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#235 旅ログ 〜鉄ちゃん・鉄子のマネごとをしてみた〜


先日の越後での私らしいといえば実に私らしい一日をここに綴った。有り難いことにnoteの『お酒記事まとめ』というマガジンに入れていただきました。

最高だったお宿をチェックアウトし、私がどこを通って家路に着いたのか。
普通の人ならきっと考えないであろうマニアックな経路。今日はそれをお届けしたい。電車の発着した時刻がスクリーンショットに残っていたので鉄道マニアのどなたかのために全部書き込んでみる。この旅を再現しないであろうみなさんは、そんな数字はすっ飛ばしてお読みください。


越後須原へはJR只見線が通っている。無人の駅には、一日上り下り線合わせても10本のみという、田舎出身の私でも見たことがないような運行図が掲示されていた。
これだ。

光の反射を許してほしいが、駅の静けさは伝わると思う…

とりあえず切符も持たず行動開始するしかない。
10:21、こちら側も向こう側もないプラットフォームにやってきた電車は、一両だけのワンマン車両。

なんだかワクワクする

動き出して完全に駅を過ぎた。私と同年代の乗客カップルがおもむろに外に向かって手を振り出す。その先にはその娘さんと二人の小さなお孫さんと思わしき人たちの大きく手を振る姿が。
いつものサヨナラの光景なのだろう。ちょっと胸がきゅんとする。
今度は、踏切待ちの方が車の座席から、通過する見ず知らずの私たちに手を振ってくださっている。
なんてのどかでいとおしい場所なのだろう。

車窓から見る風景も文句なしに美しい。


こんなだったり
こんなだったり


越後須原から小出駅までは240円。

越後須原駅で撮った路線図


10:41、小出駅に着き、改札で切符の精算をすべく駅員さんに走行距離の全行程を一気に払いたいと告げた。
小出駅でそれは無理だということで、まだお金は支払わず、六日町駅まで持ち越すことになった。

11:10のJR上越線[水上行き]の発車まで30分ほどある。缶のミルクカフェオレを飲みながらプラットフォームのベンチに腰掛けた。
気候がいい。風がなんて清々しいのか。ウグイスの鳴き声と彼方に臨む山々。特に雪を残す山の神々しさといったらない。
地図と照らし合わせると、八海山?なのだろうか‥‥

その日、新潟の出発駅から石川県の実家最寄り駅まで8時間かかる経路を選んだのは私だ。富山の泊駅を通りたかったから。ただの思いつきでしかない。… 父に電話して18時過ぎに最寄りの駅に着くと伝えた。新潟からならそのくらいかかるやろな、と88歳が言った。「いや、かからんやろ…」心のなかでツッコんだが、実際かけちゃったのだ。
少なくともあと2,800円ほど足せば、1時間ちょっとは早めることができた。けれど今私には時間を惜しまないという贅沢ができるのだ。
乗り換え6回なので乗る電車は計7本。
日本でこんな旅がしてみたかった。大地を抱きしめるような旅‥‥

11:31に六日町駅に着いた。トイレに入ったりしているうちに六日町での『もしかしたら時間がかかるかもしれない』精算を諦めることにし、11:58の北越急行ほくほく線[直江津行き]に乗った。乗ってからすぐ二駅分ほどトンネルの中が続く。景色はどこ?「ほくほく」なんて言いながらこれではまるで地下鉄だ‥‥ そんな不安がよぎったが、地上に出て駅のしだれ桜を見た時それは杞憂に終わった。
隣に座った奥さんが、五日前は花だけだったのがもう葉桜だわと教えてくれる。
その後も出たり入ったりトンネルの多いほくほく線だった。JRではない会社が、この山間部にどれだけの土を掘って市民の動線を繋いでくれたのか。素晴らしい話じゃないか!この電車は、ゆめぞら(Dream Sky Train) という夢空間への入り口だという。
トンネルの多さを逆手に取って、夢空間に見立てる企業努力、しかと受け取った。

