宮塚恵一

小説を書いています。しがないどこぞの雇われ塾長。アラサー。主イエスを神と信じます。 …

宮塚恵一

小説を書いています。しがないどこぞの雇われ塾長。アラサー。主イエスを神と信じます。 skeb https://skeb.jp/@miyaduka

マガジン

  • 尾々間くみ子のご馳走シリーズ

  • AUTO HALL CITYシリーズ

    カクヨム、KAC2022にて投稿していた連作短編の上げ直しと新作発表の場です。 世界観は共通ですが、話は独立しているので、Chapterのどこからでも読めます。 全作約4,000字(読了目安時間5分/話)

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第二回怪獣小説大賞:「怪獣の呼称」

「新規書き下ろし作品の参加限定!」 「カクヨムより現れた本企画をこれより“第二回怪獣小説大賞”と呼称する!!」  というわけで、怪獣小説大賞のお時間です。  そんなこんなで第二回。  今回も、“怪獣小説”を募ります!! ◆作品審査と講評  第一回怪獣小説大賞では、参加したすべての応募作品に対して主催者が講評をつけます。  また、本企画では、参加作品から大賞・金賞・銀賞を選出いたします。  第一回の様子はこちら↓  副賞等は特にありませんが、ファンアートを書いたなど

    • 第二回怪獣小説大賞講評&総評

       第二回怪獣小説大賞、講評と結果発表です!  個人的な理由で講評発表が遅れてしまったこと、誠に申し訳ない。  今回も上限4万字のおかげもあり、重厚な怪獣小説作品が多数集まりました。どれもこれも怪獣を描いた作品として面白く、これだけ読みたい作品を読めたのは主催者冥利に尽きます。幸せ。  そういうわけなので第3回怪獣小説大賞も性懲りもなく開催する予定だったりするのでよろしくお願いいたします!  それでは大賞発表!! 【大賞】フェンリルの子供たち/志村麦  続いて金銀銅賞の

      • 尾々間くみ子のご馳走❹ 〜吸血鬼と夜更け〜

        「しまった」  大学のレポートをまとめようとしている最中、くみ子は困っていた。  明日の朝の講義で提出期限の為に必要なレポート用紙を切らしている。  ほとんどの講義ではパソコンのメールでWordにまとめたデータを送ればそれでいいのだけれど、明日の近代町村史の講師は紙のレポートでの提出しか認めていないので、レポート用紙が必須だ。 「マジかよー。ちゃんと確認しておけば良かったー……」  幸い、くみ子は大学近辺のアパートに住んでいるので、コンビニに行けば大学生に需要のあるレポ

        • 尾々間くみ子のご馳走❸ 〜センパイとぐちゃぐちゃ様〜

           某県某市の山中にある某村。  その民家の一室で、二人の男女がもてなされていた。  男の方はピッシリとした、遠目からでも目立つ真っ赤なスーツを着ている。  女の方は長身の男と比べて頭二つ分ほど背丈が小さく、髪をお団子にまとめていて、パッと見では中学生くらいにも見えた。  二人は村人に「この村の祭りに外からお人が来るとは珍しい」と、豪華な日本料理を振る舞われていた。 「ヤバいっすね。凄いっす。こんな美味しいお味噌汁食べたの初めてかもしれません」  と、野菜たっぷりの味噌汁を

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        第二回怪獣小説大賞:「怪獣の呼称」

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        • 尾々間くみ子のご馳走シリーズ
          4本
        • AUTO HALL CITYシリーズ
          11本

        記事

          尾々間くみ子のご馳走❷ 〜カステラとぬいぐるみ〜

           尾々間くみ子は、ベッドの上にあるぬいぐるみをじっと見つめていた。  くまのキャラクターのぬいぐるみだが、くみ子はそれが何のキャラクターなのかを知らない。  さっき検索して、10年くらい前にやっていたテレビアニメのキャラだということがわかったが、それだけだ。 「うーん、やっぱりこっちにも特にこれといった変化はないなー」  くみ子は伸びをすると、ぬいぐるみのおいてあるベッドに横になった。  その瞬間、ガチャリと部屋の扉を開ける音が聞こえ、くみ子は慌ててベッドから飛び起きた。

