見出し画像

猫が来て2年たった話

家に猫を迎えて、まるっと2年になった。
その年の春に生まれたので、年齢も2歳。駐車場の隅っこで鳴いてたチビは、今や大人になった。「チビって名前なの? すぐデカになるよ」と何人かに笑われたが、その通りになった。デカに改名はしない。

家に来て最初の数日間は、ソファの下から出てこなかった。もうソファの下には入れない。物理的に無理だ。現在の隠れ場所はカーテンの後ろ。レースのカーテンは透けてシルエットだけ見える。御簾の向こうにおられる。高貴っぽい。

来た当初は、私の後ろをついて歩いた。踏んづけそうなくらい足元にいた。今は「早く飯をくれ」と、ごはんタイムだけついてくる。それ以外の時間は、たいてい寝ている。
でも呼ぶと必ず「ニャー」と返事する。返事が面倒な時は、口パクで(ニャー)と答える。または転がったまま、しっぽをパタパタ振る。
御簾の向こう、机の上、ダンボールの中、あとは床。ゴロンとお腹を上に、部屋のいろんな場所に猫が落ちている。

チビは家の中だけで毎日を過ごすステイホームのプロ。窓を少し開けてやると、風の感触が嬉しいのか、座り込んでじっと外を眺めている。
野良猫のままならどうだったかなと、今も時々考える。今は外敵や食料の心配こそないが、自由に好きなところへ好きな時に行き、風に当たり、花や虫と遊び、他の猫と触れ合っていた生活を思い出すことは、あるだろうか。

チビの言葉は分からないが、最近なんとなくお互い理解できるようになってきた気がする。チビは私が好きらしい。知らない人が家に来たり、動物病院に行ったりすると、信頼してくれてるのが分かる。
なんか通じ合ってると思うのは、普段の何気ない瞬間。「用事はないけど今ちょっと構いたい、または構ってほしい」というタイミングが、共生2年目にして合ってきた。「特に必要じゃないけど、ちょっと近くに居てほしい」「わざわざ何かしたいってほどじゃないけど、軽く一緒に遊びたい」みたいな、微妙な気分を共有できるようになった。言葉がない分、気配や雰囲気で感じ取った瞬間の確信度がすごい。「あ、今、通じ合ってるぞ」と思う。猫と暮らす人は、こういう瞬間を知ってるんだなと、2年経って分かった。

猫との生活、3年目も健やかに続いてほしい。
猫は面白い。チビは良い子です。

画像1


この記事が参加している募集

ペットとの暮らし

記事を気に入ってくださったら。どうぞよろしくお願いします。次の記事作成に活用します。