見出し画像

スイッチを押すとき 山田悠介

ありえない設定ではあるが、
手に持っているスイッチと命が繋がっている子どもたちの
葛藤や苦悩を見ると今の自分の人生がどれだけ恵まれているかということを
再認識させてくれる。

少子化の日本にとって、子供が自ら命を断つ行動は避けなければならない。
ランダムに選ばれた子供たちは、心臓にスイッチと繋がる起爆装置のようなものが移植される。
日常の生活から隔離され孤独と戦う子供達は、孤独に耐えられずスイッチを押し、自ら命を断つ。

この実験は残酷だ。今後も制度として導入されることはない。ありえない。
自殺を防ぐために、普通に生きている子供達を孤独にし、死を選ばせる。
死を選んだ際に、何が死と直結しているのかをデータとして取るために。

ありえないと分かっているのに、理不尽なことを「仕方ない」と
自分に言い聞かせ、自分の生活に苛立ちを感じながらも生きている子供たち。
強靭な精神力に感銘を受けながら、読み進めた。

センターに新しく配属された南洋平と、隔離生活を要請され7年間スイッチを押さずに生きていた4人の子供達が出会うことで物語が進んでいく。

スピード感のあるストーリー展開に、読み入ってしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?