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SUBARU ff-1 レストアプロジェクト 第11回

こんにちは。宮城スバル本社です。
今回はエンジンのシリンダーヘッドとバルブの分解整備の模様をお届けします。

その前にff-1に搭載されているエンジンについて豆知識を少し紹介します。
水平対向4気筒 OHV 吸排気2バルブ構成のエンジンが搭載されていますが、当時としては先進的なエンジンでした。
OHVエンジンはクランクシャフトの回転をギアでカムシャフトに伝え、カム山でプッシュロッドとロッカーアームを介してバルブを駆動させているのが特徴です。
その構造上、エンジンを高回転まで回すことができないので、最高出力は控えめなトルク型のエンジンとなっています。しかしながら、DOHCに比べて軽量コンパクトで耐久性に優れています。
余談ですが、オートバイのハーレーダビッドソンが長らく使っている方式です。

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(ff-1に搭載されているエンジン 左からシリンダーケース、シリンダーヘッド、ロッカーアーム)

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(スバル主力エンジンであるFB型のヘッド付近 中心にロッカーアーム、右側にカムシャフト駆動用のチェーンが見える。)

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[ 引用 ]オリジナルのアップロード者は英語版ウィキペディアのVuvar1さん, 2005年10月25日 (original upload date), パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6730836による

EA型エンジンはアルミ合金製のシリンダーヘッドとシリンダーブロックが採用されております。アルミは鉄に比べ比重が約3分の1で、そのため非常に軽量なエンジンに仕上がっています。
残念ながらメリットばかりではなく、アルミ合金製のプッシュロッドは温度で伸び縮みが大きいため、整備士はバルブクリアランス調整するために、しっかりと温度管理しないといけません。
ちなみにアルミ合金はジュラルミンと呼ばれ、当時は自動車の部品として使われるのは稀でした。軽量な金属のため、過去から現在に至るまで多くの航空機の機体や部品にジュラルミンが使われており、スバルが戦前まで中島飛行機であったことを思い起こされます。

このような徹底的な軽量化を意識した車作りは、エンジンのみならず、ボディに用いる鋼板の厚みや、当時はまだ少なかったFF方式の採用からにも表れており、元ヒコーキ屋の本気のモノづくりを垣間見ることができます。

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さて整備に入ります。
第2回レストアの時点でアイドリング不調かつバルブクリアランスが小さいことが分かっていたので、分解清掃して組み直し、症状の解消を図ります。注意点として、バルブ回りは非常に精密にできており、潤滑される部品が多いため外した部品にキズを付けない様に気を付ける必要が有ります。

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慎重に作業してヘッドから全てバルブとバルブスプリングを取り出しました。基本的に取り出したバルブは同じ大きさ・形の部品ですが、長年の使用により偏摩耗や変形していることも考えられるので、それぞれのバルブとバルブシートの擦り合わせをおこない、しっかり清掃して組付けをおこないました。その後、吸気・排気バルブから漏れがないことを確認できました。

これでシリンダーヘッドの作業は完了ですが、シリンダーケースに組み付けた後、バルブクリアランスをしっかりと調整します。
早くエンジンを始動させ、安心したいですね。

次回はシリンダーケースの分解修理に入ります。
今回はここまで、次回もお楽しみに。

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