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2021年よかったものリスト

12月の半ば、2021年に買ったり読んだりプレイしたり行ったりしてよかったものやことのリストを残しておこうと思った。2019年は前編だけ書いて飽きてしまったので、今年は前後編ではなく、一本です。勢いが大事。

ドラム式乾燥洗濯機

買ったのはパナソニックのななめドラム式洗濯乾燥機NA-VX800BL。同じゲーマーコミュニティにいる@omochimetaruが1,2年くらい前からドラム式洗濯乾燥機を絶賛していたこともあり、前から興味はあった。

結果、洗濯物を干す手間が一切かからなくなったので非常に助かっている。洗濯をする際の脳内メモリに「あとで回収して干す」プロセスを入れなくて済むようになったのがありがたい。浴室乾燥がない家/部屋であれば雨風を気にかける必要もない。実家の親にも買って送りたくなった。

なおNA-VXが型番、800がグレード、BLは蝶番がどちらにあるか(ALが右でBLが左)。2021年の新モデルでは外観が大きく刷新されたので、見かける機会は減るかもしれない。

アーロン リマスタード(フル装備)

高い椅子。セイルチェアと悩んだが、投資だと思ってこちらにした。たまたま12月までに購入すると金利がゼロになるキャンペーンがあり、一括購入せずローンで買った。ストアに試座しに行った時に店員さんが懇切丁寧にフィッティングや解説をしてくれて助かった。

オフィスワークも書き物もSNSもゲームも、いつか自分の腰を破壊するので。結果として10月以降めちゃくちゃ働いているため、買っておいてよかったと心の底から思っている。こいつは同じハーマンミラー製のエンボディチェアとはしばしば比較されるのだが、アーロンチェアは「無限に作業ができる、身体と一体化する椅子」でエンボディチェアは「様々な用途に使える、身体を支える椅子」だと感じた。この二つはぜんぜん違う椅子なので、購入の際はちゃんと試座するとよい。

ボディトリマー

友人の@tanyeoeがボディトリマーで剃るとめちゃめちゃ気持ちいいよ(意訳)と言っていたので、思い立って夏前にパナソニックのER-GK81-Sを買った。自分はそこそこ毛深いほうということもあり、冬になると静電気に、夏は暑さに悩まされる(特に足)。かといってぜんぶきれいに剃ると今度は生えてくる際のかゆみがひどいので、適度な長さにカットするようにしている。

今のところは月1,2回くらいの運用で期待した効果が得られている。いわゆるVIOラインもきれいにしやすい。防水なのも良い。欠点があるとしたらやや大きめなので指の毛を剃る際に手間取ることくらいだが、大は小を兼ねるということで満足している。

鏡のくもり止めリキッド

思わぬ掘り出しもの。Discordサーバーで@r7kamuraから教えてもらった。本当にくもりづらくなるので浴室で何がしかをする際に便利。いま自分はパートナーと2人で住んでいるのだが、それでも(=浴室を使う人間の数が多少多くても)月2,3回くらいのメンテで済む。こういう製品は性能が悪いかメンテ頻度が高くて面倒になりほっぽりだしてしまうのだが、今のところ継続運用できている。ありがたい。

クラフトビール

近所にやたらと品揃えがいい酒屋があり、気がついたらふらっと入って買ってしまう。今年飲んだなかだと国内はVERTERE、Far Yeast Brewing、Derailleur Brew Works、うちゅうブルーイングあたりが好み。海外はようわからん。下の写真には全部入ってる。

左からFar Yeast Brewingが2つ、VETERE、うちゅうブルーイング、Derailleur Brew Works。最近のクラフトビールはデザインもかわいかったりやたらオシャレだったりする

もともとお酒には強くないのでガブガブ飲むわけではないし、最近までラガー系のビールの美味しい飲み方を分かっていなかったにも関わらず、今年はやけに飲酒量が多かった。来年はもうちょっと抑えていきたい。今はラム酒に興味があります。