にしても‥‥ ちょっと名前に負けたかも‥‥💦


約一時間半の後、13:07に直江津に到着。13:15の日本海ひすいライン[泊行き]電車に乗り換える。地図上では富山の海岸線に沿って行くように見える線だ。海が真横だったり、駅を過ぎたらまたトンネルだったり‥‥ なるほど、行ってみないとまったく知り得なかった移動の様がそこにはあった。

『えちご押上おしあげひすい海岸かいがん』‥‥長い名前だ。
『おうみ』‥‥一昨日の私が居た「近江」であるはずはないのだが‥‥ と顔を上げればそれは「青海」だった。なるほど!
親不知おやしらず』なんて駅もあるぞ‥‥

駅名までも楽しみながらの一時間半の後、終点の泊駅に着いたのは14:45。
あいの風とやま鉄道線[高岡行き]15:37の発車までたっぷり時間があるので電車賃の精算をしていただくことに…

まず駅員さんに訊いたところ、さっきまで乗ってきた電車に一緒に戻りましょうと言われる。なぜなら、ほくほく線 / ひすいラインは『えちごトキめき鉄道』の管轄になり、JRでは精算ができないのだ。降りたプラットフォームまで行き、止まっているひすいラインの運転手さんに、六日町から市振いちぶりまでの運賃を支払った。それから泊駅窓口に戻り、出発地『越後須原』から到着地(実家の最寄り駅)まで全行程の精算を済ませることができた。もし泊駅より先に行ってしまったら、えちごトキめき鉄道支払い分は後の書類作成など手続きが面倒になるところだったそうだ。

泊駅は旧JR西日本、現在では『あいの風とやま鉄道』の駅なはずだ。私の旅は、JR東日本の出発地点から乗り換える度にいろんな名前の私鉄の線に変わり、最後はJR西日本で終わるパッチワークのようなものだ。乗る都度切符も買わず、全行程の走行距離で支払いたい『にわか鉄子』の思いを駅員さん達が汲んでくださったことにホッとした。正解だったかどうかわからないが、結果あの駅で精算をお願いしてよかった。

本来なら乗り換え駅では改札を出たところで切符が無効になるはずだが、やはり田舎の駅構内には何にもないためか、一時間近い待ち時間に昼食を買うために改札を出ることが許された。

お昼は鮭・梅おにぎりを一個ずつ、ストローを刺して牛乳みたいに飲む180mlの日本酒(笑)、草もちを買って、誰も居ない待合室で食べた。おにぎりを平らげても日本酒が残ったので、たまり醤油煎餅をつまみに飲み切った。ここまで書いたら全部『米』。私どんだけコメが好きなん?と自分にツッコんだ。だから日本に住みたいんだよォ〜!!

あいの風とやま鉄道線の電車は泊駅を15:37に出た。

途中で停まった駅の名前は『生地』なのに「いくじ」だとか‥‥ 面白い。
私は隣県だから知ってるけど、『滑川』って書いて「なめりかわ」。ならば「すべる」は富山弁で「なめる」というんだろうか‥‥?そんなことを思案しながら、確実に故郷に向かっていることを感じていた。

電車は16:25に富山駅に到着。16:46のあいの風とやま鉄道線[金沢行き]に乗り換える。
お昼に飲んだ小さな日本酒でいい感じで酔いどれながら、家族の待つ地に向かっているのが至福だと思えた。

電車は17:31に津幡駅に着き、17:50の七尾線[七尾行き]に乗った。

故郷の駅に着いたのは出発駅から実に8時間後のことだった。
ずっとゆっくり来たというのに、家路への足取りはどんどん速まるのだ。
若い頃の自分には、この年齢になってまで里帰りの家路を急ぐなんて想像できなかった。
今でも老いた両親が健在でいてくれることは何よりも幸せなことなんだ‥‥と沈んでいこうとする夕陽を仰ぎ見た。

今日の電車賃は6,050円。

ああ、おもしろかった〜!


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