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その信念に。Syrup16g【SCAM : SPAM】19.10.05@恵比寿ザ・ガーデンホール

ボーカルギターの五十嵐さんは物腰が柔らかい。
しかし、曲を始めるときのスイッチを切り替える様、中畑さんへのアイコンタクトの素早さ、ギターを弾くときの力の込め方。

この人は、心の中に鬼を飼っている
と思った。

五十嵐さんの姿から、目が離せなくなっていた。

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奇跡の良番チケットでした

1日目は「SCAM」(=詐欺)、2日目は「SPAM」(=迷惑)というコンセプトでセットリストが組まれた全国ツアーの、東京公演。

初日はチケットが取れなかったのですが、その代わりにといわんばかりの良番でした。こんなに前で見られるの、daimasの日記スペシャルぶりかもしれない。え、14年ぶり…(驚愕)

場所は恵比寿ザ・ガーデンホール。シロップといえば恵比寿リキッドルームのイメージが強かったのでびっくり。しかし、なんてピースフルな会場なんでしょう。白い鳩とパズーのトランペットが聞こえてきそうだった。笑

初日は解散前、今回は復帰後の曲が中心のセトリ

前日のセットリストが、解散前の曲のオンパレードだったので予想できていたが、2日目は復帰後の曲が中心だった。ネット上では賛否両論の様子。

当時の思い出に浸るのもいいけれど、復帰したシロップの今の曲が聴けて、同じ時を生きていると実感できる今回のセットリストは、むしろ私の求めているものだった。

大好きな「Stop brain」「赤いカラス」「冷たい掌」が聴けて本当に嬉しかったし、どの曲だったか、カポのヘッド寄りとボディ寄りを交互に行き来するギターさばきもまた見られてドキドキした。

「Share the light」で中畑さんが立ち上がってタムをドン、ドンドン、ドンドンと叩くところも、歌と同じメロディーをギターで弾くところも、うねるベースもかっこよかった。

五十嵐さんが自分の曲をべた褒めする一幕もあった「muder you know」も素敵だった。まだ言うの。未開封をこじ開けたら、そうやればいいんだって、こわばってた肩の力が抜けるような歌詞が好き。

とはいえ解散前の曲も聴きたかったので、アンコールで「イエロウ」のザクザク小さく刻むギターが聴こえたときの歓声にしびれた。

「翌日」は解散ライブで特別な曲になっていたので、当時を思い出して泣きそうになった。明日に繋げてくれるんだ、今も、これからも。

あとアンコールの最後が「真空」で思わず叫んだ。そうか、初日は「天才」だったけど「真空」が残ってたわ。はぁ、かっこいい。

たぶん鬼を隠してる

昔からそうだが、五十嵐さんは「ニートでぼっちな引きこもりおじさん(メンヘラ風味)」みたいなイメージが強く、CDやグッズを「五十嵐の生活費に」と購入するファンをよく目にする。

私はちっともそうは思わない。
かといって陽キャなリア充とも思っていないが。

何かに集中する人は、それ以外の時間は力を抜いていることが多い。体力温存じゃないけれど、たとえばライブで演奏するとき、作品作りをするときは、タガが外れたようにものすごい集中力を発揮するものだ。

演奏中は、曲やそこに紐づく思い出に呑まれるから気づかないのだろうか。
曲と曲の間の、ほわほわした雰囲気から、演奏するぞってスイッチを切り替えるときの、姿勢の違いを。表情を。ギターの構えを。
中畑さんへ送る「カウントしていいよ(曲を始めていいよ)」のアイコンタクトの俊敏さを。思った音と違ったときの修正の速さを。

鬼を飼っているようだと思った。
信念のようなものを。譲れない何かを。

近くで見ることができたからかもしれないが、そんな彼の所作ひとつひとつに息をのんだ。「可愛い」とか「頑張れ」なんて、軽々しく言えない。

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最近見かける「頑張れ」っていうファンについて

解散前にはいなかったように思う、ライブの合間に後方ファンが五十嵐さんに「頑張れ!」と叫ぶファン。
心の中で思うのはまた違う印象なのだが、本人に「頑張れ」とか「可愛い」と叫ぶのは、どうしても、相手を下に見ているような気がしてモヤモヤする。

どうしてそんなことを言えるんだろうと考えていたのだが、
「頑張れ」と叫ぶ相手は、五十嵐さんではなく自分自身なのかもしれないと思った。
シロップの曲は、人の心に深く入り込む。
病む人はどこまでも病むかもしれない。辛さのどん底まで落ちて、ボロボロになっても、隣で寄り添い続けてくれている存在、それがシロップだ。

そこまで深く楽曲とリンクする人は、そのどん底から這い上がるため、自分を鼓舞するのではないだろうか。頑張れと。

それがわかるから五十嵐さんは無視せず「ありがとう」と言うのかもしれないと。

できれば胸の内にとどめてほしい気持ちはあるけれど(笑)
可愛いとか気持ちはわかるけど(両手ガッツポーズとか可愛かったし)
抑えきれなくなるのがライブだから仕方がないのかもしれない。

余談:チューニング音だけでなく生音まで聴けるとは

2~3曲目あたりで、五十嵐さんがステージ中央に出てきてギターを弾く場面があった際、ギターの弦から聴こえてくる音(弦をはじく音)が近く聴こえてきて、生音だ!と感激。

スピーカーの位置の関係で、ほぼギターのエフェクター音が聴こえなかったからというのもあるが、貴重なものを聴いたなぁという気持ち。

そりゃエフェクターがかかった音で聴きたかったけれど(笑)これはこれで満足。

新木場コーストの追加公演は新曲の予感

追加公演について、どうやらセットリストはいろいろ変わるようで、新曲もやりたいとのことだったので、楽しみ。

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※公式HPより(http://www.syrup16g.jp/news.htm

ちなみに今回のツアーTシャツは、例のごとく五十嵐さんの直筆文字なのですが、「迷惑」の字が間違っていて(笑)
アンコールでこのTシャツを着ていたのですが、誤字部分に赤いテープのようなものが貼られていて笑いました。こういうのは可愛いって言っていいかもしれない。

▼Syrup16g 公式サイト
http://www.syrup16g.jp/index.htm


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