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【フルート・能管・龍笛】和洋 横笛の統合的表現 【FC28】

こんにちは。音楽家のMiyaです。私達の日常には様々な音楽が溢れていますが、その中で日本の芸能のルーツにつながる音は少なかったりします。日本古来の音楽には興味深い思想がたくさんあります。今日は日本古来の笛の魅力と、それをどう現代社会に反映していくのかをお話しします。

脱亜入欧が日本の音楽に与えた影響

明治以降の脱亜入欧によって、西洋式の音楽が導入され、能楽、雅楽、民俗芸能など日本の芸能文化を作ってきた音は一旦主流から外されました。現在では、日常ので音楽は、「ドレミファソラシド」という西洋式音階がベースになっているものを意識する事が多いのではないでしょうか。教育からそうなので、仕方ないのですが、平均律をベースにした音楽は世界全体の中で見ると、一部でしかなく、元々、自分達の土地にあった豊かな音に触れないのは勿体無いと思います。

認知度の低い日本の笛

フルートに憧れる人はたくさんいますが、篠笛はともかく、能管や龍笛は存在すら知らない(私がそうでした)人もいるのではないでしょうか。フルートに比べて認知度が低いというだけで、全く知られていない、という事ではないのですが、思想も含めて日本の土地と結びついている楽器なので、教育の段階で触れる機会をもっとつくって欲しいと切に願います。

整わない事の大切さ

能管や龍笛を演奏していると、西洋音楽にはない、日本古来の音楽の発想の豊さに驚かされます。例えば、能管は「ノド」といって、わざと音程が狂うように設計されている箇所があります。

ノドの由来は諸説ありますが、幽玄を主体とする能の表現は、神世と現世の交信が描かれ、「整った」状態では神世と交信できない、少しズレる事で神世とつながる、そのための「ノド」だという説もあります。

現代では「整う」事が良い事とされていますが、「整わない」事を美徳とする日本古来の発想、面白いですよね。

音楽から生まれた言葉

能管の稽古の時に、太鼓を叩くと表現したら、師匠が穏やかに「Miyaさん、太鼓は"打つ”というのですよ。”打ち合わせ"っていうでしょう" 」と教えてくださいました。打ち合わせも、元は音楽用語から来ているのですね。言葉のルーツを知ると臨場感が感じられますね。

換骨奪胎・ハイブリッドの可能性

日本のすごい所は、前回の記事に書いた漢字の訓読みもそうですが、自分達の国に新しいもの入ってきた時に、元々土地にあるものと掛け合わせて、全くオリジナルのものを作る能力が高い事。色々な分野に言える事と思いますが、そのオリジナルのものの質がそもそも高い。

また、音楽の世界では、一夜にして全てが変わるという事があります。演奏家個人の変化では、何かきっかけがあって、いきなり別人のような演奏になったり、シーン全体だと、今まで「こういうのはちょっと…. 」と評されていたものが、いきなり主流になる、というのを何度も見ています。日本の現代のポップスが海外で人気がある事を見ても、脱亜入欧を掲げていた頃はこんな事になるとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。

音楽は義務教育では「ドレミファソラシド」がメインで、一般の人が古典芸能の思想に触れる機会が限られていますが、それも時間の問題で、少しずつ日本の芸能のルーツとつながる発信が増える事で、切れてしまっているリンクを繋ぎ直し、最強の音が生まれると信じています。

直書観音公演のご案内

書道家の白石雪妃と音楽家Miyaのユニット「直書観音」では、フルート・能管・龍笛と、和洋の笛を使い分けながら一つの表現としてお届けします。幻想的な空間を生み出す二人の表現。是非会場にて生で体験いただけたら嬉しいです。

2023年 11月19日 直書観音 Vol.17 うるおいの座







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