Spotify Premium

これのおかげでリモートワーク中や家でゴロゴロしている時のBGMに困らなくなった。AmazonのPrime Musicでも名盤や定番ナンバーは聴けるのだが、Unlimitedに加入しないと最近の曲や邦楽がないことも多く、せっかくなので加入。新譜もすぐ聴けるのが嬉しい。というかこんなに安くて大丈夫かという気持ち。スピッツとサカナクションとずっと真夜中でいいのに。とボブ・ディランとジャズとドラムンばっかり流してます。

DeepL Pro

2,3年くらい前に話題になった高性能翻訳サービス。有料プランであるProのStarterは月額750円で文字数制限が撤廃され、さらにpdfやdocxの文書を月あたり5つまで翻訳できる。年払いだともっと安い。

主に仕事で英語・中国語のプレスリリースを和訳する際や記事のチェック時、それから海外企業にメールを送る際にGrammarlyとセットで使っている。よく言われるように解釈できない箇所があると飛ばすクセがあるので、DeepLが訳出した日本語だけを読んで運用するのはプロダクションレベルではあまり推奨できない。時々自分もやらかすが、おおむね「訳出するのが面倒だがだいたいの筋がつかめている」ケースで使うのがよい。たまに6万字とかある論文を翻訳させるとところどころ壊れていて悲しい気持ちになるが、読みやすくはなる。

Horizon Workrooms

最近Meta Platformsに名前が変わったFacebook謹製のVR会議ツール。アバターの表現はかなりコスパよく作られていて、下半身はない。が、大半の人はそもそも会議中に歩いたりしないし、口がモチョモチョ動くのと、目線が合っているかのように感じられる体験、身振り手振り、自動でのまばたきで割と十分だ。手元も見れるしPCの画面を出すこともできる。

アバターに関しては一体型のQuest 2でも動かしたいので重たいデータは使えない、というところから逆算して作っているわけではあるが、それはさておき当初話を聞いて想像したものよりもだいぶよくできている。何より音声の遅延のなさがよい。ZoomやDiscordに比べて圧倒的に発話の被りが少ないので快適。他のVRSNSやVR会議サービスでは音声関連が微妙なケースは多々あるのだが、Horizon Workroomsはジョン・カーマックがいろいろいじった(らしい)こともありレスポンスの早さという意味では頭二つくらい抜けている。あとは機能面の拡充が進めばいいな。

Getting Over It with Bennett Foddy

2017年末あたりに出た高難度登山ゲー旋風の火付け役。壺に入った男(ディオゲネス)がハンマーを使って無茶苦茶な山を登っていく。まず独特の操作に慣れるまでが難しい。新しい形態の身体を得た時とか赤ちゃんってこんな感じなんだろうな。さらに発売当時の私は3Dベースのゲームがマトモに動くPCを所持しておらず、倉庫のあたりで諦めて積んでいた。

通称オレンジ地獄。鬼のように難しいが、ここを突破できれば正直クリアできると思う

一通り詰まりそうなところはしっかり詰まるし、勢いで抜けられてもいずれ失敗して戻される。しかしきちんと操作を学び、失敗を繰り返しているうちにコツをつかんで上達できるようになっている。さらに進行に応じて作者であるBennett Foddy氏の語りや楽曲が流れ、作者の願いや解説が行われるに従ってこのゲームは対話の様相を帯び、最終的には苦行を経た宗教的な崇高体験にまで及ぶ……とまで書くとオーバーな表現かもしれないが、それだけの感動を得られる人もいる(とある友人はクリア時号泣していた)。

ゲームとしては「一切接待をしてくれないが、努力が積み上げたぶんだけ返ってくる」ようにはなっている。なんというかちゃんと報われるタイプの人生っぽい。ちなみにSteamでのクリア率は現時点で7.2%であり、異常なまでに低い。基本的にすべてのプロセスが地道だから飽きるのだろう。だがこの地道さを行かぬものにクリアのカタルシスはない。断食した後のお粥がうまい、みたいなゲーム。年末年始におすすめ。

