気がするな。
観たいな
でもな。
そんなこんなで悶々としながら調べていると、
口コミもめちゃくちゃいい。
しかもやっぱり、映画館のスクリーンで宇宙を覗き見ることにはロマンしかない。
どうしてもあきらめられず、観なきゃ絶対後悔するぞ、と思って
バイトを代わってもらいました。
「どうしても観たい映画が」そんな理由でバイトを代わってくれるメンバーと店長には本当に感謝。

そして、実際、観てきたのですが。
もう、本当によかったです。
私が宇宙好きな理由って、たぶんハルカミライの「宇宙飛行士」という音楽が大好きだからで。BUMPのorbital periodのアルバムが大好きだからで、理由の大半が音楽なんですよ。
音楽をきっかけに空を見上げることが多くなって、
写真に収めることが多くなって、
死ぬまでに絶対にオーロラは観に行きたいんですよ。
完全に余談でしたが、もう本当に、そんな薄い理由。

だけど、ロケットが打ちあがった瞬間、
宇宙船の窓から真っ青な地球が見えた瞬間
ISSの窓から宇宙をみれた瞬間、
涙ってこんな風に出てくるんだっていうくらい
ぼろぼろと零れてきて、どんな映画を観るよりも泣いている自分がいました。

どんな風に撮るんだろうとおもっていたけれど、
カメラマンの方も一緒に訓練をするんですね。
とある書店で表紙が隠された状態で買った本が光文社新書の「ドキュメント宇宙飛行士選抜試験」というもので、
宇宙飛行士になるのってこんなにも過酷なんだと文字で追っていたものが
映像で、しかも旅行者も同じようにしていて、
宇宙に行きたいという夢があったけれど、
こりゃわたしには無理だ、と三半規管がおびえていました。
特に寝かせられた状態で遠心力がとてつもなくかかりそうなごっついアームがぐるんぐるんまわるやつ、あれ、わたし外からみてるだけでも吐きそうでした。

でも、そんな本で読んでいた宇宙飛行士の方が現れたり、
文字だったものが映像としてよりリアルに体感できたり、
もう本当になにもかもが完璧ではないか、という自分の中のタイミングで、
早々に今年のベスト映画に入りそうなものを観ることができました。
本当におすすめです。まだ上映している場所があれば、
音響も画質も段違いなので映画館で。

そんな、宇宙の姿を見れるだけでも本当にありがたい映画なのに、裏テーマが「NO WAR」なんですよね。
前澤さんがところどころで語っていた言葉がすごく良かったので、ここで。

「偉いひとがここに来るといいよ」
窓からみえる青い地球を見つめて。
上から見たら、本当に、ただ、青。陸があって、海があるだけ。
国境なんか関係ない、人種なんて区別は一切ない。
そんな光景を見ながら会議すれば、もっと世の中は平和になるんじゃないか、と。

「政治家や科学者には言えないことが、音楽家とかには言えるんじゃないか」
この光景を見たとき、アーティストの方はいったいどんなものを生み出すんだろう。凡人の私が、映像越しに見るだけでもこんなに言葉や感情があふれてくるのだから、きっととんでもなく影響のあるものが生まれるのかもしれない。実際音楽を通して宇宙に想いを馳せている私がいるわけですから。

「変わらなきゃダメかな、変わることを要求される圧力を感じる」
宇宙で休む暇なくインタビューを受ける中で漏らした一言。
ただの娯楽として、自費で、過酷な訓練を乗り越えていっているのに、すべて映像として、記事として、残している前澤さんには頭が上がらない。本当にありがとうございます。
それを大前提にしたうえで、
「なにか変わりましたか?」
たしかに、想像もできないほど美しいであろう空間にいっているのだから、
誰もがいける場所じゃないのだから、
期待を乗せて、尋ねるのかもしれない。
でもたしかに、変わることを強要する意味はないよな、と。
そんなの、すぐに言葉にできるほど簡単じゃないよ、と。
あまりにも美しい景色を見たとき、”じーん”という感覚が残るだけで、じわじわと喉元までなにかがせりあがってくるだけで、言葉は後からやってくるものじゃん、と。
私事ではあるのだけれど、実は出版業界への内定が決まりまして、
自分もインタビューをする機会はなきにしもあらず。
名前を公表して記事を書くことの恐ろしさを最近はひしひしと感じているのだけれど(どうしても記事を書くときって主観になる部分もあるから)、
インタビューの仕方もいろいろあるよなあ、と。
どんなことを聞くといいんだろう、と。
エンタメとして世の中に出そうとすると、どうしてもありきたりだし、
かといって仕事だから自我を出しすぎるのはちがうよなあ、と。
できるだけ圧力をかけない言葉の出し方をしたい。

「世界平和とか大きいことじゃなくて、身近にいる人を大切にした方が」「みんなが思っている小さな努力を積み重ねるほうがいいんじゃないか」
これまで、トップとして走り続けて、言葉を発してきたひとが、宇宙から帰ってきて発した言葉。
なんというか、救われたな~と、人のために、って、誰にでもできるんだ、と。
嫉妬心の塊な私なので、大きいことを成せない自分がめちゃくちゃ嫌いなんだけれど、そうじゃないのか、と。ちょっとした小さなことを積み重ねるだけで、もしかしたら少し変わるのか、と。
年明け、自分の半径数メートルのことしか考えられていない自分に嫌気がさしたけれど、その数メートルを全力で大切にすればそれで別にいいのかもしれないな、と。

坂元裕二さんの台詞にもあったけど、「人にできることって耳かき一杯くらいなのかもしれないけど、いつかね、暴力や悲しみが消えたとき、そこにはね、僕の耳かき一杯も含まれているんだと思うんですよ」と、あれか~、と。

大きいものを背負って、さらに大きいものを追い続けていた人が、耳かき一杯でいいって言ってくれる。それにすごく、助かった~と思ったんですよね。

これとしたことを成しえなくても社会の歯車として存在する意味はあるというか。言葉にするとありきたりっぽいけれど、じ~んとする感情で。



観てから書くのにかなり時間がかかってしまったけれど、本当にいい映画でした。

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