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勝つためのスプラトゥーン #1

# この記事は何で、何をしているのか

数百人規模の社会人Splatoonコミュニティ・Splathonで解説や色んなチームのコーチをやっているミズハラユキと、Splathonきっての実力者であり、甲子園の地区大会やオンライン大会の優勝経験もあるあわが、「スプラトゥーンで勝つこと」をテーマに色々話す回です。全3~4回くらいを予定。

# この記事で何をしないのか

・細かい文章の編集や構成・順序変更(かなり録って出し)
・事前の入念な企画立て(行き当たりばったりで、即興的にやる予定です)
・Splathon外部の人に対するマーケ的意識や、Splathon内で使われている用語解説(あくまでSplathonコミュニティ内向け)
・Splatoonで使われている公式/非公式用語の解説(同上)

・要するに、
「しゃべった内容を、しゃべった順番通りにほぼそのまま書き起こしただけだから、文章としてはざっくりしたものです。ごめんね」
「メインの対象読者は"Splathonコミュニティにいて、チーム戦をやっている人"で、"うまくなりたい/勝ちたい/強くなりたい人"です」
「サブの対象読者は"Splatoonプレイヤー"で、"うまくなりたい/勝ちたい/強くなりたい人"です」

ということです。

# 登場人物

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ミズハラユキ/mizuharayuki
よくしゃべる方。すごくしゃべる。XP2650-2700ライン。Splathonで主に解説を担当。メインウェポンはパブロ・ヒュー。伝えたいことが多すぎる。

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あわ/awa
つよい方。すごくつよい。XP2750-2800ライン。スプラトゥーン甲子園地区大会で優勝など。メインウェポンはエクスプロッシャーカスタム。言葉少なだが的確に真理を突く。

# はじめに

ミズハラ:今回のテーマは「勝つためのスプラトゥーン」です。大王戦やLadderがそうなんですが、最近Splathonのなかでも、相手に勝つことを意識してプレイする人が増えていると思うんですよ。なので、アドバイスまでいかずとも、強いプレイヤー・強いチームがどのように取り組んでいるのかを知りたい人も多いんじゃないかと。

あわ:確かに確かに。

ミズハラ:ゴリゴリの競技とまではいかないまでも、競い合うシチュエーションにおいて何を念頭にプレイするか、何を考えているのか、などについて話せれば、ってところです。

内容だと、個別のシチュエーションでの技術やテクより、精神論とか大まかな話が増えるかも。

あわ:マクロ的な話ですね。

# コミュニケーションが大事

ミズハラ:そもそも、今回の大王戦は「はじめてスプラトゥーンにチームで取り組む」人も多いはずなんですよね。

あわ:勝ちに行く=チームとしてうまくなりたい場合、まずコミュニケーションを取らないといけないですね。これは絶対に課題として出てくる。

他にも、Xパワーが高い人、言い換えると強い人がどれだけ基準を相手に合わせてあげられるか……は大切ですね。

ミズハラ:そのままだと下の人が萎縮しちゃいますもんね。

あわ:大王戦のTier2(XP2100~2400)ならまだしもTier1(XP2400~2600)だと上下の開きが結構あるんですよね。

ミズハラ:目線の高さを合わせるというか。

あわ:逆に、いわゆる大会上位陣なんかはだいたい同じラインで戦ってるから、あんまり意識してないと思います。初対面だけどあんまり初対面じゃない、みたいな話が多いはずで。Splathonの方だと必要になってくる。

ミズハラ:XP2800超えてるような人や王冠の人同士だったら、「こいつは強いんだな」ってのが分かってるんですよね、共通前提として。仮に何試合かガチャついたとしてもみんなすぐ補正してくれるし。

あわ:「こういう立ち回りする人なんだな、じゃあこう動けば強そうだ」で済むわけですね。

で、大王戦だと初対面の人とどうコミュニケーションを取っていくか、というのがファーストステップになるはず。

結果的に#boshuとか#大王戦とかに顔出してる人の方が、そこの初速が早いみたいなのはあるかもですね。

ミズハラ:確かに、見たことある人、発言回数が多くて知られている人は心理的な距離感が近く感じられそう。

あわ:だからみんな#boshuに出ようね、という(笑)

ミズハラ:間違いない(笑) 上手いところってチーム内での仲が良かったり、そうでなくてもきちんと言い合えるだけの心理的な距離感の近さがあるんですよね。

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(心理的な距離感の近さの例。)

