【東の海編】ルフィが勝ち取ってきたもの


ONEPIECE無料公開期間につき、10年振りくらいに東の海編を読んだ。
自分はこの漫画を道徳の教科書として育ち、今も本誌で追いかけてる人生の一部なんだが、改めて読み直して本当に面白くて感動しまくりだった。

自分にとってのONEPIECEを振り返るいいきっかけになったので、先のネタバレを避けつつ各エピソード事に感想を残して行こうと思う。

とりあえず【東の海編】の12巻まで。
連載当初の尾田先生は22~25歳くらいかな?
その年齢を超えた今感じるのは、20代前半の青年がこの漫画を書いたことのやばさ。
巷で散々言われている伏線の巧みさ以上に、作品の核となるロマンやアウトローのカッコ良さの理解度が凄まじすぎること。

カッコイイ構図も沢山、エピソードの出来も繋ぎも良すぎていっぱい泣いちゃったよ。


・ルフィが勝ち取るのは宝でも名声でもない

ルフィが目指す海賊王は、シャンクスへの憧れとそれを超える夢の像。
シャンクスほど偉大な海賊でもまだ辿り着いていません。その険しさは、単純な喧嘩の強さだけでは成しえないところにあると思っています。
大きな野望を持つ者はその道程で、別の野望とぶつかります。譲れないプライドが相対すれば、意志を折る戦いになります。
それが良く分かるのが、この【東の海編】だと思います。


アルビダ、バギー、クロ、クリーク、アーロン。略奪や暗殺や処刑など、彼らは存分に力を奮っています。
邪魔するものを蹴散らすのは勿論のこと、支配のために奪えるものは奪う。そんな海賊らしい海賊です。

一方ルフィは自分のやりたい事を自由にやって、邪魔するものはぶっ飛ばすというタイプの賊です。
人助けは目的じゃないので、自分から敵を作ることはないです。

だいたい前者が喧嘩をふっかけるか、ルフィの勝手の行動が目に余って敵対関係になります。
それだけなら、別に勝つ必要はありません。
けれども結果として衝突して勝つことが必要になってくる。
その戦いの意味こそがONEPIECEの根本的な構造だと考えています。


【東の海編】での、敵対関係勝利の必要への変化


vsアルビダ


ルフィがアルビダの縄張りに乗り込む(事故)

コビーの夢へ加勢する

vsバギー

ナミを航海士にするため

プードル町長の決意を引き継ぐ

vsクロ

暗殺計画を聞いてしまう

ウソップの決意に加勢する

vsクリーク

クリークのバラエティ襲撃

ギンの恩義を貫くため

vsアーロン

ナミを連れていくため

ナミを助けるため


私の解釈ですが、上記の通りルフィが戦って勝つと決めるのは、誰かが自分を貫くために行動した時です。
ナミの一件がまさにそうですが、過去の事情を問題にせず、あくまでもその時点での、自立心や信念に応えるために戦って勝つことを決めるのです。

勝ち取るもの、それは財宝でもなければ、名誉でもありません。思いを継いで、過去の無念を晴らすということです。

ルフィの目的は、シャンクスのような海賊団を作って冒険することですが、その果ての海賊王という夢は、この戦いの先にあるのです。


・ルフィというアウトロー

で、ルフィがやってるのは人助けかと言うと全然そうじゃないんです。
悪から民を護るというヒーローは、この世界だと海軍の役目です。

理不尽を見過ごす程冷徹ではないですが、あくまでも自分で立つ意志のある者に協力するという立ち位置です。

信念を重視している点に関しては、他の海賊と同じです。
この先90巻近くの物語の中で、何と戦い、何を勝ち取り、何が他の海賊と一緒で、何が違うのか、それを自分に問い続けながら読んで行こうと思います。

次は屈指の名エピソードである【アラバスタ編】。
自分も大好きな話です。とても楽しみです。

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