          尾々間くみ子のご馳走❷ 〜カステラとぬいぐるみ〜

          尾々間くみ子のご馳走❶ 〜貘と書店幽霊〜

          書店幽霊  本屋が好きだった。  スーパーの本屋、駅前の大きな本屋、マニアな本が揃っている町外れの中古本屋。  だけど、今やそのほとんどが残っていない。  電子書籍なら置く場所を考えずに何冊も買える。ネット上では小説や漫画の連載をプロアマ問わずに読むことができる。  本屋という存在の意味が、昔ほどなくなってしまったのは、間違いない。  それでも僕は、本屋が好きだった。  所狭しと本が並ぶあの空間。それも、ほぼ全て“買ってもらう”為の本だというのも、図書館と少し違うと

          尾々間くみ子のご馳走❶ 〜貘と書店幽霊〜

          第二回怪獣小説大賞 中間ピックアップ

           皆さん進捗いかがですか!!  2022年も後少し。2023年が来てしまう。2023年ってもっと未来のイメージなかったっけ? ……なんてことを毎年言っている気がする──。  レギュレーションに則して参加いただいた作品は現在計13作品。  第一回の時よりもちょっぴりタイトなスケジュールにも関わらず、第一回の時以上に作品の集まる勢いがあり、ありがたいところです。  作品の〆切は1月3日。三ヶ日の終わり、ということでやはりかなりスケジュール的にもハードですが、お正月を利用してもっ

          第二回怪獣小説大賞 中間ピックアップ

          デザート・ファルコン

           グシャリ、と万華鏡が潰された。  未来の為に、先人が託してくれていた希望。あの万華鏡を手に入れる為に、どれだけの人間が犠牲になったか。  そんなことなどお構いなく、あの少年は万華鏡を握り潰したのだ。 「これでお前たちの野望も終わりだ!」  少年は叫んだ。ゾロゾロと、私の部下が彼を取り囲んでいることなど、恐怖にも値しないと吐き捨てるかのように。 「キサマは分かっていない。あの万華鏡は、未来だ! 人類の次なる進化の為に、何千年と継承されて来たモノだ! それをキサマは! キ

          デザート・ファルコン

          ハッシュタグRTした人の小説を読みに行く 感想置き場。

          21名の参加を受け付けました。 感想を随時投稿していきます。 NO.1 女子高生の私がオッサンに変身するだけの話 ~馬鹿げた能力も使いようと思ったけど、オッサンの姿に親友が惚れてしまって困ってます~ 作者:GAN  流れ星の光を受けた女性達が特殊能力を得た世界で、スルメイカ喰ったらおっさんになる能力を持った女子の話。発想がとことん面白い。おっさんになる能力だけじゃなくておばさんになる男子もいるよ。  こんな設定なのに変身モノのセオリーに結構しっかりと則った序盤で、こうい

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          恐怖‼︎ ランニング金次郎‼︎

           みんなの学校には七不思議とかあったろうか。  学校の怪談。子どもたちに口承されていく、学校内で起こる世にも奇妙なうわさ話のことだ。  わたしの通う小学校にも当然その七不思議があって、子どもたちの間でまことしやかに語られていた。  その七不思議の怪談の主役たちが今。  激烈なレースを繰り広げていた。 「さーあ、今宵もはじまりました! チキチキ! ヨモツヒラサカデッドレース! 司会はこのワタクシ、バッハ鈴木がお送りしております! 昨年度は熾烈な戦いの末、人面犬がトップをか

          恐怖‼︎ ランニング金次郎‼︎

          新次元秩序 ─怪獣災害について考える─ 怪獣博士:相馬悠貴子氏へのインタビュー

           年々増加する怪獣災害について、怪獣の専門家に話を聞いた。 相馬悠貴子氏へのインタビュー  先日行われた新次元秩序フォーラムにて登壇された怪獣学者の相馬悠貴子さん。当フォーラムでは今後も対策の危ぶまれる怪獣災害について詳しくお話しいただいたが、怪獣とはいかなる存在であるのかを改めて彼女に聞いた。 ●怪獣災害に遭遇したら。 ──フォーラムでの発表ご苦労様でした。フォーラムでも話されていましたが、相馬先生は怪獣学者として怪獣とどう向き合っていくべきと考えていますか。  怪獣

