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株価反転のカギを握る業績の「鈍感力」

年明けから大荒れの株式相場ですが、業績回復が確かな銘柄には、しっかりと買い戻しが入るようになってきました。相場は徐々に冷静さを取り戻しつつあります。

本格化する2021年4~12月期の企業決算発表で、投資家は業績の確からしさを判断し始めている。

「業績の確からしさ」とは、実に曖昧な表現です。

一番の「確からしさ」は、実際に「業績が良かった」という事実です。記事にある信越化学は、前日の大引け後の決算発表で好業績が確認され、その翌日は前日終値から7%超もの値上がりとなりました。しかし、始値から終値までの上昇率は1%程度に過ぎません。好業績を知った多くの投資家が、翌日に高い値段で買い注文を出したためです。このように、業績を確かめる前と後では、得られる値上がり益がかなり変わってしまいます。

私がイメージする業績の「確からしさ」とは、収益の「鈍感力」です。短期的な景気変動に対し、売上高がいちいち増減しない商品やサービスを提供する企業が、現在のような不透明感の強い株式相場では尊重される銘柄なのだと思います。

不要不急の消費は景気の悪化ですぐに控えられます。しかし、一度発注された機械設備は簡単にキャンセルされません。また、土地の取得を伴うような大規模な工場の建設は、機械設備以上にキャンセルし難しいです。さらには道路や橋梁、ダムの建設工事は、滅多な事では中止になりません。

これは景気循環論でいえば、短期のキッチン・サイクルよりも中期のジュグラー・サイクルのほうが「確からしく」、ジュグラー・サイクルよりも長期のクズネッツ・サイクルのほうが「確からしく」、クズネッツ・サイクルよりも超長期のコンドラチェフ・サイクルのほうが「確からしい」ことになります。

経済の世界では景気には波動があるとされる。周期がいちばん短い在庫投資の40カ月のキチンの波から、10年の設備投資のジュグラー、20年の建築のクズネッツ、そして50年の技術革新のコンドラチェフの波までさまざまだ。法則性が読み取れるそうだ。

一番「確からしい」コンドラチェフ・サイクルは一般に、社会資本ストックのサイクル、ないしはインフレのサイクルと見做されています。もし足元でより手堅い投資を目指すならば、コンドラチェフ・サイクルの観点から銘柄を選ぶのが良いと思います。それじゃ地味でつまらない方は、その下のクズネッツ・サイクル(建設投資循環)に着目してもいいですね。

問題は、それらのサイクルが現時点で上向きなのか、下向きなのかの判断です。私は個人的に、コンドラチェフ・サイクルは上向きと判断していますが、クズネッツ・サイクルとジュグラーサイクルに関しては微妙です。私の師匠が大胆に予測されているので、そちらをご参考にしてください。


お読みいただき有難うございました。 小難しい経済ニュースをより身近に感じて頂けるよう、これからも投稿してまいります。