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Ramsey Lewis. Sun goddess (1974)

このアルバム1番の特徴はかつてのサイドマンであるモーリスホワイトと彼のバンドE,W&Fそしてチェス時代から付き合いのあるアレンジャー、プロデューサー、ソングライターのチャールズステップニーとリチャードエバンスが制作に参加している事です。リチャード=ラムゼイはカデット時代の名コンビだったし、このラムゼイ=アース(モーリス)=チャールズのチームはチャールズが亡くなるまで続き、アースとラムゼイの関係もそれまでよりは薄れるもののそれ以降も続いていくことになります。シカゴはミュージシャンのコミュニティが狭いのかソウルシンガーは大体カーティスメイフィールド(またはインプレッションズ)となんらかの関係があるし、ジャズやブルース、ソウルも裏方のミュージシャンやアレンジャーが同じだったりと(チャールズやリチャードはもちろんフィルアップチャーチもその線を結ぶ重要人物です)他の都市の音楽シーンとはまた違う面白い特徴だと思います。

メンバー
ラムゼイルイス:キーボード、ギター?
クリーヴランドイートン:ベース
モーリスジェニングス:ドラム、タンブーラ、コンガ、パーカッション
バイロングレゴリー:ギター(3,4,6)
ダーフレールーラヒーム(4):コンガ、ドラム、ボーカル

1、5曲のみ参加
モーリスホワイト:プロデュース、ドラム、ボーカル
フィリップベイリー:コンガ、ボーカル
ヴァーダインホワイト:ベース、ボーカル
チャールズステップニー:アープシンセ、ギター?
ドンメリック:テナーサックス
ジョニーグラハム:ギター

チャールズステップニーとラムゼイルイスのギターというクレジットはクラヴィネットの間違いな気がします。

Sun goddess
軽快なリズムギターからエレピ、シンセがかぶさるイントロが気持ちいい曲。爽やかなスキャットはつい一緒に歌ってしまいます。ですがサックスやギターはかなりフリーキーなところも。微妙に時代は異なりますが前衛からフュージョンやソウルという流れはノーマンコナーズやエムトゥーメイとも重なります。

Living for the city
スティービーワンダーのカバー。オリジナルから抽出したグルーヴを圧縮したリズムとワウやシンフォニックなシンセサイザー等を使ってオリジナル以上にカラフルなサウンドを作り上げています。

Love song
ブレイクビーツ感あるドラムとスペイシーなリズムギターにイージーリスニングっぽいストリングスとピアノが載ったバリーホワイトのジャズバージョン的なバラードナンバー。後半のピアノが圧巻です。

Jungle strut
謎の言語のボーカルやウッドベース、ぐちゃぐちゃしたシンセが泥くさいアフリカンなファンクナンバー。

Hot dawgit
ロックっぽいギターと脈打つようなリズムがかっこいい曲。オルガンやコーラスがまろやかなアレンジです。

Tambura
タイトなドラムがかっこいい荒めのファンクナンバー。アナログシンセサイザーのファンキーな音色が面白いです。

Gemini rising
ハイテンションなドラムとシンセがかっこいいファンクナンバー。中盤でリズムががかっこいいウォーキングベースの4ビートになるのが面白いです。なんとなくハーヴィメイソン風のドラムといいラムゼイのピアノといいハービーハンコックのヘッドハンターズのサウンドやCTIでの演奏っぽいです。ちなみにラムゼイの星座はは双子座つまりGeminiなんですね。

コネクション:チャールズステップニー
シカゴのジャズ、ソウルシーンに欠かせない人物の1人ですが完璧な裏方に徹しソロアルバムは一枚もありませんでしたが去年デモテープをまとめた編集盤がリリース。アース、デニースウィリアムス、フィルアップチャーチの曲のデモが収録されておりキーボードとリズムボックスを使った宅録なのでチープな音ではありますがそこがかえってスライストーンやティミートーマス、シュギーオーティスに通ずる音になっていてとても興味深いです。さらにアースのImaginationは最近流行りのLofi Hip-Hopのような音で誰にも知られることなく時代を先取りしていたのか偶然かはわからないですがどちらにせよタイミングの良さには驚きます。配信のシングルではジャケ写にスタジオでの仕事中だったり家族とのスナップ写真が使われているのも味があって良いです。いつかLPを買いたいですね。