ダークソウルⅢ

フロム・ソフトウェアが2016年にリリースしたゲームであり、死にゲー、あるいは高難易度ゲーとして知られるダークソウルシリーズの3作目。レベルデザインにおける情報・報酬・課題の配置が恐ろしい密度でなされており、マップのどこにも無駄な箇所がない(本当に無駄な箇所がない)。プレイ中ずっと面白く、個人的にはゼルダの伝説ブレス オブ ザ ワイルドに並ぶレベルで完璧なゲームのひとつ。もちろんそれなり以上には難しいので、そちらよりは人を選ぶと思う(そもそもゼルダシリーズもけっこうゲーマー向けタイトルだが)。

DLCも2本ともやった

だいたいの死の原因が自分にあると感じさせるようなメカニクスやレベルデザインになっているので、フロムが仕掛けた罠に引っかかっても「してやられたな……」という気持ちになるだけで割と穏やかだったりする。罪の都の結晶トカゲが出てくる穴開き通路は2回とも引っ掛かったし、宝を取ると上からナメクジみたいな敵が降ってくるやつはまんまと食らう。だんだん慣れてくると「絶対に罠がある」と勘づいて天井を見上げたり周囲を確認したりする癖がつき、そしてさらなる慣れのせいで忘れたころにまた罠に引っかかる、という形で手のひらで踊らされ続けた。やってて一生味が消えないガムとかジャーキーってこんな感じなんだろう。環境ストーリーテリングにほぼ全振りした物語提示の美しさも素晴らしいし、火と闇をめぐる中心思想については共感するところも多い。何から何まで自分向け。

この流れには思わず感極まってしまった

陰湿な敵や罠がたくさんある暗い地下墓地を探索し、わけもわからぬうちに黄泉平坂を登る巨大な骸骨(覇王ウォルニール)と戦わされ、なんとか倒し階段を登ったところで見える月下の雪振る街、新エリアに到着したことを知らせるテロップ「冷たい谷のイルシール」……という流れは特に感慨深いものがあった。自分が雪国育ちということもあり、イルシールやアノール・ロンドに美しさを感じる、ということも大きいと思う。たぶんあと10週くらいは平気で遊べる。

世界にやたらと謎が多いところも好きなポイント。Dear EstherとかGone Home的な

「すべての箇所に意味がある」かつ一定以上の規模を両立しているゲームというのははっきり言って異常で、こういう体験は現実にはまったく存在しない(本来、世界には意味も意志もない。人間が意味や意志を作り見出すことはあるがそれは私たちの個人的なあるいは集団的な在り方や思考や傾向の反射にすぎないし、世界全体の人間向けグランドデザインはない)。報酬と意味と課題が異常なまでの高密度で配置されており、つまるところこのゲームはあまりに面白すぎると思う。逆にこういう体験をゲーミフィケーションとして作れれば、人間は無限に働いたり無限にものを作ったり活動したりするのではないだろうか。いやそういう体験が実質強制されるような世界はそもそもいいものなのだろうか? わからない。今度はSteamで販売されている初代のリマスター版をやろうと思う。

ゼンデギ

ここからは本。タイトルはペルシア語で「人生(Life)」の意。あらすじをざっくり説明すると、ガンで余命宣告をされた元報道特派員・マーティンは交通事故で死んだ妻の親戚であるAI/脳神経研究者・ナシムに会いに行く。マーティンは自分の幼い息子を死後も導くため、VRゲーム「ゼンデギ」を通して自己のコピーを生成することを決意するが……といった内容。前半はイランの民主化をめぐる話が多くを占め、どこがSFやねん、となる可能性もあるが、まあ耐えて読んでほしい。最後にマーティンのパートが終わるときのテキストがとりわけ良い。

