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ため息俳句 ほうれん草食す

 昨年の10月7日の拙文である。
 そのそうれん草がおいしい。
 霜に当たると甘みを増すと聞いたことがあるが、よくわからない。
 それでも、お浸しは旨い。味噌汁もよい。

 菜野菜を作って知ったのは、意外にも根っこを力強く深く地中に延ばすものだということだ。
 そういうことで、痩せた土地で、小松菜のような漬け菜一般、アブラナ科の野菜を作ると、深く張る根によって耕す効果がでて、土壌改善につながるのだと、物知りの家庭菜園家から聞いたことがある。真偽のほどは確かめていないが、それでも、経験的にはそんな気もする。

 ほうれん草は、アブラナ科ではなく、ナデシコ目ヒユ科とかに属すそうで、ちょっと毛色が変わっている野菜だ。大根白菜蕪小松菜と冬野菜を網羅するアブラナ科に対して、実にマイナーな野菜らしい。
 だが、どちらにしろ根っこがしっかりしているのは変わらない。大根、蕪は根っこそのものが食されるわけであるし。
 ほうれん草の場合も、根っこを棄てるのはもったいないことだと、しばしば耳にする。

茹でた後のほうれん草

 スーパーではこんな風に根を残して売られることはあまりないが、土から掘り出すとこのようなものだ。
 人によってはこの根こそほうれん草で一番旨い部位だという。捨てるなんて何ともったいないことかと。そういわれるので、小生も食べてみた。たしかにその風味はほうれん草そのものの独特な香りが濃厚に感じられる。甘みも強い。それが好きな人は、葉の部分より満足感が高いように思う。
 だが、申し訳ないが自分はちょっと遠慮したい。癖が強いように感じるので。
 一木一草すべてに命がある、人はその命を頂いて生きているのだから、いただく命のひとかけらも無駄にしてはならないと、叱られるとしたら、「仰せごもっともでございますが、ひとつお目こぼし」をとお願いするしかない。まったくもっての不心得者だ。
 とにかく、ほうれん草、今が旬だと思う。
 

薄紅の根は疎まれぬほうれん草


 でも、やはり、根っこ、旨い食べ方を研究しようか。

もったいなほうれん草の根を刻む