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Gibson L-37 1940

何やらよく分からないが古いFホールのギターがジャンクとしてネットオークションに出ていた。ヘッドのマークはGibsonのように見えるが、PC画像ではよく分からない。ボディー表面は上塗りされているのか、それが失敗したのかボロボロの雰囲気だ。毎日見ていると、だんだんその気になってきた。こいつを蘇らせたら面白い。思い切って落札した。

ケースは無くプチプチシートにぐるぐる巻きにされたギターが届いた。どういう意味があったのか、ネックもボディーも中途半端に塗装されていた。ヘッドのGibsonマークは保護のつもりかクリアテープが貼ってあった。ボディーの上塗りは中途半端で、元のサンバースト仕上が透けて見える。おそらく1940年代のGibson L-37ではないかと思ったが、当時は同じようなギターがいろいろ出回っている。仕上げる価値はありそうだと思った。

さっそく友人のギター工房に持って行く。大変なのはボディーとネックの上塗りを剥離する作業だろう。友人はボディーの一部をコンパウンドで剥離して、このくらいかな?と私に見せた。サンバーストが見える。「生き返るかな?」私の心配げな問いに「大丈夫だと思うよ」と友人は答えた。ネックは打ち直しかな。ピックガードは付けてほしい。ペグは白で…。やるとなれば、アレコレこだわりの会話が続いた。

数か月後、生き返ったGibsonを前に友人から説明を聞いた。ネック指板は削りフレットを打ち直した。ヘッドの旧Gibsonマークは消えないように剥離したが微妙な感じになった。ピックガードはセルロイドを探した…。見事にGibson L-37が蘇った。ボディもヘッドも傷だらけで、テールピースは錆ついているがヴィンテージの迫力がある。ヘッドマークは消えかかっているが、Fホールのボディからは枯れた響きが出る。このギターが生まれた時代には、この細いネックで複雑なジャズコードを駆使してストロークしたのだろうか。どうしてガラクタ同然に塗装したのだろうか。いろんな疑問はあるが、「物言わぬ友人」は応えてくれない。

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