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折れる、堕ちる、捨てる、逃げる。

しばらく、ここから遠ざかっていた。
体調を崩し、心が折れて、しばらく何もできないでいた。

文章を作る行為は、私にとってとてもエネルギーがいる。
ただ書くだけなのに、文章を作り上げる行為は、私にとってはとてもハードルが高い。

きっと今の私が書く文章は真っ黒で暗くて、救いようのない悲しい絵みたい。

心が折れると、何かを読むことや見ることもエネルギーが必要になる。
たくさんの情報や、視覚から入るチカチカした世界が眩しすぎて、今の私には辛い。

積み上げてきたものが折れる瞬間ってあっという間で。
頑張っていた自分が、突然頑張れなくなることがある。

堕ちるのは簡単だ。

自分が積み上げてきたものをすべて手放せばいいだけ。

大切なもの、大切な人を裏切って、自分がこれまで大事にしてきたものをすべて捨ててしまえばいい。世間体とか気にせず、生きたいように生きればいい。

自分の中の誰かがいう。

どうせ人生一度きりなんだからさ、やりたいことやればいいんだよ。自由に生きなよ、あなたの人生なのだから。

はたからみたら、私はとても恵まれている。
優しい旦那と可愛い子供と、不自由のない生活。

なのに、毎日寂しくてやりきれない気持ちがあるのはなぜなのだろう。

たまに全てを捨ててしまえと聞こえる。全部捨てて逃げて、堕ちてしまえと。

私がずっと嫌だった私に戻ればいい。
誰からも愛されない毎日に。
誰からも必要とされない日々に。

でも、私が捨てたいものって何?

愛してくれる人たちを捨てて、私が手に入れたいものってなんだろう?

私が求めているものって?

ただただ外の景色を見ながら、そんなことを考えていた。

私の大好きな春の風が少しずつ吹いているのに、そういえばしばらく外にも出ていない。

折れる、堕ちる、捨てる、逃げる。

母親として最低な言葉ばかり浮かんでしまう。

真っ暗で暗い絵の中に描かれるような、ひとすじの光をずっと探している。

洞窟に細い光がさしているかのように、深い海に届く太陽の少しの光みたいに。

それが誰かなのか、自分の思いなのかはわからない。

でも、私はただただそれをずっと探している。


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