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千年の記憶

紫宴(千年藤)

春の終いの宵のこと

雲の絶え間に フーゥワリ と

仄かに耀る(あかる)  月の笑み

瀬ぜ駆る 風の 手招きに

そよぐ青野を彷徨いて

螺旋の蔓先  手繰りて寄れば

薄闇に 浮かぶ  紫の瀧

…音もなし

息止めて 瞳  凝らせば

微かな揺らぎに 揺蕩う(たゆたう)香り

幾たびの 季節廻りても  再びは 来ぬ  この様に

酔いしれる暇(いとま)なく

ホロリと解けた ひとひらは

千重の契りの  杯の中

いのち  千載   ゆぅらりこ

想い  満(万)載   ゆぅらりこ

今ひととき

刻の流れを 留めよとばかり

千歳(ちとせ)の記憶   紐解かん

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兵庫県 大歳(ださい)神社 「千年藤」に寄せて。2010.4

小さな小さな神社さまの境内一杯に広がる藤棚は、ほとんどが一本千年の藤なのだそうで、平安時代に植樹され今年(2010年)の時点で、樹齢1050年となる。

大きな幹に蔦が絡んで大木化した捻れた枝が一段と風格を増している。神社からはみ出たフジの蔓は商店街や住宅地の一角にも見られる。

拙い文章です。サポート頂くことは考えておりませんが お心遣い下さった方へ、心から感謝申し上げます どうかこれからも暖かく見守っていただけますように。