ミズハラ:今回の大王戦のルール、初対面同士で組むことが多いというのを考慮すると、そのあたりの重要性は高そう。まずはチームで関係性を作るところから。

あわ:ですね。

# 大王戦を生き残るには

ミズハラ:他の話で行くと、Tier1とTier2、Tier3(S+~X2100)でそれぞれ、チームや個人の課題って明確に違うと思うんですよね。

あわ:試合はまだ見てないけど、違いそうですね。

ミズハラ:自分が見てきた限りだと、Tier3のプレイヤーってキャラコンやエイム、つまりミクロなところを鍛えれば勝率が上がる部分が多いと思うんですよ。

で、Tier2になると編成のバランスを考慮するとか、やや戦術寄りの話、あとはどこで何すると強い、というポジション意識がより出てくる。

Tier1は「いつもの」みたいなノリでやってる人たちも多いですね(笑)

あわ:(笑) Tier1を鍛えるのって難しいですよね。

ミズハラ:ですねー。バランスはどのチームもある程度取れていて、試合がきちんと成り立つところでどうするかっていう。テクニックとかではなくなってくるので、手を出しにくいですよね。

あわ:結局、それぞれのプレイヤーがやったかやってないかになっちゃうんですよね。

ミズハラ:最終的には、やりやすい環境、やる気になりやすい環境……そういうのを作るくらいしかないのかな、と。

あわ:それしかないな~。

ミズハラ:知識を教えるフェイズはあるんですが、その先の「やる」フェイズがあって。そのための空気を作る。チーム全体でコミュニケーションを取るっていう話もそれに近いですね。

あわ:チームのそういう目標、目的を合わせるのは割と効率いいと思いますね。今日の目標、みたいな。

ミズハラ:今日はこれやろう的な。

あわ:自分は単なる「勝ちましょう」じゃなくて内容を求めますね。別に試合の勝ち負けはどうでもいいので、打開のときにきちんとSPを合わせられたかどうか、とか。

ミズハラ:試合結果じゃなくてプロセス重視。

あわ:チェックシートじゃないですが、「今日はとりあえず合わせるのだけ意識してみようぜ」「今日はこれやろうぜ」と決めて、ステップを踏んでいく……ってのはやりましたね。

あとは、個人の目標も共有しておいて怒られを防ぐ。例えば「今日はちょっとゲームスピードを上げたいから凸めに行くわ、デス多くても許してね」ってのを事前に知ってもらう。

ミズハラ:練習のための動きだから不慣れだけど、成長するためなんで許せ、的な。

あわ:目的意識を持ってやっている行動であればそんなに悪い印象もないし、分かってもらえると思うんですよね。逆に何も考えずにやってたら怒られる(笑)

ミズハラ:(笑) 全体と個人のチェックポイントをきちんと決めたうえで練習に参加するといいよね、というのはありますね。

あわ:で、それを達成できたかできなかったか、どれだけ勝利に大して貢献できているかをチェックするといいのかなと。メンバーやコーチのフィードバックを受けて、それをやるかどうかの取捨選択をより正確にしていく、という感じでしたね。

ミズハラ:成長という観点からすると、なんかよくわからないけど勝った/負けた、はよくないんですよね。

あわ:ほんとよくないというか、ただゲームして終わりましたってだけですからね。

ミズハラ:最初は単純にプレイするという時間の積み重ねが必要だと思うんですが、一段階上に行こう、となったときは個人とチーム双方で目的意識、課題を見つけてやっていくべき、と。

あわ:Tier2やTier3は、セオリーに背くプレイをしてしまうことが結構あるんですよね。失敗を恐れてセオリーを無視してしまう。失敗してからきちんと安定行動を取るようにするのが正しいんですよ、と。

ミズハラ:あわさんのよく言ってる「できないことはやらないとできるようにならない」ってやつに近い話ですね。

あわ:そうですね。

# リスクとリターン

ミズハラ:セオリーの話で行くと、ガチマとかで勝ちきれない人って、リスクを取らないからジリ貧で負けるみたいなのって結構あるんですよね。特にデュアカスとか黒ZAP、弱体化後のL3みたいな、まんべんなくいけるブキだとそうなりがちで。

