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メタファーとポエティカルデザイン

ポエティカルデザインにとって、メタファーはめちゃくちゃ重要です。

ハンターにとっての念、あるいは海賊にとっての悪魔の実くらい重要です。習得すると、いろんな応用技が出せるようになります。
(※『HUNTER×HUNTER』『ワンピース』より)

ポエティカルデザイン?なにそれ?という方は、先にこちらの記事をお読みください👇

メタファーで価値観を伝える

例として、「サービスが大切にしている価値観」をメタファーに込めているサービスを5つ紹介します。

(これらのサービスにポエティカルデザインが採用されているわけではないです。ポエティカルデザインと似ている部分があって、考え方の参考になるものです。)

❶ 『マシュマロ』 by Diver Down LLC.

匿名のメッセージを受け取れるサービス

メタファー「マシュマロを投げ合う
= 大切にしている価値観「悪意のない安全なメッセージを送り合う

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このサービスは「世界はもっとマシュマロを投げ合うような安全さで満たされるべき」という思想で作られています
マシュマロでよくある質問「どんなサービスですか?」から抜粋)

❷ 『Gravity』 by HICLUB, INC.

匿名版TwitterのようなSNS

メタファー「星と星の間に働く引力(Gravity)
= 大切にしている価値観「似た価値観の人同士をお互いに自然と寄せつけあうこと

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Gravity(グラビティ)は共感しあえる人と繋がり、自分の気持ちや考えをシェアできる癒されるやさしいSNSです。
〜〜〜中略〜〜〜
まわりの星に本来のあなたを伝え、思いが伝わった星と繋がります。このとき星と星の間に生まれる、人と人、心と心を繋げる作用を持つのが「Gravity」です。

App Store - Gravity(グラビティ) より)

❸ 『CAMPFIRE』 by CAMPFIRE, Inc.

みなさんご存知のクラウドファンディングサービス

メタファー「仲間と焚き火を囲むこと
= 大切にしている価値観「挑戦者の熱意と行動を応援すること

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クラウドファンディングも、仲間と焚き火を囲むように『挑戦者の小さな火をみんなで囲み、楽しみながらその火を大きくしていく』という想いを込めて、CAMPFIREというサービス名にしました。
CAMPFIRE 10周年記念ページより)

❹ 『焚き火チャット』 by Sakamoto Tomoya

匿名チャットアプリ

メタファー「焚き火
= 大切にしている価値観「みんなが集まってやさしく会話できる場所

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匿名なだけでなく、全てのユーザが動物のイラストだから、写真を見て「苦手なタイプだな」なんてことがありません。全てのユーザが平等に、焚き火を囲みながら思い思いのことをつぶやいたり、1対1でお話ししたり、時にはグループで盛り上がったりできる、優しい世界です。

App Store - 焚き火チャット - 癒しのトーク/メッセージ より)

❺ 『Dispo』 by Dispo, Inc.

カメラアプリ

メタファー「その場での写真確認も加工もできない、使い捨てカメラ
= 大切にしている価値観「今この瞬間を大切にすること

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Dispoは「今この瞬間を生きるべきだ。」というコンセプトを掲げる、使い捨てカメラから発想を得たソーシャルメディアです。ロールを作成して友人と写真をシェアをしたり、自分のコミュニティロールを作成して一般公開することもできますが、翌朝9時まで写真は現像されません。写真が出来上がるまでのワクワクをぜひ体験してみてください!

App Store - Dispo - Live in the Moment より)

メタファーを浸透させる

上にあげた例では、「サービスが大切にしている価値観」がメタファーによって表現されていました。

どのサービスも、メタファーがサービス名・ロゴに活かされています。中には、核となるメタファーから派生した別のメタファーがあったり、ビジュアル的にダイナミックに作り込まれているものもあります。

たとえばGravityは、「星と星の間に働く引力(Gravity)」から派生したメタファーが豊富でおもしろいです。
流れ星:話したいテーマをランダムな人に送ることができる。
宇宙探索:投稿・ユーザーを検索できる
音楽の惑星:音楽の惑星へ行くと、音楽に関する投稿が集まっている。
写真の惑星:写真の惑星へ行くと、写真付きの投稿が集まっている。

『焚き火チャット』と『Dispo』は、ビジュアルでかなり世界観を出しています。
ビジュアルで世界観を主張することは、アプリが道具として操作しにくくなることにも直結します。失敗すると本末転倒なので、UIデザインの真髄を深く知っておくことが重要です。
(この辺もいつか別記事で深掘りしたい。)

『焚き火チャット』は、ビジュアルだけでなくBGMにも世界観が現れています。
アプリを開くと、焚き火のパチパチなる音と、鳥やスズムシの鳴く音が流れます。

世界観を表現する方法は、まだまだいろいろありそうです。

ポエティカルデザインでは、世界観を創り込むために、メタファーをたくさん派生させて、サービスの細部にまで浸透させます。

サービス名・サービスロゴ・インターフェース・キャッチコピー・マイクロコピー・サウンドエフェクト・隠れミッキー的な遊び心・SNSの発信・リリースノート・・・。

あらゆる毛細血管にまで行き渡らせます。

それぞれの浸透のさせ方はまた別の記事で探っていきます。


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