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トンニャン最終章#16 大天使ガブリエル

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
話の位置は「リジュの巻」の次、「ガブリエルの巻」のような意。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「アスタロト、嘆くな。いずれ転生して、リジュはまたフェアリーに生まれ変わる。今度は妖精として生きさせてやれ」
「あなたに会えば、リジュは過去世を思いだす。会わなければ、妖精として次の生を生きられるわ。」
ウリエルとガブリエルの言葉は、アスタロトに届いているのか。
 
アスタロトは、放心した状態のまま、コクンと首を縦に振った。
 
 
【大天使 ガブリエル
受胎告知の天使として知られるガブリエルは、聖女・処女神。妊婦と母親を守る天使である。ガブリエルは強き者の意。
天使の階級には諸説あるが、中世に定まった九階級が有力。
上級三隊セラフィム(熾天使)・ケルビム(智天使)・スローンズ(座天使)。中級三隊ドミオンズ(主天使)・ヴァーチュス(力天使)・パワーズ(能天使)。下級三隊プリンシパリティーズ(権天使)・アークエンジェルス(大天使)・エンジェルス(天使)とされる。四大天使はセラフィムと考えられる。
四大天使ミカエル・ラファエル・ウリエル・ガブリエルのひとり。戦いの天使ミカエルがヴァーチュスの指揮官なら、ラファエルはパワーズ指揮官。そして、ガブリエルは、ケルビムの指揮官だ。
この物語では、強き者・戦いの女神アテナと同一視して登場する。

 
 
「アポロン様?」
アポロンは、ブラックエンジェルの額に指をあて、波動を流し込んだ。
 
「痛みは、おさまったかい?」
「は・・・はい」
「いいんだ。思い出せないようになっているのは、その方がこの先、生きていけるようにだ」
「・・・」
「わたしのこと、コーラのこと。思い出したとて、何も変わりはしない。かえって、苦しいだけだ」
アポロンは少しうつむいて、大きな鳥に乗ったままのブラックエンジェルを、優しく抱きしめた。
 
ブラックエンジェルの中に、温かな波動が流れ、体中を包み込んだ。
「考えるな。ただ、この波動を受け取ってくれ」
アポロンは、しばしブラックエンジェルを抱きしめ続けた。
 
*****
 
「アスタロト・・・アナト・・・アルテミス・・・」
ベールゼブブは混乱していた。
記憶は断片的に蘇って来るが、一つとしてまとまらない。アポロンに言った自分から発した言葉。
―――堕としいれた・・・神だった・・・天使になりすました・・・アルテミス・・・。
全てが断片的であり、完全に繋がらない。
 
「アポロン、教えてくれ。俺は・・・?」
振り返ると、そこには鳥に乗ったブラックエンジェルしかいなかった。
「アポロンは、どこへ?」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン最終章#16 大天使ガブリエル

※アスタロト・ベールゼブブの堕天のシーン、それを見つめる黒髪のエンジェルスのシーンは、こちらから
アスタロト公爵編「ハエの魔王ベールゼブブ」
https://note.com/mizukiasuka/n/n61491f183e33?magazine_key=mf04f309d9dfc

 【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

次回トンニャン最終章#17 ガブリエルへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n8722c363fec0

前回トンニャン最終章#15 リジュはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n1252641c3605

トンニャン最終章、最初から読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/mb128933fa182

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