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トンニャン過去編#90 トンニャン・フェニックス(原題「ファイヤーバード」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ニコラスの巻」の次。「トンニャンの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

そして最後に残ったのは、謎の少女・トンニャンである。アンは、思い切ってトンニャンに向かって声を上げた。
「トンニャン、あなたが何でも私はかまわない。きっときっと、もう一度会わせて!」
ファイヤーバードの上のトンニャンは少し微笑んで、アン達を見下ろしている。やがて炎がトンニャンと鳥を包み始めた。
「アン、ネッド・・・エレン、トーニ、アリス・・・トム、ピエール、ルーシー・・・ビリー、ボビー、エミリー、フィリップ・・・さよなら・・・」
その声が途切れると、鳥とトンニャンを一体にした炎は空に舞い上がった。
 


“わたしは風・・・わたしは火・・・わたしは空・・・
わたしは光・・・わたしは心・・・
そして・・・わたしはトンニャン・・・ “


 
そんな声がとぎれとぎれに聞こえて、いつしか炎は風にあおられながら消えていった。あとには静か過ぎる闇が広がっているばかり。
 
十二人は放心状態で、誰一人口を開ける者はいなかった。
やがて空がしらみ始め、朝日が射し込むと、初めてボビーが口を開いた。
「不思議な少女達だった・・」
その言葉に皆それぞれの思いでうなずいた。
「また、会えるわよね」
アンがそう言うと、
「もちろんさ」
とトムが答え、ルーシーもうなずいた。
 
「きれいな夜明けね」
トーニが朝日を見てため息をついた。
「夜明け・・・そう、新しい夜明けだ」
とネッド。
「そうさ、俺達の出発の日さ」
ピエールも続けて言葉を添える。
「がんばりましょう、私達も。自分の人生をせいいっぱい」
アリスがそう言えば、
「そうよ、トンニャン達に負けないように」
とエレンもあいづちを打つ。
 
「チェリー・エンジェル」
とビリーが、
「コーラ・デビル」
とエミリーが、
「トンニャン・フェニックス」
とフィリップスがつぶやくと、ほかの九人も、三人の名前を口々に繰り返した。

 
チェリー・エンジェル、コーラ・デビル、トンニャン・フェニックス・・・彼らは、おそらく生涯この名を忘れる事はないだろう。そして、この美しい夜明けも・・・。
彼らは、自分の未来を見るように朝日を見つめ、あの光輝く太陽のように生きたい、と心から感じていた。

二〇〇七年平成十九年九月二十二日(土)朝五時(原文一九七七年八月)

ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#90 トンニャン・フェニックス(原題「ファイヤーバード」)

※子供の頃に書いたトンニャン・チェリー・コーラのお話。過去編は、今回はここまでとします。
実は日本編もあり、アシュラが日本人の少女として人生を生きていると、「不死鳥 鳳(ふしとり・ほう)」という少年が現れ、アシュラである少女の秘密が・・・・。なんて話や、
アシュラとトンニャンがアメリカに少年として現れる話もあります。
いつかご紹介できるといいですね。
次回から、いよいよ本編。トンニャンシリーズのお話の続きが始まります。


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前回トンニャン過去編#89 トンニャン・フェニックスはこちらから
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