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「プカプカ」のモデル・安田南はどこに消えたのか

おれのあん娘は タバコが好きで 
いつもプカプカプカ
身体に悪いから やめなっていっても
いつもプカプカプカ

遠い空から 降ってくるっていう 
倖せってやつが あたいにわかるまで
あたい タバコ やめないわ 
プカプカプカププカ




この不思議な歌詞の楽曲は、「プカプカ」というフォークソングで、シンガーの西岡恭蔵が1972年に作ったものである。
知ってるのはおっさんおばさんばかり。
僕は現在30代後半だけど、同級生でこの楽曲を知る者はなかなかいない。

もう10歳も離れた先輩方なら、知ってるという人も増えてくるが、この歌が僕は大好きだ。

あんまり柄でないので、こういうことは仕事でも書かないんだけど、音楽はその時代時代に寄り添う空気のようなものだと思っている。

70年代にはまだ僕は生まれてもいないが、この時代の雰囲気は、当時のニュース映像、ドラマや映画、特撮番組や、音楽を通じて感じることはできる。

「プカプカ」という楽曲には、モデルがいる。
それが西岡と同じく、シンガーとして活躍していた安田南という女性だ。
シンガーとしてだけでなく、ラジオDJや役者としての才能もあったが、当時はアングラの世界で熱狂的な支持を受けていたそうだ。

詳しくは歌詞を参照してもらいたいんだけど、全編に渡ってこの楽曲は、自由奔放で魅力的な女性のイメージが投影されている。

聞くところによると、本楽曲は安田のプライベートを、結構そのままに描写した歌詞になっているという。
その時代に生きていないので確たることは書けないが、個人的にもそんな気がする。

「プカプカ」は不思議な曲だ。陽気なようで、メロディーに哀愁があり、希望があるようで、どことなく諦観めいた視点で書かれている。
西岡は親交のあった安田に対して、恐らくは恋慕を抱いていた時期があったのだろう。
もしかするとどこかにその確証となる書籍やら何やらが残っているのかもしれないが、不見識なもので僕はそれをまだ知らない。

奔放な女性は押さえつけても意味がない。
それを西岡は知っていたことだろう。

様々な分野で才能を発揮し、人々を魅了した安田。
その安田は1978年に、数年間DJを勤めていたラジオ番組を、突然欠席している。
それきり、彼女は表舞台から姿を消した。

聞くところによれば、安田は2000年代に入ってひっそりと鬼籍に入ったという。
彼女を題材とした楽曲を作った西岡は、2002年に自死している。

「プカプカ」の当事者は、今はもういなくなってしまったが、残された歌は大衆に受け入れられ、今尚この時代の楽曲を愛する人々に歌い継がれてい

おれのあん娘は占いが好きで
トランプスタスタスタ
よしなっていうのにおいらを占う
おいら明日死ぬそうな

あたいの占いがピタリと当たるまで
あんたとあたいの死ぬとき分かるまで
あたいトランプやめないわスタスタスタスタスタ

あんたとあたいの死ぬとき分かるまで

あたいトランプやめないわスタスタスタスタスタ

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