見出し画像

四人展『不文律の表象』を終えて

四人展『不文律の表象』
三日間の会期を無事終えることができました。
ご来場下さった皆様、
はじめてだったり改めてだったり、
わたしの作品の世界に触れていただき
本当にありがとうございました。

わたしは音楽を演る人間です。
歌詞を書き、曲を作り、メロディをつけ、歌を歌い、鍵盤を弾いて、
いわば、時間芸術の星の住人です。

たとえば
瞬間の表現に全生命をかけるライブは
何度経験しても慣れるものではなくて
その度に心身を削って
魂から自分の言葉を吐き出して
聴いてくださる方に伝わるようにと
切に願っているのですが

展示はいわば空間芸術で
いつもの短距離走とは全く異なる種類の表現で
この展示も半年構想で迎えたものでした

自分の世界を、音楽を、言葉を、感情を
視覚化する作業は
本業の音楽とはまた違った側面で
目に見えて完成していく過程が楽しくて
ネイルチップを制作するのは
本当に楽しかったです

アルバム『生欲』に寄せたネイルチップ
アルバム『花と阿婆擦恋』に寄せたネイルチップ

展示をやる前に作った
例えば前作のアルバム『花と阿婆擦恋』の
手書きのリリックカードも
ようやく日の目を見せてあげられて
個人的にはとても嬉しかったです
下書きをするタイプの性格じゃないので
その時の気持ちのまま展示できたと思っています
ちなみにリリックカードは
全曲分書くのに5時間弱かかった記憶で
感覚には個人差があるかもしれませんが
わたしは気が狂いそうでした笑

アルバム『花と阿婆擦恋』歌詞カード

日頃ライブの物販コーナーに置いているボードを
明るいところでゆっくり見ていただけたのも
嬉しかったことです

花と阿婆擦恋 物販ボード
生欲 物販ボード

さて、先ほど
時間芸術と空間芸術の話題を出しましたが
今回一番の難関
「どうやったら平面的ではなく
ふだん時間芸術をやっている人間としての
固有の表現が出来るのか」
というテーマでした
とは言え自分にとって初めての展示で
右も左もわからないままでしたが
「自分の感性を信じる」ことだけが
わたしにとっての正解ですので
とにかくやれることをやりきろうと思いました

まずは映像の展示です
『生欲』に収録している
「通電」「いばらの掌」のMVは
撮影等を親友三人が手伝ってくれて
わたしが編集して仕上げた
いわば四人の共作と呼べる作品でしたので
どうしてもこの映像を
四人展で流したいと思いました

MVとキャプション

それから、もうひとつ
時間芸術の表現として
「新曲を書き下ろして
歌詞制作の過程を展示する」
という試みをしました

わたしは歌詞を先行して曲を作るタイプなので、
歌詞が出来上がる過程を展示したいと思い
新曲を書き下ろしました

まずは歌詞を書いて
それから曲をつけて
ボーカルのメロディを作りながら
歌詞を直して
曲を見直して
歌詞を見直して、を繰り返します

白紙の原稿に
わたしの頭の中に降りてきた歌詞の
一文字目を書いた瞬間から
手直しをした二重線から
書き改めた言葉たちが折り重なって
最終ひとつの歌詞になり
音と歌と鍵盤をつけて
完成した楽曲へのリンクを掲出して
新曲として展示する、というものでした

書き下ろし弾き語り新曲「深夜三時の空白」

これが最適解だったかどうかは
判断が難しいけれど
少なくともわたしのやりたかった目的として
制作過程という
ライブとは別の意味での時間芸術の展示という
目的を果たせたのではと思います

大学のサークル同期の
親友四人での展示でしたが
実は我々の大学もサークルも
全く芸術系ではないので
こうして四人で展示ができたのは
本当に奇跡的だと思っています

展示中、色々な反応を頂けて大変興味深く
細かいキャプションの隅々まで
じっくり見てくださる方がいたり
狂気の沙汰みたいな文字だらけのポストカードを
可愛いって言ってくださる方がいたり
歌詞の内容には共感できないけど面白い内容だと
言ってくださる方がいたり
自分にもネイルチップを作って欲しいと
言ってくださる方がいたり
展示の物販として寄せたコラム的な文章を
楽しんでくださる方がいたり
色々な方に届けられた展示だったと思います


展示の準備期間と三日間を振り返って
やはり普段創作をしているとは言え
全く異なる畑で表現をするというのは
とても大変なことだったなと思います

この四人で、
つまり私の愛する親友三人と作り上げるのだから
絶対に良い空間になるということには
確信があったのですが
それにしても初めての展示の準備
(自分の作品は当たり前として)の段階が
音楽制作やライブと並行しながらとなり
また自分の携わる表現には
強すぎるこだわりがあるのも相まって
ほぼ全ての準備を担っていたので
正直何度も心が折れました
というか粉々に砕けていました

それでも

絶対に良い空間になると信じていたから
この三日間が生涯の記録になると
信じて疑わなかったので
何とか乗り越えられました

三日間を終えて
やっぱり最高の空間と時間を
創出できたと思っています
ご来場くださった皆様と
展示を成立させてくれた親友三人に
そしてわたしが制作したネイルチップを見て
「展示やった方が絶対良い!」と
背中を押してくれたきょんちゃんに
心からのありがとうを送ります


わたしは時間芸術の人間ですので
時間芸術の星に帰ります
自分の表現の全てを自分で負うことが
表現における最低限の責任だと思いますし
わたしには自分の感覚や制作にしか
かけられない労力があるのだと痛感しました

なにより時間芸術を愛しています

わたしのことはどうだって良いので
わたしの作品たちを
今後ともどうぞご贔屓に

展示から息つく間もなく
年内最後の弾き語りライブ
12/22にございますので
倒れられるのはもう少し先ですね
駆け抜けます

改めまして
ご来場くださりありがとうございました

2022.12.9-11
四人展『不文律の表象』
終幕です。

頂いたお花。ご来場ありがとうございました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?