「ここで失敗したら0点だけど、成功したら100点でKO勝ちいけるやんけ」みたいな時にリスクを取るのを恐れた結果まくられて負け、トータルでの勝率を下げちゃうとか。

あわ:ありますね。リスクを取らずに勝っても、「そういう立ち回りで勝った」っていうのは本質的じゃなくて、たまたまというか。これで勝ち続けちゃうと、後がめちゃめちゃしんどい。ガチマだとパワーが上がったところで一切勝てなくなるっていう現象が起こる。

ミズハラ:短期的に勝ちたいんだったらそれでいいかもしれないんですが、長期的に考えると「勝てなくなっていくプレイング」を学んでしまう、という。低リスクで戦うことが最適解なシチュエーションももちろんあるけれど、リスクを取らないと勝てないところで、デスを恐れるあまり勝利を逃してしまう。

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(リスキーな例。)

あわ:さっきミズハラさんも言ってましたけど、デュアルはその「リスクが取れない」罠に一番ハマりやすいブキだと思いますね。間違いない。

ミズハラ:丸いブキは、目の前にいる相手や状況によってハイリスクかローリスクか、キル重視か塗り維持重視かを切り替えるべきなんですよね。デュアルは中途半端にブキのスペックがあるのと、編成事故に強いからなんとなく勝っちゃう。誤った学習をめちゃめちゃ誘発させるブキだと思います。

あわ:立ち回りを弱くしてしまう可能性がある。

ミズハラ:ブキとして尖ったところがないぶん、プレイヤーとしての尖りや判断力が問われるんですが、それを理解しないまま手なりで使い続けてしまうケースが多々あって。それを要求されるラインにまで来たとき、他のプレイヤーに勝てなくなってしまう。他の人たちはそこを鍛えてきたわけなので。

あわ:あの手の丸いブキで強い人は、そのへんちゃんと分かってるんですよね。

ミズハラ:上げ下げとかギアチェンジが上手いというか。

あわ:普通は綺麗に間合いを取ることでリスクコントロールをしないといけないんですが、それってまあ難しくて。

ミズハラ:過剰に下がりがちになっちゃう。

あわ:あのタイプのブキは常に40~60%のリスクラインを取り続ける、みたいなイメージがあるんですが、リスクを取るという行為そのものが頭に入っていないと難しいですね。

ミズハラ:射程が長いとか後衛だから、という理由だけでずっと後ろに下がってるのはよくないと。うまい中長射程の人たちって、状況次第ではだいぶ詰めてきたりするんですよね。

大局的な話に戻していくと、リスクをどうとるかって難しいと。死ななければ勝てるってのはある程度正しいんですが、「自分はデスするかもしれないが、勝ちに貢献するデスを増やす」、というのは重要だと思います。

あわ:良いデス、というのは明確にあると思いますね。

ミズハラ:プラスになる行動は塗りやキルだけじゃない、というのを分かってもらえるとだいぶ違いそうですね。

あわ:実力一緒だったらデスしないわけがないじゃないですか。そうなると、どっちのデスの質がいいかという話になってくる。自陣でデスしちゃだめだし、敵陣でヘイト集めてデスするのは良いデスになる。

ミズハラ:全員死なずにボコボコにするのが一番強い勝ち方だけど、不可能なので(笑) 相手にリターンを与えづらい、あるいは自軍に利益をもたらすデス。相手のキルの価値を下げるデスをどれだけ取れるかってのはありますね。

あわ:エリアと関係ないところに人集めるとか、相手の打開のタイミングで飛び出して2:2に分断するとか。価値の高いデスや飛び出しは研究していってほしい。

# 勝つためには、負けるしかない

あわ:大王戦、Tier2とTier3は正解択をしっかり掴んでいってほしいですね。さっき話していたセオリーを学んでいく。基礎をしっかり。

ミズハラ:じゃ、Tier1で勝つってなると……

あわ:報告は必須ですよね。できてないと普通に負けると思うんで。次は報告しながらパフォーマンスを落とさずにプレイできるか。

ミズハラ:喋り続けてるとプレイにも影響出ますからね。どうやってマルチタスクになるか……は結構大変そう。速度のあるブキならなおさら。

あわ:そこ難しいですね。

ミズハラ:Tier1だとブキの理解はすでにある程度持っていると思うので、ルルステの理解を一段階深める、あたりですかね。

あわ:あと、もっと立体的に思考してゲームを見ていくことになると思いますね。相手の編成はこれでこっちの編成がこうだから、自分はこうしないといけない、そうしたら味方はこうしてくれるはずだから、とか。理想を言ったうえでの詰め将棋的な話になるかなと。

