Жの描く線——中之条ビエンナーレを見た人の話
夜行バスで9時間程度、電車を乗り継ぎ3時間半、群馬県の中之条という町は、日本のどこにでもあるような山間の町だった。
電車を降りる人はそれなりに多い。そぞろに降る雨の中、傘のある者もない者も、みな散り散りに目的地へと向かい消えていく。
10月1日、まだ二回しか着ていない薄手のワンピースは少し肌寒い。雨とも霧とも知れない、おぼろな水が山に漂っている。構わずに歩いて駅を出る、わたしの意識もおぼろだった。
お腹が少し空いたかもしれない。どこかに食事のできる場所もあるだろう。日本のどこ