作者のグレッグ・イーガンはSF小説の巨匠で、塵理論やコンピュータによるバーチャル・リアリティで演算速度をあれやこれやして得られる永遠の生命等を描いた『順列都市』などで知られている。自分は『ディアスポラ』と『しあわせの理由』を読んでいたのでイーガン作品は4作目。しょうじき『ゼンデギ』はグレッグ・イーガンに期待するものが出てくるわけではなかったのだが、非常に面白かった。

ちなみに『しあわせの理由』は量子サッカーとかいうバカスポーツが出てくる作品があるのでぜひ読んでください(量子サッカーは話の筋としてはぜんぜん重要ではないのも良いです)。

闇の左手

日本では『ゲド戦記』の作者として知られるアーシュラ・K・ル=グウィンの作品。惑星〈冬〉ことゲセンとの外交関係を結ぶべく、人類の星間連合エクーメンからやってきた使節ゲンリー・アイ。しかし訪れたカルハイド王国での交渉は一向に進まず、それどころか政治的陰謀に巻き込まれ大変なことに。強制収容所で過酷な労働を強いられていたところ、アイはカルハイド王国の元宰相であるエストラーベンに助けられ、果てしない氷原を歩いてカルハイドに再び向かう。

ゲセンの民は両性具有であり現地の言葉では「ケメル」と呼ばれる発情期を経て繁殖する、ゲセンはその過酷な土地の性質からして家畜にあたる動物がいない、シフグレソルと呼ばれる「メンツ」的なややこしい関係が存在する(そしてそれは部外者であるアイにはわからない)、など、地球人ベースであろうアイの想像の範疇にない事柄が多々出てくる。そんなまったく別の世界の中に取り残された異邦人たるアイが、「ゲセン人」や「カルハイド王国」といった巨大な括りではなく「エストラーベン」という個人を通してその世界の在り方や根幹に触れるシーンがとにかく美しい。

自分は刑務所・強制収容所にぶち込まれる作品や雪の中を延々移動する作品が好きなので(『すべての美しい馬』とか『ソルジェニーツィンの一日』とか『氷』とか)、両方あってドンピシャでした。次は『所有せざる人々』も読みたい。

人間はガジェットではない

「バーチャル・リアリティ」という言葉の祖とされているジャロン・ラニアーが書いた本。原書は2010年に刊行。内容は論理的・データによる積み重ねではなくマニフェスト(声明文)といった感じ。「今のインターネットの仕組みは匿名の攻撃者をたくさん生み出すから考え直したほうがいいと思う」とか「もっと個人のことを大切にしよう」みたいなことが書いてあり、そういうスピリットのようなものを忘れたらいかんよな、という気持ちにさせられる。

メタバースでもSNSでもなんでもいいのだが、不特定多数が(言い方は悪いが)暴力や強力な法などによって制約されない場ではそうなるよなという部分もあり、この辺りは自由と取引になるので極めて難しい。まあむやみやたらにスケールさせなければ成立するのだろうけれど。自分はラニアーの思想に共感する部分も大きいが、まあ年をとったということなのだろう。若かったら絶対に「うるせえ!」って言ってたと思う。

また、終盤で言葉を使わないコミュニケーション手法について書いたパートはMeta Platformsが研究している振動コミュニケーションの果てにある話と共通するものがあって面白い。年末にどうぞ。なんか学校の先生みたいなめんどくささはあるが、そのめんどくささを切り捨ててはいけないし、もちろんめんどくささだけになってもいけないよね、ということに立ち返らせてくれる本だった。結局真実は個別の事例にしかない。

焚き火

10月末日、焚き火をやりに東京の西の方へ行った。東京で暮らしはじめて11年になるのだが、地元と比べて圧倒的に野蛮性や土の匂いや森が足りない土地なので、ときどきこうして自分の動物に近い部分をなだめてやる必要がある。火は人間の旧い部分を癒やす。みなさんも癒やされてください。

2021年もお疲れさまでした。2022年はもっと良い年になるといいですね。






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