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2023.5.23 ヒト・コト・トーク#8@Wood Egg お好み焼館(井口)レポート

宮島線の沿線で活躍する方々をゲストにお招きするトークイベント「ヒト・コト・トーク」。
前回は、cafe bar NICOのオーナーである二反田和典さんと、はつかいち応援大使もつとめるシンガーソングライターの香川裕光さんにお話いただきました。(第7回レポートはコチラ
8回目(2023年5月23日)となる今回は、オタフクソース株式会社の小針さんとFarmer’s collectionの竹内さんと一緒に、オタフクソースさんの発信拠点「Wood Egg お好み焼館」で開催しました。
今回はトークの前に、参加者のみなさまと一緒にWood Egg お好み焼館をご案内いただきました。
オタフクソースさんの会社としての歩みはもちろん、オタフクお好みソースのことや広島のお好み焼の歴史を楽しく学ぶことができました!
オタフクソースさんに関する知識も深まったとこで、トークスタートです。

-ゲスト紹介-

小針 一風 さん
京都府京都市出⾝。2013年にオタフクソースに⼊社し営業部⾨に配属。愛媛県、東京都にて、主に業務⽤を担当し惣菜メニューの提案営業を⾏う。2022年10⽉より新設された共創課へ。社内、社外との連携強化により新規事業の⽴ち上げを⽬指している。
https://www.otafuku.co.jp/

竹内 正智 さん
北海道中川郡幕別町出⾝。⼤学卒業後、⾷品メーカー、問屋で勤務。起業を⽬指し、広島に転居し、Farmer‘s collectionを⽴ち上げる。年間100回近くのマーケットを開催しながら、農LAB.よつばとして薬局DE野菜の事業も⾏う。
https://farmers-collection.com/

ーまずは小針さん、自己紹介をお願いします。

(小針)オタフクソース株式会社 マーケティング部 共創課の小針です。京都出身で、大学卒業後オタフクソースに入社しました。入社後は松山で7年、東京で2年ほど営業として従事し、昨年10月より広島に来て、現在は、新規事業立ち上げの部署である共創課に所属しています。

ーオタフクソースに入社されたきっかけは何ですか?

(小針)もともと食べることがすごく好きで、親が給食の調理師をしていたこともあり、小さいころから料理を身近に感じる環境でした。また、食べることも好きなので食品関係の会社につきたいと、就職活動していました。その中でオタフクソースを選んだ一番の決め手は、今もこの思いは続いていますが、ただ単純に食品を売るのではなく、お好み焼という食文化を広めていくことを大事にしているところです。食文化を広めていき、そこにオタフクのソースが使われるといいなというスタンスにすごく惹かれたのが決め手です。

―広島の食文化にはオタフクのソースには欠かせない存在ですよね。それでは竹内さん、自己紹介をお願いします。

(竹内)広島市内のFarmer’s Market(ファーマーズマーケット)という、生産者が直接消費者に向けて販売する場を作る活動を3年前からしています。KOI PLACEや空鞘稲生神社などで、去年まではかなりの回数をしてて、狂ったように年間100回くらいやっていました(笑)。今は少しセーブして次の段階へ行こうかなと思っています。
出身は北海道で、農家の息子として生まれました。子どものころから農家さんを尊敬しており、良い職業だなとずっと思っていました。ですが、農家さんから悩みを聞く機会もあり、ずっともどかしさを感じており、何か力になりたいと3年前に会社を辞めFarmer‘s collectionを立ち上げました。それまでは、問屋やメーカー等の食品に関わる会社に勤めていました。食に関しては潜在的に関心があったんだろうなと思います。

ー具体的に、Farmer’s Marketとはどんな活動ですか?

(竹内)Farmer’s Marketとは、八百屋とは違って、生産者は消費者から市場ニーズを学ぶ、消費者は生産者からこだわりなどを直接学ぶことができる場です。それにより生産者の価値を上げて、次のビジネスにつなげていきたいなと、そんな世界を思い描いています。いろんな人に「こんなことやりたいんだ」と声をかけていきました。時にはけなされ馬鹿にされることもありましたが、ようやく周囲の理解も得られるようになりました。僕はこういう取り組みを広島の文化にしたいと思っています

実際の場としては、空鞘稲生神社での活動が一番集客と認知度が高く、先々月に開催したときは1000人くらいの方が来てくれました。野菜を買いに来ることが定着した良い例だと思います。ただ、すべての開催がこのようになっていないので、もっと価値を伝えていかなければいけません。
(小針)Farmer’s Marketに行っている弊社の社員がいますけど、やっぱり鮮度が違う、味が濃いと言っていますね。
(竹内)市場に出る野菜ってどうしても鮮度が落ちるんです。ストックされているので。Farmer’s Marketでは、前日やこだわり強い方であれば当日の野菜を並べる人もいます。鮮度が良いというだけでも十分な価値です。広島って、生産地と消費地が近いじゃないですか。鮮度の課題をもっとクリアすればより良いものが食べられる世界にできると思います。また、生産者って意外に会う機会がないので、そのきっかけになれればと思っています。

(竹内)このポスターは、生産者にスポットが当たる、イメージは東京ガールズコレクションです。こんな感じで人にフォーカスし、人と畑と作業場の管理とかこだわりが強い人と一緒に仕事をしていきたいです。
(小針)どれくらいの方とお仕事されているんですか?
(竹内)知ってる人だと100人くらい。実際に仕事をしているのは30人ほどです。もっと若手を育ててその人たちが出て行って、次の世代を育てていくというように、今後は循環させていきたいですね。

―調剤薬局などでも、野菜を販売しているとか!?

