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偏見を壊し、新しい可能性を楽しく与えてくれる入門書:服部昇太『日ポン語ラップの美ー子ちゃん』

所沢生まれオルタナティブロック育ち、悪そうなヤツは大体友達ではない、みやまるの日本語ラップの知識といえば、映画『SR サイタマノラッパー』シリーズとスチャダラパーとKREVAくらいで、ほとんど皆無に近い。辛うじて「レペゼン」を「represent」だと理解できる、そんな程度の知識だ。あとは、なんか怖そうな人が、韻を踏んでるというステレオタイプの偏見を持っていた。とはいえ、興味が全くなかったワケでも無く、フェスなどで、“お目当て”ではないが見かけた、GOMESSやR-指定などカッコいいなと思うラッパーはたまにいた。なので、興味はあるがちょっと偏見が邪魔をして踏み出せないジャンルという感じであった、

『日ポン語ラップの美ー子ちゃん』は某広告少女マンガ…というか、『日ペンの美子ちゃん』のパロディで日本語ヒップホップの名盤、名ラッパーをレクチャーしてくれる、入門書のようなマンガである(作者の服部昇太はこのマンガを描いたのち、「本家」である方の美子ちゃんの作家になった。ルパン三世のクリカンみたいだ)。パロディなのでフォーマットをよく知っているから読みやすいし、美ー子ちゃんが楽しく熱く音楽だけに留まらない、HIP-HOPというカルチャーから、日本語ラップを聴く上で重要な心得からニッチなトリビアまでを幅広く語ってくれるので、自分のように「なんとなく」で敬遠していた人間も入り口として最適だったし、おそらくマニアの方も「あるあるネタ」として爆笑出来るだろう。また単純に絵も可愛いので、音楽ギャグマンガとしても面白いのも、魅力のひとつだ。

この本を読んでる最中、9/28に東武動物公園で『夏の魔物 2019』へ、友人に誘われて足を運んだが、本著の中に登場するMARIAやTHA BLUE HERBなどを生で観れたのも、より日本語ヒップホップへの理解が深まってとても良かった。怖そうな人が韻を踏んでる“だけ”(もちろんそういうラッパーもいるんだろうけど)、という考えを改めさせられ、自分も好きなラッパーを探してみよう、という気になる本だった。とにかく、コワモテの人から、優男、面白い人、十人十色のライムがあって、それぞれにそれぞれの「パンチライン」があるのだなと、美ー子ちゃんに熱く語られ、偏見を持っていた自分は少し反省もした。とりあえずRHYMESTERといとうせいこうから聴いてみようと思った。

#マンガ #ヒップホップ


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