吃音とともに生きる

皆さん、吃音って知っていますか?

吃音というのは、話す時に最初の一音に詰まってしまうなど、言葉が滑らかに出てこない発話障害のことです。
原因は脳の言語処理や運動制御の調整に関わる神経機能の異常らしいです。

私はものが喋れるようになってた頃には既に吃音の症状がありました。
親に聞いてみたら、2歳くらいからもう吃音の症状が出ていたらしいです。
最初は親も、何かアニメのキャラの変な喋り方を真似しているのだと思ったらしく、「そういう変な喋り方を真似するのはやめなさい」と何度も私に注意していたと聞きました。
しかし、何度注意してもそういう喋り方をするので、この子は吃音症なんだと判断したそうです。

大体7〜8割の人は大人になれば自然に治ると言われていますが、残りの2〜3割の人は症状が徐々に固定化され、楽に話せる時期がどんどん減っていきます。
症状が進むと、話そうとしても最初の言葉が出なくなってしまいます。

私は残念ながら2〜3割の人の中に入ってしまいました。
30過ぎた今も吃音と共に毎日生きています。

吃音があるおかげでただでさえ人見知りな性格なのに、余計に人と話す事に恐怖を感じてしまい、生きづらい日々です。
本当は人と話す事が好きだからたくさん話したいのに、滑らかに言葉が言えないせいで必要以上の会話をしない為に交流も疎かになり、友達もほとんどいません。

変な話し方になってしまう度に自分が嫌になります。
大人になればそんなこと言う人はいないと思いますが、子供の頃はよく「何その喋り方〜変なのー」とか「あああああって何〜?」と自分の喋り方を変だとバカにされたり笑われたりしました。
子供に難しい説明をしても理解されないのは分かってるので適当に笑って誤魔化してました。
なのでそういう面では大人の方が楽ですね。本当の事を言えばいいだけなので。
大体の人は理解してくれるはずなので。

それでも仕事でマイクを通して喋る時や、慣れていない人に話しかけたりする時は今でも吃音の症状が酷く出てしまいます。
ただ何故か謎なのが、歌う時だけは症状が出ないって事です。
感覚的に、リラックスしている時や緊張してない時は症状が和らいでいる気がします。

学生の頃は、国語の音読の時間が大嫌いでした。あれは吃音持ちにとって拷問だと思います。
どうしてクラスの奴ら全員に、この恥ずかしい話し方をわざわざ披露しなきゃならないんだとずっと思っていました。
ただ吃音でも特別この行の言葉が言いづらいとかがあり、私の場合はあ行とは行とな行が特に無理です。
なので電話もものすごく苦手で、自分の苗字がちょうどいいづらい音なので、自分の名前を名乗る事すら困難です。ただ大人なので逃げる訳にもいかず、嫌だけどなんとか適当に誤魔化しながら話しますけどね。
なので仕事も、極力電話をする事のない職を選んだりしてます。本当はこんな仕事していたくない。
電話の少ない仕事というのは体力を使う仕事という事なので、喋らない代わりに体力を奪われますからね。

治せるものなら治して、私もすらすら滑らかに言葉を話せる感覚を感じてみたい。
すらすら話せるようになれば、きっと今より交流の輪も広がり友達だってたくさん出来るだろう。
やりたい事も気にせずにどんどん挑戦出来るだろう。

しかし今現在も、必ず治るという治療法はないらしいです。
脳の司令からきているものなのでそりゃ簡単に治るわけない。
難しいですね。

noteで吃音と検索してみたら、私のように吃音で悩んでいる人がたくさんいました。
皆さんの記事をいろいろ読んでいたら、私だけじゃないんだと勇気づけられました。

でも、人は皆苦手な事があります。
自分は出来るのになんで他人はこんな簡単なことも出来ないんだと思うことってありますよね。
吃音の人は、ただ「滑らかに言葉を話す事が苦手」という事なんです。
普通の人からしたらそんな事気にした事がないと思いますが私達はそれがただ苦手なんです。
そう思えば少し気持ちが楽になりますよね。

苦手な事ってそんな簡単に治せるものではないので、自分を責めたり嫌いになったりする気持ちも分かりますが、「あぁ私はこれがただ苦手なんだ」って受け入れてみると案外楽になれます。

人は皆違った生き物です。
自分は自分なんだと自信を持って自分らしく生きれるようになれたら素敵ですね。

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