【ことのは100】２５．道化師
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慣れないスーツを着て街を歩く
キャッチに話しかけられる五秒前
スマホを取り出して目をそらした

増えてく採用通知と不採用通知
友人からの同窓会の案内
なんとなく逃げ場所はない

独り暮らしにはもう慣れた
コンビニ200円サラダは体に悪いのかなぁ
それでもカップ麺よりはいいと肯定する

どこにもいけない僕らを誰か救ってやってくれないか
逆境乗り越えて前に進むのなんてお手のもの
製造された笑顔をはり付けるのさ

ビールが濁り切った心を浄化する
初々しかった僕はもうどこにもいない
何も感じられなくなってく

本当にやりたいこともしたいことも
特に希望はありませんだから
安定したそれなりの仕事にありつければいい

どこもかしこも上昇志向で息苦しい
それは何のためそれはどういう意味と問われ続ける
意味や理由がないなら価値はないのか

息もつけない僕らを誰か救ってやってくれないか
めまいがして今にも倒れそうなんだ
それでも笑顔ははり付いてはがれない

グレーのままでとけていく
そんな人生だったよななんて言って
最期に何を残すんだろう