ガチマッチだと「こうしてくれるはず」が味方と一致しないから頑張るしかないんですが、ハイレベルなチーム戦だとそれがきちんと通る。なので、ちゃんとゲームの展開を予測できること、は大事ですね。

ミズハラ:お互いのプランを編成とルルステから考えて戦うってことですね。例えば相手のブキのSPが軽いなら、塗り合っていたらいつか先にSPを使われて不利になってしまう、だからキルを狙おう、とか。そういった試合の流れをイメージできる、把握するのは必要ですね。強い人たちと対抗戦やってるとそういう運び方してるんだなって分かります。

あわ:そうなりますね。Tier1はゲームの展開を予想できるチームが強いんじゃないかな。ただ、今話してた内容が全部できたら苦労しない(笑)

ミズハラ:私たちもこうやって話してはいるけど、全部精度よく実践するのって難しいですよね。試合をやってると、みんな必ずどこかでミスる。そこできちんと立て直しが効くか、ってのは上位Tierだと出てきそう。

あわ:そこまで来るとプレイヤーの使う時間というか、やってるかやってないかになってきちゃうんですよね。

できないことをできるようにするのは、最初はできなくて当然で。これは各プレイヤーの中にメモリがあるようなイメージです。新しいことをやるとオーバーフローする。時間をかけてそのメモリの占有してる領域を圧縮し、無意識的に出せるようにする。容量を増やすって手もあるけど、普通は圧縮していくことになりますね。

できないことをできるようにする時はメモリをオーバーするので、まず負けやすくなります。スランプ状態っぽく見える。

でも、新しいことを学びつつ負けているのであれば気にする必要はないと思っていて。負けても頑張って、正しいとされる行動をだんだん無意識にできるようになってくると、道が開ける。

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(メモリがオーバーした例。)

ミズハラ:新しいブキを持ち始めた直後とか、立ち回りの練習を始めた直後とかですね。良いプレイングが分かってないから負けるのは当然で。それについては割り切るというか、負けることに慣れる……って言うと不思議な言い方になっちゃいますが(笑)練習している最中なら、一回の試合の勝ち負けにこだわりすぎないのは大事かな。

あわ:だからこそ結果じゃなくて試合の内容をもっと見てほしい。チーム単位で言うならば、「知らない負け方をなくしたい」んですよ。この負けパターン知ってるぞ、みたいなのがないと大会は勝てない。勝ち続けるのが難しくなるんです。

いろんな負け方を知ってると、「このパターン知ってる、こうすればいける」ってのが出てくる。それができれば勝ち続ける確率が上がると思います。

ミズハラ:引き出しが多いってことですね。Tier2,3あたりは特にそうか。

あわ:人間、いろんな勝ち方するより、いろんな負け方する方が覚えますからね。

ミズハラ:私たちから言えることは、「大王戦の練習はいっぱい負けるといいと思います」かな(笑)

あわ:本当に、本当に(笑) いっぱい負けて、同じ負けパターンを繰り返さないようにすれば、それだけで順位は上の方に行くと思います。

ミズハラ:勝つためには負けるしかないんですよね。

あわ:あと、ゲームだから負けても命は取られないし(笑)

ミズハラ:(笑)

あわ:戦国時代の武将とかは、必ず戦で何かを犠牲にしているので。ゲームでやってる我々は恵まれてますね。

ミズハラ:失敗する練習が死ぬほどできる。

あわ:すごい方向に話がそれちゃいましたけど(笑)

ミズハラ:じゃあいったんここでまとめましょうか(笑)

今回の話の要点だけまとめると、

・いっぱい負けて、負けから学びましょう
・個人とチームで課題意識を持ちましょう
・リスクとリターンの判断ができるようになりましょう
・試合の結果よりも中身にフォーカスしましょう

といったところですね。イカ、強いチームは強くなるまでにめちゃくちゃ負けてますから。

あわ:僕もほんまに最初はめちゃめちゃ弱かったですからね(笑)。

ミズハラ:僕も以前はシューター系だったんですが、パブロに切り替えた時は大変でした(笑) 目的意識を持って、上手い人の意図を探ったりするようになってからは楽になりましたけど。

どんだけ強い人も最初は初心者だったので、学ぶために失敗しまくればいいんじゃないでしょうか、というのが第一歩ですかね。

あわ:そこが今回伝えたかったことの核の部分ですね。よかったよかった。

ミズハラ:では次回以降もお楽しみに。

(第一回 了)

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