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Donald Fagen. The nightfly(1982)

ドナルドフェイゲンの初のソロアルバムです。ジャケットがハードボイルドで最高にかっこいいです。音に関してはスティーリーダンの時と同じく多くのミュージシャンを起用してはいるものスティーリーダン時代の病的なまでの完璧主義はとは違い、いい意味で力を抜いた印象を受けます。しかし演奏は一流でコーラスも完璧主義でなければ作り出せない美しさを感じます。歌詞は当時の社会を皮肉るような内容が多いです。ネットを見るとガチガチの社会批判と解釈している人が多いですがドナルドフェイゲンが自身のことをオタクで孤独だった、このアルバムは青年期の幻想がテーマと語っていることから青年期ならではのぼんやりとした不安や社会に対する屈折した思い、周囲との不和からくるシニカルな見方といった方が近いのかなと個人的には思います。

メンバー
ドナルドフェイゲン:ボーカル、シンセサイザー、エレピ、オルガン、コーラス
グレッグフィリゲインズ:エレピ、クラビネット
ラリーカールトン:リードギター
スティーブカーン:アコギ
ヒューマクラッケン、ディーンパークス、リックデリンジャー:ギター
ジェイムズギャドソン、ジェフポーカロ、エドグリーン:ドラム
アンソニージャクソン、チャックレイニー、マーカスミラー、エイブラハムラボリエル、ウィルリー:ベース
ランディブレッカー:トランペット、フリューゲルホーン
マイケルブレッカー:テナーサックス
ロニーキューバー:バリトンサックス
ヴァレリーシンプソン:コーラス

I.G.Y
レゲエのリズムを使った都会的な曲。タイトルは国際地球観測年のことで科学に基づいた理想を皮肉った歌詞らしいです。

Green flower street
アップテンポのファンキーなフュージョンナンバー。聴き取りなのであっているかはわかりませんがどうやらGreen flower streetというところで起こった殺人について歌っているようです。

Ruby baby
コースターズのカバー。50sのドゥーワップのタッチを残しつつジャズや80s風のサウンドをミックスしています。

Maxine
イントロのジャジーなピアノソロが美しいバラードナンバー。ギターやホーンも繊細ながらも気怠い音でとても印象的です。

New frontier
核シェルターについて歌ったアップテンポの曲。タイトルはおそらくケネディ大統領が掲げたニューフロンティア政策と掛けているのでしょう。いつも世界史で昔の出来事として習ったものが実際にその時代を経験した人が歌にしているとちょっと不思議な感じです。

The nightfly
ジャズとおしゃべりを提供する深夜ラジオのDJ(ジャケットの人)の歌。今昼間に聴きながら書いていますが夜に聴きたくなるようなサウンドです。ラリーカールトンのギターがあまり多くはないですがキレキレでかっこいいです。

The goodbye look
ラテンタッチのリズムが印象的な曲。ベースはマーカスミラーですがスラップしていないので本当にマーカスなのか?と思います。

Walk between the raindrops
50sらしいシャッフルビートがかっこいい陽気なR&Bナンバー。