現代短歌練習17

2.26事件を想う


睦月末、御国の為と流し血は気付けば我の股より流る

灰色の空にビラ舞い東京は現実に帰し棺桶を喚ぶ

詰将棋若人贄に軍政へ勇み行けよと老害喚く

詰襟の群れの向こうに過る影氷雨の線は無情に降りて

大陸で底冷えせぬか気にかかり両手擦りて暖を届けん

見てごらん白木の箱のふたの裏白髪の生えし僕らの姿

幸福の寝屋が壊れし音がする夢見るときは終わりのようだ

嬰児の命叫びし必死さに君の最期を重ねて瞑る

濡れた目がわたしを映しなぜだろうあなたがそこにいるような風

書に挟む君の笑顔は幼くてどうして雪を踏み固めんや

人の子を不肖不詳と言い切りし老臣後に謳う反戦

しあわせにおなりと言った君よ君硝子の花は雪に消えたよ

読経は草叢揺らし彼岸へと名もなき志士の涙を拭う

遠巻きにNHKを眺めれば今年も揺らぐ夏の残り香

同じよな景色が続くこの国はいついつまでもさざ波聞こゆ

つかの間の夢をふたりは見たのです正義ののちの明るい未来



連作としてまとめられませんでしたが、どうしても上げたくなりました。2.26事件はわたしが大学生時代に聴講生として受けた他学科の授業で気になり、個人的に調べ始めました。今もまだその熱は静かに静かにわたしの探求心の芯の部分にあって、定期的に本を読んだり映画を見たりしています。

今年は短歌を作ってみた。

斎藤龍さんも斎藤史さんも渡辺和子先生も鬼籍に入ってしまったけれど、彼らの書いた作品はこの先も残っていくから大事に読み続けていこうと思います。

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