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老母の京都花見行きと地下鉄の中国人

ちょっといい話。

一昨年の4月初旬。

今年はもう87になる母が大阪の女子高時代の同級生とふたりで京都に花見に出かけた。

桜は満喫したがあまりのたくさんの外国人観光客に面食らいながら大混雑の中を5時間ばかり歩き抜け疲れはてた。

京都駅を目指してとりあえず見つけた駅で地下鉄に乗ったが満員だ。

年寄りふたりに席を譲る人もいない。しかもふたり共に久しぶりの京都で知らない地下鉄路線に乗ったらしく京都駅までの行き方がわからない。

ふたりで途方にくれていると中国人とおぼしきカップルの女性の方が声をかけて来た。

中国人女性 「あの、こちら席どうぞ。」
母の友人 「あらま、おおきにどうもご親切に。」
中国人女性 「あの、どちらへ行かれますか?」
母 「京都駅まで行きますねんけどどこで乗り換えたらええのんか見当つきませんねんわ。」
中国人女性 (素早くスマホで検索すると)「3つめの駅で乗り換えます。私も同じ線に乗り換えます。」

結局中国人カップルに案内されて無事地下鉄を乗り換えて京都駅に出ることができたそうだ。

母はいささか意外な出来事に驚きながらもすこぶる感動した様子でこの話をぼくに幾度も幾度も語って聞かせた。

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