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ひび割れていく正しさ...(18禁ゲーム「さよならを教えて」を遊んでみた感想)

先に言っておくと、ネタバレがあります。この記事を書いた人は予めYouTubeやネットで結末を知っている状態でプレイしましたが、この展開は本当に結末を知る前にゲームをプレイして自分の目で確かめた方が良いです。それでは感想を語っていきます。














18禁ゲーム、さよならを教えて。
このゲームは、狂気と精神疾患について深くよく調べて理解していないと作れないな、と感じた。自分語りになってしまうがこの記事を書いている私も心の病気を抱えており、睡眠薬の服用方法を誤って「現実とそれ以外の区別」が難しくなったことがある。その「主観では区別がつかないけれど、俯瞰して見つめるとあからさまに異常な情景が広がっている」という感覚がこのゲームには強く現れているのだ。それと同時に主人公、人見先生という人間の過去をゲームを「操作している」私が晒し上げ、それでまた人見先生が幻想に縋っていってしまう姿はどこか辛いものがあった。生真面目すぎるが故に、都合のいい夢を見られない。夢は夢とわかってしまうほど、その夢にのめり込もうとして逆に夢の整合性や正しさがひび割れて、粉々に砕けてしまう。どんどん理想と実際に見ている夢が壊れていく場面は見ていて辛く、それでいて内容を読み解いていくのに熱中した。というか、アレだよ。となえ先生もお姉さんも本当に先生を治す気あるのか。心を拗らせた人への対処法を全然わかっていないどころか、逆に悪化させる方がうまい。まあ対話程度で人見先生の「終わらない夕暮れ」が消えることができるのかと言うと、それも難しいところではあると思う。そして、巣鴨ちゃんルートでは彼女は先生に励まされ無事退院していったのだが、正直アレは奇跡的に偶然と思い違いが重なってうまくいったのだと思っている(つまり先生側は何も解決していないし、悪化している)。幻覚の中で先生巣鴨ちゃん犯してるし。さすが電波ゲーと言われるだけのことはあると思うものの、YouTubeなどで持ち上げられている部分と実際の趣はだいぶ異なっているな、と感じる部分はあった。この辺は実際にゲームをプレイしてみないとわからないだろう(?)。
インディーズのものではないノベルゲームを遊ぶのはfate stay night 以来だった上に、18禁の表現をがっつりやっているゲームを遊んだ経験もあまりなかったが、元々グロテスクなものには耐性があるので十分に楽しむことができた。しかし、やはり人を選ぶ作品なのは間違いないだろう。

「あの頃」の美少女ゲームが纏っている雰囲気が好きだ。どことなく辿々しい少女の声、無機質に流れていくモノローグとぼんやりした音楽。淡々と流れていく美麗なグラフィック…そして「さよならを教えて」はそこに悍ましくも儚さのある狂気とエログロナンセンスを惜しげもなくたっぷりとぶち撒けてきた。そのえげつない成分をしっかりと味わえる人に、こっそりとお勧めしていきたいゲームである。ご清聴ありがとうございました。それでは、私はまだ見ていないイベントを回収していきます…

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