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退路を断つ=覚悟の証じゃないよ!夢のためにいきなり仕事を辞める方に伝えたいこと

僕はSNSやネットなどで情報発信をしつつ、直にパーソナルトレーナーになりたい人、もっと活躍したいという人からの相談を受けることがあります。実際に相談を受けていると、「パーソナルトレーナーとして独立するために、今の仕事を辞めました!!」とパッションをぶつけてくれる方がいます。

こういう方は実は少なくありません。その熱意は素晴らしいと思う一方で、「ちょ、ちょっと待って!」と相談を聞いていて焦ることが少なくありません。

背水の陣は蛮勇になりかねない

さまざまなビジネス書で「私はこうして成功しました」という方のエピソードを見てみると、冒頭で話したような「退路を断って死にものぐるいで頑張った」というものが結構あります。仕事を辞めて無一文になり、文字通り背水の陣で仕事に明け暮れた。毎日もやしを食べるしかない極貧時代から成り上がった結果、今の自分がある。こういう話が好きな人は、日本では意外と多いんじゃないでしょうか。

何もかもを捨てて頑張った人の、成功するまでの努力は尋常ではないはずです。血のにじむような頑張りの結果、今の地位を手に入れたというのは素直に尊敬しますし、僕もフリーランスになりたての頃は睡眠以外はほぼ仕事に費やしました。

ですが、今の安定を捨てて死にものぐるいで頑張るというのは成功するための絶対条件ではありません。短期間で成功した人の話にこうしたエピソードが多い裏には、同じように背水の陣を敷いた結果、うまくいかず身も心もボロボロになってしまった人がいるんです。数えきれないほどの屍の上に、成功者の死にものぐるいエピソードが存在するに過ぎません(もちろん、成功した方々がこの屍を築いたわけではないですからね)。

僕が知っている人の中にも、退路を断って頑張った結果、身体を壊したりメンタルを病んだりしてしまった人がいます。無謀な挑戦をしてしまったせいで、その後の人生に大きな傷を負ってしまったわけです。

そもそも、背水の陣というのは中国・前漢時代のとある戦で、軍師が川を背に陣地を敷いたことに由来します。撤退しようにも川に阻まれるので、前に出て戦い勝利するしか道がありません。そうやって兵士の死にものぐるいを引き出して、勝利を掴んだわけです。

とはいえ、あらゆる場面でこの背水の陣が機能するとは限りません。何もかもを捨てて頑張ることは、向こう見ずの勇気=蛮勇に過ぎないんです。

独立・起業で大事なのは蛮勇ではなく「継続」と「リスクヘッジ」

そもそも、ビジネスで必要なことはこうした背水の陣でしょうか。僕はそうは思いません。ビジネスで成功するために必要なのは、継続して物事に取り組む姿勢とリスクヘッジです。

例えば僕は、学生時代にフィットネスクラブで働く傍ら、パーソナルトレーナーとしてお客様も取っていました。ある程度お客様の数を確保できた状態で、大学卒業後フリーランスとして活動しはじめたので、最低限の生活費を確保できていたのです。その後もSNSをフル活用してオンラインでも集客に励み、多い時には月300セッション近くをこなしていました。しかも、この状態を少なくとも3年以上は継続してこなしていたんです。

その後、現場の仕事だけでなく講師業も兼務することで、収入の柱を増やしていきました。そこから、SNSやnote、オンラインサロンで絶えずコンテンツを発信し続けています。継続とリスクヘッジを常に考え実行してきたおかげで、今の僕があります。そこには、断崖絶壁を飛び降りるような無謀は存在していません。

背水の陣を敷く人は意外と継続ができない

背水の陣を敷いてこれから頑張る!という人を見ていると、意外とその覚悟の割に成功する確率が低い気がします。こういう人は一時のでっかい決断をするのはうまいのに、その後の継続ができていないんです。

数百万のセミナー料金をぽんと払ったり、仕事を辞めたり、彼女と分かれたり。そういう決断でどこか「自分は行動した!」という感情が強くなるものの、その時の覚悟は1年後、半年後、1ヶ月後には消えてしまっています。早い人は3日後には消えていることもあるんです。

おそらく、こういう人はその場の雰囲気やモチベーションに依存しているのでしょう。むしろ、そうした一時のモチベーションに左右されず、機械的にコツコツと努力を積み重ねられる人の方が成功する確率はグッと高いと思います。

20代で圧倒的な成果を上げているトレーナーさんもたまにいますが、この方はコツコツの努力を「圧倒的に」重ねているんです。周りが1日8時間働いているところを、12時間働いていたりします。しかも、ダラダラ働くのではなく超濃密に活動しているんです。こういう人は本当に機械のように淡々と物事をこなすんです。しかも体力・気力のパラメータもめちゃくちゃ高いので、休まずずっと働き続けることができます。普通の人がマネしたら絶対にいけませんよ、一瞬で心身を壊します。

これからトレーナーを目指す皆さんも、今の仕事をいきなり辞めようとしちゃいけませんよ。まずは自分が自由に使える時間を正確に把握して、その時間内で営業・セッション・自己ブランディングをコツコツやっていきましょう。今できることを精一杯やれない人が背水の陣を敷いても、待っているのは過酷な運命です。

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