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銅像と排泄

駅前広場に銅像が設置されているというのは珍しいものではない。中には、その地域で有名な人物やキャラクターなど、楽しめるものもある。

しかし、私が毎日目にする銅像は地元の彫刻家が作ったらしい裸婦像。

ポーズを真似して楽しめるほどの奇抜さもなく、待ち合わせに使われるほどの好立地でもない。
ゆえに通りすがりの人にチラ見されるだけの存在だ。少なくとも私の中ではそういう存在だった。

しかし、これを見るのをとても楽しみにしている人々がいたのだ。

0〜2才という乳幼児さんたち。
保育園のお散歩中に、立位の裸婦像の下に陣取り、ワイワイととても楽しそうにその銅像を鑑賞する。

背面にまわり、高い位置にある像を見上げると、

「ウンチしてるー!」
まだ言葉が出ない子も、指差しをして興味をアピールしている。

そんな彼等のお尻はモコモコで、まだオムツが外れていない。

きっと自分や兄弟や友達がウンチをしていると大人に知らせる事ができると褒められるのだろう。そういえば何だか顔が誇らしげである。

だから、「ウンチしてるー!」の後に続くのは「汚い」とか「だめだねー」とかそんな言葉ではないのだ。

ウンチしてるね、一緒だね。
キレイにしてもらうと気持ち良いよ。

動かない銅像だって、子供達には友達に見えているのかもしれない。


もちろん銅像はウンチはしない。そんな特殊な仕掛けはない。

ただ雨や風の影響で、銅像のなんとも絶妙な尻付近に泥が溜まるのだ。

ウンチと言われると、もうソレにしか見えなくなる。

そしてまた、雨や風がその泥をキレイに流してもくれる。日によって、スッキリした尻の時もあれば、ウンチしているようにも見えるのである。


あれから、駅前広場を通るたびに銅像を鑑賞するようになった。
今日なんて写真まで撮ってしまった。

芸術に造詣が深いように見えていたらごめんなさい。

ウンチチェックしてました。

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