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いちばんすきな花

ストーリー、言葉のつながり、会話の間、どれもが丁寧で優しくて、見ていて穏やかになれるドラマでした。

「様々な形の友情」がテーマだったけれど、現代の多様性といわれているものの、さらにその奥を描いていたなと思います。

「男女の友情は成立するか」
その答えは、最終話での美鳥ちゃんの言葉「どっちでもいい、人それぞれ」。これが全てだなと。
男とか女とかは関係なくて、ゆくえちゃんと赤田だから友達になれたんだよね。

二人組を求める人生で出会った、4人のひとりたち
潮ゆくえ(多部未華子)
・春木椿(松下洸平)
・深雪夜々(今田美桜)
・佐藤紅葉(神尾楓朱)

この4人だって、この4人だからこその関係性がつくれたわけで。

年齢も性別も職業も育ってきた環境も全く違う4人が出会って、それまでの人生で感じてきたそれぞれの違和感とか不安とか尊重したい想いとか、何となくの雰囲気とかが柔らかく交わって、居心地の良い4人になれた。

このドラマを見ていて、SEKAINO OWARIの曲「Habit」を思い浮かべた。

君たちったら何でもかんでも
分類、区別、ジャンル分けしたがる
ヒトはなぜか分類したがる習性があるとかないとか
この世の中2種類の人間がいるとか言う君たちが標的
持ってるやつとモテないやつとか
ちゃんとやってるやつとやってないやつとか

Habit / SEKAINO OWARI

女性、男性、障がい者、ADHD、HSP、ゲイ、レズビアン・・・
昔と比べて、様々な身体的精神的特徴や背景をもつ人がいるという事実が認められてきてはいるんだけれど、どうしても何かに属させようとする傾向もあるなと感じるんです。
当たり前なんだけれど、女性はみんな同じわけじゃないし、何らかの障がいをもってる人も、障がいの種類や環境、その時によって、できることもできないことも変化していくだろうし。
もちろん、こういった事実が知られていなかった時と比べて、例えば「診断してもらえたことで安心できた」とかっていうこともあると思うから、時代が進んでいって良かったなと思う反面、特に当事者でない場合は、その括りから外れる人に対して、どう接して良いのかがわからなかったり、その枠に押し付けようとしたりすることが、無意識に行われてしまっていることも事実で。

でも結局は、女性だろうが男性だろうが、相手にするのは”目の前の一人”なんだから、大事なのは”その人と関わる”ってことだけなはず。

ドラマの4人は、「二人組がつくれない人」だけれど、その理由も状況もそれそれで、やっぱりそれは聞いてみないとわからないことで。


そして、この4人に共通しているのは、自分の意志はちゃんと持っていて、相手の言葉や想いを大切にして、とにかく優しいこと。

4人の会話は、別に畏まった日本語とかじゃないんだけど、口に出す言葉がすごく丁寧で。選ばれて放たれたその言葉にはちゃんと意味を感じることができた。
どこかの誰かがテレビだかXだか言ってたような、薄っぺらくて当たり障りのない言葉なんかじゃなくて、それまでの人生で感じてきた想いが全て乗っているからかもしれない。

例えば、学校の教室じゃなくて保健室に通ってる女の子、希子ちゃんからの質問に対しての、ゆくえちゃんの言葉。

希子ちゃん「教室って行った方が良いの?」
ゆくえちゃん「席があるなら大丈夫」

学校が苦手な子ならきっと、近くにいる大人に、こんな質問をしたことのある子はいると思う。
「席があるなら大丈夫」は、自分も学校が苦手だった過去があって、あの3人と出会って、あの家に自分の席があるゆくえちゃんだからこそ伝えられた言葉。
この会話の後の希子ちゃんが笑ってくれてよかった。

そして、相手の話をちゃんと聞いて、尊重する。
ドラマの序盤で、4人それぞれが「都合の良い人」「調子の良い人」「頭が良い人」「顔が良い人」とカミングアウトした時。
「そんなことないよ」って言うでもなく、嫌味に思うでもなく、悲撃のヒロインぶってるわけでもなく、相手が抱えてきたものをちゃんと理解しようとする。
会って間もないのに、こんなことを話すことができたのは、やっぱりあの4人がつくる雰囲気のおかげ。

そして最終話では、主人公の4人だけじゃなくて、それまでの登場人物ほぼ全員が出てきた。
ちゃんと、全員がドラマの中で時間を過ごしていて、誰かと関わって生きていて、主人公のストーリーを彩るエッセンス的要素なんかじゃなくて、誰もが大切な人なんだって思うことができた。


自分の考えや意見を言葉にするのは本当に難しくて、伝えたいと思う相手を見つけるのもなかなか難しい。
それでも、この4人みたいに素敵な人に出会えるように、日々頑張ろうって思えました。
noteに投稿されるこのドラマの感想を読むのがとっても楽しかったです。

最後、希子ちゃんも、穂積くんっていう、自分の素直な気持ちを話せる友達ができて本当に良かった。


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