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梅雨明け間近の夜明け頃

日曜朝4時の多摩丘陵。

雲雀の囀りが少し離れた低い空で小さく聞こえ始めた。

やがて雲雀は群れをなし、低くなり、近くなり、ピーチクパーチクとスタッカートを効かせながら息もつげないほどに忙しく喧しくなる。

「おはよう、朝だね、今日も頑張ろう」とでも言い合っているのか?

遠く高くの彼方では、烏がカーー、カーーとひと鳴き、ひと鳴き、長く、長く、自らの声で空を楽器に奏でるかのように巣から町へと出かけて行く。

やがて階下では新聞配達の原付の優しいエンジン音、スタンドを立てる音、小走りに階段を玄関まで駆け上がる音、新聞受けのコトンという音。

そしてもう眠れない55歳の私がいる。

初夏の夜明けの頃。多摩丘陵の朝。

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