(竹内)調剤薬局で、病院にくるお客様に向けた野菜の販売をしています。スーパーに参入するのは値段など厳しい部分もあるので、医食同源という言葉があるように、食と医療って健康面へつながるのでそこをうまくつなげながらやっています。今は市内6か所にて販売しています。

ー薬局で野菜って思いつかないですよね。

(竹内)正直、思っていたより売れていて、最近はFarmer’s Marketのお客さんも薬局まで買いに来られたり、処方箋持ってない方が来られたりします。こうなったらいいなというのが形になってきています。
ただ、リスクも当然あって、良いものは良いと消費されるんですが、悪いものは悪いとなってしまいます。農家さんのブランドを保つためにも、そこは仕方がないかなとも思います。

―実は広電と一緒に商品化している取り組みもあるんですよね。

(竹内)規格外の野菜を使った野菜スープをつくりまして、規格外の野菜をすばやく加工して県外向けに販売しています。これは広電さんと一緒に作らせていただきました。
(小針)道の駅でもお見かけしましたよ。広電さんはどういう風にかかわられているのですか?
(竹内)もともと農業に関して何かしたいという思いを持ってくださっていて、収穫体験ツアーをやろうということがきっかけです。そこで収穫したものから何かお土産が作れたらいいなと思いできた商品です。
最初は食と移動のプロダクトを作りましょうというところからスタートしていったら、いつの間にか商品になっていました。

ーオタフクソースさんって、先ほどの「お好み焼という食文化を広めていくことを大事にしている」の取り組みとしてはどんなことしているんですか?

(小針)営業部門にいたとき、小学生対象に料理教室をしました。もともと食文化を伝えていきたいという思いがあり、つくる工程は難しいけど、みんなでお好み焼を焼くってことが楽しいので、いい経験を提供できるかなと。
子どもたちもその後、家で作りたいと思ってくれるみたいで。こういう活動は地道ではあるけど大事にしており、今の仕事の原点だと思っています

ーこうした小学校の出張講座をはじめ、社外での取組みは多いんですか?

(小針)そうですね、弊社にはお好み焼課という部署があり、そこでは食文化普及活動をメインにしています。小学校の食育活動やイベントへの出展などをしています。直近だとG7広島サミットのメディアセンターでお好み焼の試食提供などを通して、食文化を海外に普及させていくような取組をしました。あとはスーパーとタイアップして体験イベントをしています。
営業部門にいたとき、お好み焼を関東でも広めていきたいと思い色々考えていました。いわゆる「お好み焼」というと、直径15センチくらいの一枚の形が主流なんですけど、これだとあまり変わり映えしないし、一見食べづらかったりして、食べる頻度が少ない方からすると、なかなかハードルが高い食べ物だったりするらしいです。そこで「食べやすさ」を考えて、小さいサイズのお好み焼を2個入れた総菜をスーパーの方と一緒に開発して販売しました。おばあちゃんおじいちゃんが2人で1個ずつ食べているのを見たときはうれしかったですね。

ーオタフクソースさんってやっぱり広島風にこだわりがありますか?

(小針)んーどうでしょう。ほんとに“お好み”なのでそこはこだわりがなくて、実際、お好み焼ってもっと簡単に食べられることを打ち出しています。例えば、キャベツの千切りってめんどくさいよねっていう発想から、“BLTお好み焼“というのを考えました。ベーコン・レタス・トマトという冷蔵庫にありがちな食材で簡単に作れることを提案しています。このような感じで、要は何でも混ぜて良いんですよ、お好み焼になるんですよ、ということを広めていきたいですね。みんなが、「冷蔵庫にこの食材があるからお好み焼作るか」みたいに気軽に作れるものになったらいいなと思っています。

ー広島風のお好み焼って、広島以外だと食べる機会はそんなにないですよね?

(小針)まだまだ広島のご当地グルメの要素が強いですね。もちろんお店は日本全国にありますが、家庭で作って食べる店では関西のお好み焼の方が多いのではないかなと思います。
(竹内)広島に来て初めて広島風を食べました。へらで食べるのに慣れていません笑

ー広島の方って人それぞれ育ったお好み焼があって、そういう文化ってすごく良いですよね。そしてみんなそれぞれイチ押しのお好み焼屋さんがあったりして。

(小針)私も広島に来て思いました。広島の人って近所のお好み焼店というのが大体どこでもあって、その店に行けば近所の人がいて、子どもだけで食べに行ったり、そんな子どもの成長過程も見ていたりしてて、そこのお店の人が情報通だったりしている。コミュニティ化してますよね。それってすごくいいなって。お好み焼店もありコミュニティスペースでもありますよね

ー日常生活から食は切り離せないのですが、小針さんはご趣味がアウトドアとのことで、料理など活きてくることもありますか?