          新次元秩序 ─怪獣災害について考える─ 怪獣博士:相馬悠貴子氏へのインタビュー

          『AUTO HALL CITY』Chapter11:Black kitty's diary(ノエルの日記)

          File1  あー、テステス。 (間)  3月22日。逃亡生活1日目。  私はノエル。今日からお姉ちゃんのスノウ共々、ロビンさんのところでお世話になることになった。  それに伴い、以前から付けていた日記を改めて付け直すことにする。  この日記を録音する為に、ロビンさんから未接続の端末機器を貰った。何から何までお世話になりっ放しで頭が上がらない。  私から見て、ロビンさんは服装も格好良い理想の女性と言った感じ。  本業は情報屋だそうで、秘密基地に移ってからも一日中、画面と睨め

          『AUTO HALL CITY』Chapter11:Black kitty's diary(ノエルの日記)

          怪獣の種

           罰が当たってしまったのかもしれない、と思った。  もう一ヶ月以上、家から出ていなかった。大学のゼミにもバイトにも休みの連絡を入れ、親から仕切りに来る電話にも大丈夫だから、と何度もことわりを入れた。  朝起きて、ふらふらと鏡の前に立つ。今までのことは夢だったのではないかと思うけど、その儚い希望こそが夢であると思い知らされる。  頭の上半分が、じゅくじゅくに育った無花果の断面図みたいになっている。  鼻から上を切断して、同じ大きさの挽肉を乗っけたみたいな姿。  頭だけ

          怪獣の種

          『AUTO HALL CITY』Chapter10:Ambiguous Past of A Little Gifted(真夜中の幻と霊媒の夢)

          『Chapter10:Ambiguous Past of A Little Gifted』  空は暗く、天然の光は星明かりくらいだけの時間。そんな時間でも、この眠らぬ街は変わらず煌びやかさを消さないが、それでもやはり昼とは違う。  真っ当な生活をしている人間の殆どは眠りに入り、活動しているのは訳ありの人間が多い。そうでなくても、地下街や裏通りが活発になる。  故郷では、真夜中は幽霊の時間とも呼ばれていたことを思い出す。  人間の義体化や人造人間の製造。そんなことが可能な

          『AUTO HALL CITY』Chapter10:Ambiguous Past of A Little Gifted(真夜中の幻と霊媒の夢)

          タイガー・イン・ザ・スカイ

          前編 宇宙の虎 それは虎だった。  高度100キロメートルの上空。窓の外を見れば、青い惑星の海が広がっているのが見える高さ。弾道飛行による準軌道飛行機にある個室に現れたのは紛れもなく、一頭の虎だ。 「レイノルド・リベイン・チャン」  準軌道飛行機の持ち主である男の名を、虎は呼んだ。正確には、虎の首に取り付けられた首輪からその声は発せられている。  機内は既に無重力状態になっており、個室に現れた虎は宙に浮いていた。相対する男、レイノルドはと言うと、しっかりとした座り心地

          タイガー・イン・ザ・スカイ

          『AUTO HALL CITY』Chapter9:Temptation of Lost Cats(迷子の猫と孤独な暗殺者)

          『Chapter9:Temptation of Lost Cats』  その依頼人は深々とフードを被っていた。  この混沌とした街では珍しくない服装ではあるが、それにしても顔がすっぽりと覆わせてしまうフードは、視界も悪そうで少し心配になるほど。 「スノウと言います」 「スノウさんっすね。わたしはロビン。ここの調査係兼所長代理っす。ウチのことはどこで聞いたんすか」  私は事務的にそんな質問を投げかける。いつもは御歳88歳のお爺ちゃん所長が来客を受け付けるところだが、残念

          『AUTO HALL CITY』Chapter9:Temptation of Lost Cats(迷子の猫と孤独な暗殺者)