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子どもは転んだ数だけ強くなれる!たくさん遊んで転んで運動神経をアップさせよう

今回は、遊びの中で転んで覚えることの大切さについてお話しします。


1985年頃から子ども達の体力は低下傾向…

「今の子ども達は体力や運動能力が低下している」と言われています。

文科省が昭和39年から実施している「体力・運動能力調査」の結果からもこのことは明らかで、昭和60年(1985年)頃から長期的な低下傾向が続いているのです。

逆に言えば、この時代に子どもだった現在の40代後半の人々、つまりお父さんお母さん世代が最も体力・運動能力が高かったと言えます。対して現代の子ども達は、これまでで最も体力・運動能力が低い世代ということになりますね。

・原因は外遊びの減少

では、子ども達の体力・運動能力が低下し始めた1985年において、いったい何があったのでしょうか?

いろんな説があるかと思いますが、私はこの時代にファミコンなどのゲーム機が発売され一気にブレイクし、子ども達が外遊びをする機会が減ったことが大きな要因の一つになっているのではないかと考えます。

最近の子ども達は転ぶのが下手になっている?

実は、最近の子ども達は体力低下に加えて、転んだ瞬間に咄嗟に手が出ない・手を着けない、つまり転び方が下手になっているとも言われています。

この原因としては、生活様式や生活環境の変化により、体を動かす機会や運動・スポーツをする場面が極端に減ったことが影響しているのではないでしょうか?

これは日本スポーツ振興センターが出している、幼児から高校生までの子どもにおけるケガの発生割合を示したデータです。

引用: 日本スポーツ振興センター「学校の管理下の災害 [令和3年版] 」

この表には書いてありませんが、どのようなケガが多く発生しているかについては、幼児は「挫傷・打撲」が最も多く、続いて「脱臼」「挫創(転落や打撲による傷)」「骨折」の順で多いことが報告されています。

また、上記の表からも分かるようにケガをした部位としては、幼児は上肢部(腕や手)や下肢部(太ももや足)よりも、頭を含め顔まわりをケガする割合が高いです。

この結果は、幼児たちが転んだ瞬間に手を着けず、顔や頭をぶつけてしまっていることを示していると言えます。

このようなデータからも、最近の子ども達は転び方が下手になっていることが伺えるでしょう。

・転ぶことで身体の使い方を覚えられる

かつての子ども達はよちよち歩きの時から転ぶことを繰り返し、その過程で歩いたり走ったりすることを覚えてきました。

しかし現代の子ども達は、転ぶような遊びをあまり体験しておらず、身体の動きを調整する中枢神経系の働きが十分に発達できていない可能性があります。

特に最近、何もないところで転んでしまうといったお子さんが増えていると保育現場から聞くことが多いです。

これは、足裏メカノレセプター(凸凹を感知する足裏のセンサー)が適切に発達していないからではないかと思われます。


*足の力を育む方法については、以前の記事で紹介しています*


遊びの中でたくさん転んで運動神経アップ!

・スキーは動く平均台!バランス感覚を鍛えよう

人は本来、転ぶことを回避する力を持っています。しかし、最近の子ども達は転び方がうまくなかったり、逆に何もないところで転んでしまったりといった様子が多いです。

そこで、本来持っているはずの危険回避能力を取り戻す働きかけとして外遊びが重要だと私は考えています。

特におすすめはスキーです。雪が少ない地域では身近ではないかもしれませんが、雪の多い地域に住んでいる子ども達はもちろん、四季折々の日本だからこそ楽しめるスポーツとして、ぜひ多くの子ども達にウィンタースポーツを楽しんでもらいたいです。

ウィンタースポーツの中でもスキーは「動く平均台」と言えるほど、バランス感覚を鍛えるための最高の遊びですのでぜひトライしてみてください!

ちなみに私達が子どもの頃は「ミニスキー」でよく遊んでいました。実際のスキーよりもずっと難しいのですが、こういった遊びを通して私達の平衡感覚は鍛えられていたんじゃないかなと思います。

・初心者にはスノーボードよりスキーが良い理由

初心者に人気のウィンタースポーツとして、スキーのほかにスノーボードもありますが、私はスキーをおすすめします。

スキーは、両手で持っているストックが体重を支えてくれるため、全身のバランスがとりやすく安定性に優れているスポーツです。転ぶとスキー板から足が外れる仕組みになっているので、転倒による怪我を防ぐこともできます。

一方でスノーボードは転んでも両足が固定されているため、受け身が取りにくく、転び方によっては大怪我につながる恐れがあるので注意が必要です。

そのため、ウィンタースポーツ初心者にとっては、まずはスキーから習得してもらえたらと思います。

ちなみに、私は以前スキースクールでインストラクターをやっていましたが、初心者指導の際に役立ったのが「トライスキー」です。小さいお子さんでも、これをつけて練習すればすぐにハの字で滑れるようになります。スポーツショップに売っていると思うので、ぜひこれを活用して幼児期からスキーに挑戦させてあげてください。

・新聞紙サッカーもおすすめです

スキーのほかに、新聞紙サッカーも推奨しています。これは本当のボールではなく、新聞紙を丸めてつくったボールを使ったサッカーゲームです。ボールを蹴っても痛くないので、小さい子どもたちも積極的にボールに関わっていくことができます。

上記の動画からも分かる通り、新聞紙サッカーではよく転ぶシーンが見られますよね。ですが転ぶのは悪いことではなく、むしろ子ども達は転んだ時に最も運動神経が発達していると言われています。

転んで初めて、痛くないように転ぶにはどうすれば良いかを身体が学習していくのです。ぜひ、新聞紙サッカーを通して楽しく遊びながら転ぶことを繰り返し、運動能力を発達させてもらえたらと思います。

子どもは転んだ数だけ強くなれる!

最後に、2014年ソチ冬季オリンピックのワールドワイドパートナーであるP&Gジャパン合同会社が実施した「Thank You, Mom(お母さん、ありがとう)」キャンペーンの動画を紹介します。

この動画では、のちにスキーやスノーボード、フィギュアスケートやアイスホッケーといった種目でオリンピックに出場する選手たちの子ども時代とお母さんの様子が描かれています。

動画の最後に流れるメッセージ「転んだ数だけ、強くなれた。あなたがいてくれたから。ありがとう、お母さん。」は何回見ても感動しますね。

紹介したスキーや新聞紙サッカーのほかにも、転ぶことを体験できる遊びはいろいろあります。お子さんが楽しく遊びながら、転び方や身体の使い方を身につけていけるよう、ぜひサポートしてあげてください。


★今回の内容を動画で見たい方はこちら★


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