現代短歌練習21

2018年短歌まとめ・2

人の死ももはや因数分解で求められずに受け入れられずに

他人事自分事への移ろいを加速できずに並ぶお通夜よ

容赦ない偽善の群れに追われ行く九月一日日はまだ長い

宿題とともに詰め込む溜め息にランドセルすら我を裏切る

花すらも置かれず君は旅立った座席表から消された名前

正解を求め戦う人の手に捩じ込む誇りそして埃と

高速の路肩に黒い靴下が迷いくたびれ死んでいく春

神様はお客様ですと思えればギャンギャン喚くありがたき言

東から太陽のぼる常識をつま先の向き変えて打ち消す

魔女狩りの一環として学歴と課外活動尋ねる社会

人はみな食卓塩を懐に隠し社会へ船をこぎ出す

螢火の向こうに消えた母がいて子のままでいるわたしの子宮

朽ちてゆく家屋に蔦と根は絡みここでわたしは生まれ育った

満月の光に伸べた指先に木蓮の香が優しく灯る

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