ジンと何を、合わせるべきなのか

お酒が大好きな叔父が、長野県にいる。その時期の日本酒をよく送ってもらい、季節の歓びを覚えながら、料理をして、その日本酒と合わせる。それは時に湯豆腐であったり、北海道から届いたホッケであったり、宮崎の魚であったりした。お酒と料理のマリアージュを考えるということはとても楽しいことなのである。

僕は休日も含めて、あまり外に食べに行かない。それよりも、自分で料理をする方がリラックスできるし、それは休日であるならばなるべく、手のかかる料理の方がいい。料理をしているときはそれだけを考えれば良い。うまく火入れが出来ているか、煮込めているか、やりすぎてないか、塩加減は足りているか。その作業が、とてつもなく楽しい。

何を作ればいいか思いつかないこともある。食べたいものが思いつかない時は、先に何を飲みたいか、を考える。それは日本酒であったり、ビールであったり、焼酎のお湯割りであったり、ワインであったりする。今までの休日を過ごしてきて、献立を考える時は先に酒のことを考えている機会の方が多かったような気がする。ピノ・ノワールを飲みたいから、軽めの鶏のソテーとか、とにかく温まりたいからお湯割りと生姜を効かせた鍋、とか。

そういう日々を過ごしている中で、長野の叔父さんからお酒が届いた。けれど、日本酒じゃなかった。ジンだった。

クラフトジンのムーブメントは数年前から始まっていることは認識していた。日本各地で、宮崎では日向夏を入れたり、北海道では昆布を入れたりしてジンが作られていることもわかっていた。今回届いたのは、宮城県の「欅(けやき)」というクラフトジンだった。一升瓶に入っていた。

ここで、普段飲む酒の割合を述べてみると、ここ2週間では
・芋焼酎 40%
・赤ワイン 20%
・ビール 15%
・白ワイン 13%
・ウィスキー 7%
・麦焼酎 3%
・缶チューハイ 2%

という結果になった。圧倒的に芋焼酎が多いのは、友人が飫肥杉の4Lペットボトルを寄贈してくれたことも関連しているかもしれない。このように見てみると、僕はもうビールをあまり飲まなくなってしまったのだな、と思う。サッポロ黒ラベルを毎日は買わなくなってしまったし、ビールはなんだか「仕事が忙しかった時のご褒美」的なポジションになってしまった。

さて、そこに与えられた宮城県のクラフトジンという存在。これは一つの課題、として捉えるべきではないかと僕は考える。なぜかと言うと、酒×料理の思考が織りなすメロディーは鳴り止むことを知らないからだ。

けれど、「ジンを飲むならこれだよね!」が思いつかない。例えば、「シラーを飲むなら赤身のステーキだよね!」とか「辛口の日本酒なら刺し身と合わせたいよね!」ってなるけれど、ジンは分からない。

飲みたい酒を考え、それに沿った食べたい料理を考える真髄とは、そのマリアージュであり、相互関係をうまく成り立たせることである、その考えの元に生きてきた我が身としては、普段飲まないジン、という酒は困惑を覚えずにはいられなかった。ジンを引き立てながら、ジンによって引き立てられる飯はなんだろう。思考は続く。

例えば、スモーキーなウィスキーであれば、僕はビターなチョコレートを合わせたり、オイリーなナッツを合わせると思う。(例えば、カシューナッツとか)

けれどジンよ、貴方と何をマリアージュさせれば良いのか。これだけ果実香が強い酒だから、きっとフルーツが合うのだろうな。先日友人と議論した結果、それはイチジクであった。悪くないアイデアだと思う。僕はレーズンも合うと思うし、青森のリンゴチップスも合うと思う。ちょっとフルーツを脱するのであれば、軽めの魚を。鯛の昆布締めとかいいかもですね。しめ鯖は強すぎる。

我々の人生に然程馴染みの無いジンを、けれど愛おしいジンを、貴方は如何にして楽しみますか?悩んだら、我が家まで来てください。飲みながら、語りましょう。




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