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「町でうわさの天狗の子」 #思い出のマンガの一言

 而立して不惑をとっくに過ぎたはずだけど、まだまだ知命なんて知るか〜と無駄な悪あがきを続けている私が、この10年で読んだなかで5指に入るものを上げるとしたら間違いなくランクインするこの漫画。(前置き長っ)

『町でうわさの天狗の子』 岩本ナオ 

(小学館単行本は全12巻)

 緑峰山(りょくほうざん)の天狗の娘(ハーフ)だけれど、大食いで怪力なことを除けばごく普通の女の子である主人公、姫ちゃんこと秋姫(あきひめ)。自分はちょっと特殊な存在であるかもということをうっすらと感じながら、お山の眷属や天狗、あやかし達に囲まれ、でも恋や友達関係や勉強で悩んだり大忙しという、あたりまえのJKライフを楽しみ、そんな時間がずっと続くことを心から望んでいる。

 漫画の半分すぎまでは、姫ちゃんは友達や大好きなタケルくんや幼馴染の瞬ちゃんたちといろいろありつつ、まあまあ普通のJKライフを過ごす。

 自分も群青高校の生徒になって姫ちゃんたちと一緒に、文化祭したり恋バナしたりパフェ食べに行ったりしたい!!なんて、それは誰しもが思ってしまうようなごく普通の、それでいて、何にもかえがたい愛しい日々なのだ。

 散々描写されていた、なんでもない日々の普通のこと、それが、姫ちゃんの状況が一変する後半に効いてくる。

なんでもない日の なんでもないことばかり 思い出してしまう
 夢でできた おかしみたいな なつかしさの匂い 揺れていた 空の色


 あなたのいる この世界の 日差しの やわらかさ

 11巻の、このモノローグ。

 私はこの言葉で、まいど涙腺大崩壊します。

 なんでもない日の なんでもないことの、大切さ、愛おしさ。そして大好きで大切なあなたがそこにいるこの世界が、いかに得がたいものであったか…。

  あなたのいる この世界の 日差しの やわらかさ


 まあこの漫画、とにかく眷属ちゃんたちやクラスメイト達が皆個性的で可愛いし、ちょこちょこ挟まれるセリフも小粋でセンスとテンポがよくて笑えます。ぜひぜひ大人の皆様に、昔を思い出しノスタルジーに浸りつつ、キュンとしたりドキリとするセリフをみつけたりして頂きたい漫画だと思います。

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見出し画像 「町でうわさの天狗の子」小学館単行本 12巻カバー
(2/25 差し替え)

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きいすさん髙岸 亮介さん、マンガ好きにはたまらない企画ありがとうございます!



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