(小針)アウトドアが好きでキャンプによく出かけます。普段生活しているときは、仕事終わりに作るのめんどくさいって思うんですけど、キャンプの時って料理する時間が長ければ長いほど楽しかったり、作る工程が楽しかったり、素材の味を引き立たせるのが楽しみで。そういう時間って大事だなと再発見する場です。
(参加者)キャンプ行くときにオタフクのソースもっていきます。
(小針)ソースを持って行ったときは、焼そばはもちろん、ホットサンドメーカーでお好み焼を作ったこともあります。実はマーケティング部では、そういったところにも力を入れていて、キャンプ芸人で有名なバイきんぐの西村さんとのコラボ商品を出しています。こういうシーンで使えますよ!という周知にも力を入れています。

ー共創課という部署はどういったことを目指しているのですか?

(小針)共創課2名で10月から活動しています。社内の他部門や、社外の皆様と一緒にコラボしながら新しい価値を生み出していけたらと。いままでの調味料の製造販売から一歩踏み込んだ、新しい領域や事業展開を目指していきたいですね。どこからスタートしたらいいのか、などよく考えることがありますし、ビジネスにするって難しいなと感じながら模索しています。
例えば、「こんな調味料が新しくできました、使ってみてください!」と持って行っても、なかなか使ってもらえないですよね。この食材があって、この調味料でこんな食べ方ができるよ、こんなメニューができるよという風にしていくことが大切ですよね。さらにそれを地元の食材で作っていき、生産者さんたちがこんな食べ方もできるんだと思ってくれたら嬉しいですし、それがお客様に響けばさらに嬉しいなと。

(小針)スーパーに行ったらいろんな野菜がいろんな産地でありますけど、広島ではこんな野菜があるんだよということを広めていきたいです。写真のように甘夏と横に貯金箱が置いてあって、こういう農家さんが育てた食材をその場所でしか買えないものを現地で買って食べることは幸せですよね。こういうことを何かしら仕事につなげたいです。
素材の味が大事なので、調味料の使い方や加減について私たちに任せてもらって、素材の味を引き立たせることをしたい、と妄想しています。
そして、そういったものを受け取れるシーンを作りたいです。例えば、保育園などの送迎時に、セットを受け取れる場所があったらいいなと思います。仕事終わりに保育園に迎えに行って、そこから食材を買ってご飯を作るというのはなかなか大変ですよね。なので送迎の道中で受け取れて、それを使ってパパっと作れるようになると、親世代はすごく助かると思いますし、さらにその食材が広島のものであれば、子供たちにも食文化を伝えられるなと思っています。
(竹内)ぜひやりましょう!

―共創ってよく使われてますけど、抽象的すぎますよね。なんでもありといえば、なんでもありみたいな。

(小針)そうですね。ただやればいいというわけではないので難しいですけど、地域の困っていることに対して地域の取組で解決していくというビジョンを私たちは描いていて、そこに向かっていけばいいかなと思いやっています。
(竹内)口に出すって大切ですよね。批判されるかもしれないけど言ってみたら、それできますよ、その考え面白いですね、できる方法を一緒に考えましょうという感じで。
(小針)ちょっと知らない見方ができてくるというか。小さくてもまずはその1歩を踏み出していきたいです。

―竹内さんにとって、最初の一歩は何でしたか?

(竹内)まず退路を断ちました。会社辞めて収入をなくして、もうやるしかなくなったという状況をつくって絶望して笑、、でも覚悟は決まりました笑。
ですがもちろん企業は企業でできることがあって、僕ら個人ではできないことを、小針さんのような方に助けてもらいながら、一緒にそれこそ共創したいな。できないことをお互い補いながらやっていきたいですね。

―いいですね、お互い補うことで可能性が広がりますよね。ぜひ私たちも一緒に。最後に、素朴な質問ですが、そもそもお好み焼って野菜をたくさん使いますが、広島県産にこだわっているイメージがあまり無いですね。広島県産の牡蠣入り!などは強調されていることが多いのに。

(小針)確かに無いですね。もちろん当たり前に広島県産を使っている人が多いと思いますが、打ち出しているところはあまりないかもですね。そこを突き詰めていくのイイですね。
(竹内)突き詰めましょう!

宮島線についてヒトコト

最後にお二人から宮島線についてヒトコト。
小針 一風 さんからは「共に次の100年へ‼
竹内 正智 さんからは「可能性
というヒトコトをいただきました!

ヒト・コト・トークは、宮島線の沿線で場所を変えながら毎月開催していく予定です。
次回は2023年6月27日(火)、会場は広電五日市@5day’s marketです!
詳しくは、コチラをご覧ください!

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