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株式会社GOの三浦崇宏さんの著書『超クリエイティブ』から

今回は株式会社GOの三浦崇宏さんの著書『超クリエイティブ』から、企業が社会に新しい商品や サービスを提供するときの前提と、クリエイティブの核であるコアアイデアの生み出し方について みていきます。

弊社でも3/26に新しくECとストレッチのサービスをリリースしました。どちらも決して真新しいも のではないからこそ、他社にはない独自性とその裏には必ず独自の想いや価値観がなければな りません。

三浦さんの著書を読み、新しい何かを世の中に提供するとなったとき、コアアイデアは必ず考え なければならない核となる部分であり、途中でサービスが迷走しないようにするための原点でも あることを改めて感じました。現代はいくらでも便利なサービスがあって、自分が思いつくものは 大抵すでに形になっている中で、わざわざ時間やお金をかけてそれをつくる意味は何なのかを、 常に見直す必要があります。

大きく2つの項目に分けてまとめてみました。

1.企業が社会に新しい商品・サービスを提供するときの前提


大前提、企業やブランドは社会の課題解決に意識的であることが求められます。社会の課題と はその時代、その状況によって様々ですが、いずれにしても世の中に新しい価値を作り出すとい うことを目的に、新たな商品やサービスが生まれます。

そのためには、まず「モラル」と「教養」というベースメントに、「戦略」や「表現/アクション」「人間 力」といったそれぞれに紐づく具体的な力を兼ね備えていることが必要だといいます。三浦さんの 考える5つの要素が下記です。

モラル: 誰かを傷つけたり、貶めたりすることがないように配慮する、最低限のルール。優先的配慮を必 要とする人々に対しての想像力、倫理観。
教養: 知識の積み重ねによって物事を大局から思考・判断できるストック型の知識であり、総合的に社 会を俯瞰できる知性 古典を知っておくことがクリエイターにとって一番重要な、人間の感情や欲望への理解度を高め る。その感情の総体である社会はどんなときにどう動くのか、本質を把握する力につながる。
戦略: 世の中で何が起きているかを把握して、企画を立てて生活者・ユーザーを動かす筋道を整えるこ と
表現:アクション: コアアイデアを実装するうえでの具体的な表現、実行力
人間力: 顧客関係力とチームビルディング

当たり前のように思える前提ですが、サービスを発展させていくなかでこれらが1つでも欠けると ブランドとしての価値を失いかねません。実際、差別的な表現をした企業のCMが打ち切りになったり、時代にそぐわない考え方の発信でユーザーに響かない、あるいはSNSで猛烈にバッシング を受けることがよくあります。

広告で社会問題に向き合うときには特に注意深く、問題の当事者がどんなことに苦しんでいるの か、真摯に思いを馳せる必要があります。ただトレンドに乗っかるかのようにそのテーマを扱った りすると、ブランドにとって無価値になるどころか、害悪になることもあるからです。

常にその時代のモラルや教養をアップデートさせ、表現を磨くこと、そしてそれらをかたちにする ために人間力を身に着けることが重要です。

2.コアアイデアの生み出し方 コアアイデアとは、


企業やブランドが「変化あるいは非連続な成長を生む際に、中心となる考え 方」で、クリエイティブの核となるアイデアを指しています。

コアアイデアは「本質発見力」と「世界の複数性への理解」で作り出すことができます。

《本質発見力とは》 目に見える現実を言葉にして「抽象化」するプロセスのことを呼んでいます。あるものやサービス の価値を、個人やユーザーの視点ではなく、社会においてどのような価値を持っているかを可能 性ベースで考え直し、言語化する過程のことです。そのものや現象の本質的構造を見抜き、か つ、従前よりも一気に可能性を広げる言葉でつかみます。 具体的には下記のような3つの方法があります。

1、A→Bに翻訳して認識を変化させる これってこういうことですよね?と世の中での大きな意味に置き換えられる力

例えば、横浜スタジアムを「野球観戦の場所」ではなく、「野球をつまみに飲める大きな居酒屋」と して定義し直し施策を打ったことで、観客動員数を増加させることに成功しました。

2、「社会」「未来」「人生」3つのベクトルで変換する 1.社会に対してどんな意味があるか
2.未来で広がったらどうなるか 3.自分にとって、あるいは熱狂しているユーザーの人生にとってどんな意味があるか

3、極力シンプルに構造だけを抜き出す ・固有名詞を除く
・時系列を無視する ・行為(商品)と現象の関係性だけにフォーカスする

例えば、アップルという企業の成長には「すべての人のクリエイティビティを解放する」という思想 があり、スターバックスにおいては「サードプレイス—職場でも家庭でもない、心からリラックスで きる第3の居場所」という価値がコアアイデアとして機能してきたことが例としてあげられます。

《世界の複数性を理解する》 世界の複数性を理解するとはつまり、他視点を持つということです。

・今、自分が生きている実感のある現実とは違う世界が無数に広がっている ・自分が生きているルールだけではない別のルールが世界には無数にある
・その世界の変化や集合意識は確実に互いの人生に影響を与えている

複数の視点への多面的考察が「みんなが共通して持っている欲望」を発見する力にもつながると いいます。知らない世界まで視野を広げて想像力を働かせる必要があるということです。

三浦さんは、問題定義できる言葉の力がないと優れたクリエイションは生み出すことができないと まとめます。 売り出したいサービスが提供できる価値と、解決したい問題の根幹をいかに抽象化して言語化で きるかがカギになると分かりました。

しかしそのためには、様々な人に出会って話したり、経験を積むことで、あらゆる立場の人が 日々どんなことを感じ、どんな行動をしているのか、考えをめぐらせる視野の広さが必須になって きます。

私がこの本を読んで一番感じたのは、新しい価値を創造する人には、やはり人としてあるべき経 験値が積み重なっており、豊かな想像力を備えているのだなということです。 これからも世の中に新しい、そして面白い価値を提供するために、世代を超えて新しい人と会うこ とや、人間力を高めることを意識して続けていきたいと思います。

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