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インスト「裏と表の空間で」の解説とプラグインなどの説明

概要

久しぶりにテーマインストのようなものを作ったので、解説でもしようかなと思います。

今回のタイトルは「裏と表の空間で」です。英訳では「In the back and front space」となります。ケチャップ王国 空間学編でのテーマとして扱います。(現実世界編は「梅雨の夕暮れ」、裏篭村編は「水雷屯」です)

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上が原曲、下がコード確認用となります。

コード進行

水雷屯と同じFマイナーではありますが、今回はテンションコードやディミニッシュコードが際立っているために、言葉で表すとなれば「哀愁が漂う」、「渋い」です。シンセは今風ではない少し古めな音を選び、コードがそれなりにマスクされているのですが、コード確認用を聞いてみればよく分かるかと思います。

コード進行は以下の通りです。(コード違い)

/* 基本のコード */
Fm Db9 Eb

/* サビ後半のコード */
Fm Gdim Gm7 Eb Eb7 Fm Eb
Db Db9 Db Eb Edim Fm

楽器パート

楽器のパートは以下の通り。ちなみに使用音源は、Vengeance Avengerと Sample Tank 3 MAXです。ドラムループはDeep Liquid Funkを使用。ドラムンベースではあるのですが、軽快さを重視するため、リキッドファンクのほうがしっくりと来ます。DAWはStudio One Professionalです。(だって最近だとArtistバージョンでプラグインが使えるようになったとか、それずるくない?)

・シンセリード(メイン、サブ) - Avenger SY Analogica 1
アナログシンセの音ですね。味が染みてる。
・フルート - SampleTank 3 Solo Woodwinds
他の曲でも多用する毎度のフルート。
・オーボエ - SampleTank 3 Solo Woodwinds
暗い曲で使われやすいのは、閉店時に流れる「蛍の光」のイメージが強いからだと思う。最近だと怖いという理由で使わない店も増えている。
・ピアノ(Aメロ、Bメロでメイン) - SampleTank 3 Alan Persons Grand "Classical Grand"
始めて使ったピアノ音源だが、今回の曲調に合っているいい音。
・ベル - Avenger BL 80s Bells
ちゃんと80年代ですと主張してるよね。それがいいんだよ。
・ストリングス(ロング、ショート、ベース) - SampleTank 3 Mixed Orchestra "Royal Strings 3Dyn"
私の使っているストリングスはだいたいこれ。今回は音の広がりを持たせるロングと、表拍でリズム良く音を出すショートのふたつに分けている。低音域で音が揺らいでいるのが聴き取れるはず。今回はベースもこのストリングスで行っている。こいつ万能だな?
・ドラムループ - DEEP LIQUID FUNK DrumLoop Full 12
SONICWIREで買ったリキッドファンクのドラムループ。SampleTankとAvengerのどちらにもドラム音源は付属しているが、SampleTankは処理落ちで音が固まるのと、Avengerのブレイクビーツプリセットは水雷屯で使っているために、今回は別の音源を使用することにした 。
・ピアノ(カバー用。フルート、オーボエ、メインピアノのパート以外) - SampleTank 3 Grand Piano 1 Classical
普段使いのピアノ音源。あらかじめリバーブが付いていて、なおかつ柔らかい音に変えてくれるから好き。別に付けなくても良かったのだが、何となく付けている。ストリングスと混ざってピアノの音が聞こえれば"これ"。

使用プラグイン

今回使用したプラグインを紹介。といっても、常用しているものだけなんですけど。

・リミッター - SONIC ANOMALY Unlimited
音圧を簡単に高めたいという理由でダウンロードしたフリーのリミッタープラグイン。(今は音圧を上げる方法は他にも知っているために別にこれである必要はないのだけれど、使い勝手がいいという理由で常用している)音のクリッピングを防ぐためにだいたい必要。
・Ozone 9 Advanced
手抜き……もとい、マスタリングをアシストしてくれるプラグイン。クソ高いものなのだが、音質を高めるために買ってしまったよ。
・Neutron 3 Advanced
こちらはパートごとの音をうまいこと調節してくれるプラグイン。ミックスアシスタントでピアノを指定すると、エキサイターが音色を割ってしまうために、切るのが基本となっている。
・Scaler
「コードなんてわからん!」という人のためのコード支援プラグイン。最近になってv2が出てきて、さらに機能が増えたらしいけれども、自分はv1のまま。お金がないものどころか収入がゼロだもの。

曲調の補足

イントロはサビフレーズのところからスタート。いきなりシンセが4和音まで伸びて、煌びやかで深みのある雰囲気を出している。ベルでメロディーのオクターブ上をカバーすることでさらに良い味が出る。そして曲調のつなぎとして愛用しているディミニッシュが強いアクセントを生んでいる。もはや私の楽曲はディミニッシュによって成り立っている。(私の場合、ディミニッシュコードを使わない曲のほうが珍しい)

イントロの後半は中低音域ストリングの主張し過ぎないテンションコードが深みを出し、さらに低音域でショートのストリングが音をうねらせる。ダンス系でいうところのサイドチェインに近い。ベルとオーボエがストリングスによって浮き出る。

Aメロに入ると、ロングのストリングスが消えて、ショートストリングスが強調される。そこにクラシックピアノが入り込む。後半はロングストリングスが戻り、緩急を付ける。ずっとメロディーがでしゃばると、リキッドファンクの雰囲気が壊れてしまうから。

そんなことをいいつつ、Bメロでクラシックピアノが暴走。もはやフレーズは適当。あえて音を外しているところもあり、ちょっとしたアクセントと遊び心として。フレーズがいつも同じであるために、Bメロでひねりを加えてあげないと間延びしてしまう。この間延び問題は水雷屯でも起きていて、水雷屯の場合はディミニッシュを加えて雰囲気を変えることでマンネリ感を抑えている。

サビに入るとシンセとフルートが入って、全音域が埋まることで、申し訳程度のサビアピールをしている。サビの後半はディミニッシュで音を濁らせ、コード進行が素早く変わっていく。そして、イントロのフレーズをドラムと混ぜて演奏をする。これは水雷屯でも行っている手法である。

個人的な感想として

昼前にピアノでイントロのフレーズを作り、途中でkk163の執筆を挟み、夕食の前後で今回のインストを仕上げた。かかった時間はだいたい4時間程度だったと思う。別に趣味で作っているだけあって、手抜きの部分はかなり手抜きだし、ベロシティやピッチベンドはほとんど操作していない。

まだ空間学編を書いていないのに投稿しちゃうってどういうことなのと自分の中で思ってはいるが、まあできたのならばできたで、投稿できて良かったというのが率直な感想だ。

それと、本来のリキッドファンクはもう少し音圧は弱いが、テーマの扱いであるために、ある程度の音圧は確保している。ちょっと強すぎたかもしれない。あとはパン振りなどもあるだろうが、そこまでやるつもりはない。無職の人間がお金を受け取ることなく、自分の小説のための曲を作っていると考えれば、わざわざ100%のものを作らずとも、投稿できる75%ほどの完成度になればいいのだ。

正直なところ、この数時間で作ったインストでnoteに詳細な解説を書こうとは思っていなかったけれども、友人が作曲をやっているということもあり、微力ながらもサポートできればと思って、この記事を書いた。もちろん作曲に興味のある方々に読まれることも念頭に置いているため、それなりの情報量にはなっている。同時に自分自身の作曲メモとしても機能している。

もうそろそろ風呂に入る時間だから、この辺で終わりにする。

あ、ちなみにジャケットの写真は都幾川ですよ。

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