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山陰方面寝台列車の旅 計画

  「寝台列車」なるものは今や風前の灯火となり、小さい頃に「大人になってから自分のお金で乗りなさい」と口酸っぱく言われた列車の数々は今では見る影もなく淘汰されている現状です。

近年では豪華絢爛な寝台設備を備えた特別仕様の車両が数日かけて観光地を巡る「クルーズトレイン」と呼ばれる列車が台頭していますが、乗車するためには数十万〜百何十万という大金を鉄道会社と旅行会社に献上せねばならず、「大人になっても乗れねえよ」と言うしかありません。

しかし、幼き頃に夢見た寝台列車の理想像とはかけ離れたクルーズトレインが現代の寝台列車の主流となりゆく中で、庶民の味方と呼べる寝台列車も僅かながら2つほど残されています。

詳しい解説は実際に乗車した際の記事でしたいと思いますので今は軽く紹介という形で。

サンライズエクスプレス

運行区間 : 東京〜出雲市・高松
14両編成全車両2階建てというクソデカ電車が島根県・香川県と東京都を毎晩結んでいます。

サンライズ出雲・サンライズ瀬戸それぞれ158人もの人数を収容出来るにも関わらず毎晩ほぼ満席という人気っぷり。

特にサンライズ出雲は東京から出雲まで乗り換え無しで行けるということで、出雲大社の参拝客の方からの人気もあるようです。

部屋数の少ない「シングルデラックス」なる最高グレードの部屋や、「サンライズツイン」「シングルツイン」のような2人用の部屋は満席がデフォルトどころか発売開始後即売り切れがデフォルトというプラチナチケットとなっています。

⬆生憎私自身はサンライズの車内のまともな写真は持ち合わせておりませんでして、車内の雰囲気などはこちらの記事を参考にしていただければと思います。

大手住宅メーカーがデザインに携わったこともあり、木目調のインテリアで統一された暖かみのある車内が印象的です。


WEST EXPRESS 銀河

運行区間 : 京都〜出雲市、新宮、下関など季節によって様々…

かつて長距離輸送の一手を担っていた寝台列車が「サンライズ瀬戸・出雲」を除いて淘汰され尽くした数年後の2020年、「気軽に鉄道旅を楽しめる列車」をコンセプトにJR西日本がデビューさせた期待の新星。
 
かつて通勤電車として活躍していた車両を魔改造して寝台設備を整え、季節毎に運行区間は変わりますが主に京都を起点として西日本の各地を結んでいます。

新星の中身は40年前に製造されたモーター爆音電車

逆立ちしてもクルーズトレインには乗車出来ない庶民からすれば救世主のような存在です。

ブランケットやシーツの備え付けはあるもののサンライズエクスプレスのような本格的な布団は用意されていませんが、その代わりに寝台料金は不要という何とも太っ腹な列車。

特筆すべき点としては途中停車駅での物販や景品の配布、沿線地域の方々からのおもてなしなど、サンライズエクスプレスよりも観光色の強い列車であると言えます。

https://www.jr-odekake.net/railroad/westexginga/


車内の様子はこちらから。

リクライニングシートからグループ用の個室まで、様々な需要に合わせてバリエーション豊富な座席や部屋が用意されていますが、当然1種類毎の定員は絞られており座席や部屋に拘って利用するのであればチケットの争奪戦もより過酷なものとなります。

なんと夜行列車として運転する場合の定員は89人。

こちらも座席や部屋のタイプによっては販売開始後即売り切れ必至という現状です。

また、サンライズエクスプレスと違い毎晩運行されているわけではないので利用する際は運転日・運転区間の確認をお忘れのなきよう。


旅程

今回はサンライズエクスプレスWEST EXPRESS銀河に加えて現行の車両での運行終了が差し迫っている「特急やくも」の乗車を目的とした旅行を企てました。

3/29
東京      21: 50 サンライズエクスプレス
3/30     ⬇
岡山      6:27 
              8:13  特急やくも3号
             ⬇
出雲市11:12
            15:52  WEST EXPRESS 銀河
3/31    ⬇
京都     6:43
            ⬇
          未定。関西で遊んだ後夜行バスか根性で帰る。


出雲市滞在時間4時間半。
せっかく出雲市まで行ったにも関わらず短時間で折り返すなど常人には理解しかねる旅程ではありますが、寝台列車に飢えた貧民に一般常識など通用しない。
週末の観光地の宿に出す金など財布をひっくり返しても出てきやしないのです。


座席を確保するには

上記2つの列車に乗車するためには、座席の指定、分かりやすく言えば自分がその日利用する席の予約をする必要があります。

一言で予約と言えど人気列車の予約というものは一筋縄ではいかず、発売開始から数秒で完売というケースも珍しいことではありません。

しかし、確実ではないものの人気列車の座席の確保が成功する確率を格段に上げる方法が1つ存在します。

所謂「10時打ち」という方法です。

基本的に座席が販売されるのは乗車日1ヵ月前の午前10時からとなっています。

大きな駅にあるみどりの窓口という場所には「マルス」と呼ばれるJR線の座席の指定や発券を行う端末があり、10時前に事前に予約したい列車を伝えた上で、予約ボタンを押す前の段階までマルスに情報を入力してもらい、10時00分00秒丁度に予約ボタンを押して発売開始から一瞬で座席を確保してもらおうというのが10時打ちなのです。

ただ10時打ちをもってしても確実なんてことはなく、
1席を狙って10人が10時打ちをすれば当然9人は10時打ちがパーということになります。

そこそこ知れ渡っている10時打ちという方法ですが、予約手段として公式が表立って推奨しているわけではなく、当然10時打ちが不可能な窓口もあります。

 10時打ち専用のレーンを作って対応してくれる駅もありますが最近では減りつつあり、そもそも人員削減の為か窓口そのものが大幅に削減されていますので10時打ちが出来る環境は今後さらに貴重になるかと思います。

人気列車の座席よりも「10時打ちをする権利」の確保に苦労する未来はそう遠くないのではないでしょうか。

10時打ちをする権利さえ確保してしまえば、同時刻に座席を狙うライバルが減ると考えることも出来ますが…。

 みどりの窓口の代替手段としてJRが推奨するえきねっと指定席券売機なるものもありますが、前者は座席の販売が1ヵ月前の10時10分からになりますので、既に10時打ち勢に席を狩り尽くされた後。
時既に遅しということになります。

後者は10時00分00秒丁度から発売が始まりますが、情報の入力を出来るのは10時00分00秒を過ぎてから。  

事前に情報を入力してあとは予約ボタンを押すだけ、という段階まで進めるマルスとは大きな差があります。

また、えきねっとには事前予約という1ヵ月前とさらに1週間前に情報を打ち込んで送信した上であとは指定席確保の可否を待つだけというサービスもありますが、これは1週間早く座席を確保してくれるわけではありません。

あくまで1週間早く情報を送信出来るだけで、1ヵ月前の10時丁度にコンピューターが勝手に座席の争奪戦に参加してくれるよ、という話です。

コンピューターが勝手にやってくれるなら人の手で行う10時打ちよりも正確なのでは、と思いきや意外とそうでもないようです。

まあ10時打ちでしくじった際の保険としての利用が良いのでは、と思います。  

ここまでで既に3000文字も食ってしまったので、実際に10時打ちした時の内容は次回に持ち越そうかなと。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。








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