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対価をもらってお客様に還元するというお金の流れをもっと「美しい」と感じよう

たまに見る議論として、「経済的豊かさを取るか精神的豊かさを取るか」という議論があります。こういう「お金か感情か」みたいな議論を見るたび、すごく乱暴なテーマ設定だなと僕は感じるんです。

そして、お金を選んだ人に対して、日本では「卑しい人」「守銭奴」といったイメージを抱きやすいと感じています。仕事よりもボランティアを尊いと感じる人も、結構多いんじゃないでしょうか。そんな人に、僕は「仕事をもっと素晴らしいものだと感じようよ」と伝えたいです。

被災地に千羽鶴の話。無償の愛がときに迷惑になることもある

一時期、震災や戦争の被害にあった地域・国の方々を癒やしてあげたいと、千羽鶴を送ろうとした人たちがいて、大きな議論を読んだことがあったのを覚えていますか? 千羽鶴は日本の伝統文化で、歴史はハッキリ分かっていないようですが少なくとも100年以上前には、今と同じ千羽鶴を作る習慣があったそうです。

千羽鶴が今のように平和の象徴として扱われるようになったのは、原爆で被災した女性が病気になった時、折り鶴に自分の健康を願ったことが由来だと言われています。その女性は病気で亡くなってしまいましたが、彼女の想いが今も受け継がれていると考えると、美しい話ですよね。

話を戻しますが、千羽鶴を被災地に送るという話で議論になったのが、「千羽鶴の管理や保管に負担がある」「現地の人が扱いに困ってしまう」という意見が発端でした。日々の生活さえままならず、日用品や必要なものをどうやって被災者に配分していくか考えている中、飾ることしかできない千羽鶴は邪魔じゃないの?という話になったわけですね。

しかも、たった1つの団体や集団が千羽鶴を送るならまだしも、同じ考えで千羽鶴を送ろうとする団体がいくつもいれば、なおさらどこに置けばいいのかという気持ちになります。僕もやはり、被災地に千羽鶴を送るのはただ迷惑になるから辞めるべきだという意見に賛成です。

千羽鶴を送る人たち側としては、被災者の方々と共にあるという想いを形にして送りたかったのかもしれません。その想いは純粋で素晴らしいものですが、相手の状況に寄り添えていない無償の愛は、相手にとって迷惑ですらあるわけです。

ウクライナ戦争の勃発時にも、同じく千羽鶴を送ろうとして議論を呼びました。その時は「ウクライナにとってツルは不吉の象徴だから送らない方がいい」という話がありましたが、これはどうやら間違った認識だとされています。現地の一部民話では、鶴は幸運を招く存在だとされているようです。情報をちゃんと調べるって大事ですね。

それでも、戦争という非常事態に対して、食物でも薬でも武器でもない千羽鶴を送るのは、迷惑どころか無神経に受け取られかねない可能性があることは、ちゃんと認識しておきたいものです。

ボランティアよりも対価をもらって還元するというサイクルの方が美しいと思う

誤解を避けたいので言っておくと、僕はボランティアに意味がない、無償の愛は意味がないなんて言うつもりはさらさらありません。ですが、ボランティアのような無償の奉仕に重きを置くあまり、有償の仕事をないがしろにする考えは危険だと言いたいんです。僕はむしろ、ボランティアより仕事の方が素晴らしいと考えています。

その理由が、お客様から対価をもらいサービスを提供するという一連のサイクルを、とても美しいと考えているから。

例えば、パーソナルトレーニングを提供しているAさんとBさんがいるとします。Aさんは日々、運動指導のため無償のセッションを提供していて、Bさんは有料のセッションを提供しています。

Aさんがよほど破格の大富豪でない限り、無償のパーソナルトレーニングを続けていけば次第に生活が苦しくなっていくでしょう。どこかで生活の限界が訪れれば、無償のセッションは提供できなくなります。

一方、Bさんは自分の仕事に見合う対価をもらい続けることで、自身の生活をちゃんと維持しつつパーソナルトレーニングを続けることができます。結果、Aさんよりも生涯見ることができるお客様ははるかに多いでしょう。結果として、お金という対価をもらうことでより多くの人々の健康に貢献することができるわけです。

それに、お金をもらうというのはこのサイクルをさらによりよくできるということでもあると思います。Bさんはいただいたお金を使って、セミナーや学校に通って自分の知識やセッションのスキルを高めることができるからです。Bさんのスキルが向上すれば、その分お客様の健康もより改善されやすくなります。

持続可能性があり、一連のサイクルをさらによりよくすることができるポテンシャルを秘めている。これこそが、仕事の素晴らしさであり対価をもらう大切さだと思います。皆さんがもしも、自分の報酬を自己決定できる立場にあるのなら、「この金額をもらうことで、自分もお客様も豊かになる」という料金設定をしっかり打ち出していきましょう。それが結果として、将来的に多くの人を幸せにできると僕は思います。

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